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第97話 [演説]
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俺が朝起きるとリーグさんから朝食に誘われたので、リーグさん達と食事を済ませた。
「シュウト殿、組織の名は決めたのかの?」
「はい。分かりやすい名前が良いと思うんで、攻略組にしようかと。」
「なるほどのぅ。確かに分かりやすいのぅ。」
「駄目ですか?」
「良いのではないか。それならば全ての民が分かるじゃろうて、皆もそうじゃろう。」
リーグさんがそう言うと全員が賛成してくれた。
「それでは昼にまたの。」
その言葉で皆んなが解散して、俺も名前を否定されずにホッとして部屋を後にするとルークも一緒に着いてきた。
「いい名前だな。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「あの名前ならお前の言葉の意味は分からなくても名前で分かるだろ。」
「そんなに難しい話をするつもりはないぞ。」
「いや、スラムの奴らだと簡単な言葉しか分からねぇ奴も居るからな。俺が声を掛けた奴もスラムの人間が少しばかり居て、其奴らだとそんな感じだ。そんな奴でもあの組織名なら分かるはずだ。」
「そうか。ところでなんで着いてきてるんだ?」
「お前が暫く連れ回すって言ったから出来るだけ一緒にいろってさ。ところでこの後どうするんだ?」
「とりあえずバトさんが廃棄品の場所に案内してくれるって事だから連れてってもらうつもりだぞ。お前はどうする?昨日作っておいた迷宮にでも入るか?」
「そういや、中級を作ったんだろ。」
「あぁどんな感じになってるかは分からないけどな。」
「じゃあ前みたいに入って報告するぜ。」
「そうだな。そうしてくれ。物足らなかったら上級を作るつもりだから言ってくれ。」
「了解。」
「じゃあ一旦、離れに行こうか。」
俺達はそう言って離れに戻るとルークが中級に入るのを確認して、保管庫に向かった。
保管庫と言われた場所に着くとセドさんが立っていた。
「あれ?セドさん、どうしたんですか?」
「シュウト様が廃棄物を回収して頂けるとの事、他の者には任せられませんので、私が参りました。」
「忙しいのにすいません。」
「いえいえ、では入りましょうか。」
「しかし、保管庫って言うわりに城の地下の一室なんですね。」
「確かにそうですが・・・まぁ中にお入りになれば分かりますよ。」
中に入るとそこにはかなり長い一直線の廊下と一定間隔で両脇に扉がズラッと並んでいた。
「保管庫?」
「はい。両脇にあるのが全て保管庫となります。」
「保管庫って言ってたんで大きな倉庫かと思ってました。」
「偽装用に大倉庫は御座いますが、それでは入りませんので。」
「えっ?」
「では、此方へ。」
そう言われ、入って直ぐの扉を開いて中に入るとそこには野球場ぐらいはありそうな場所に大きい木箱が何段も重ねた状態でビッシリ入っていた。
「え?凄!コレって空間拡張ってやつですか?」
「そうですね。此処には本来王都の1年分の食糧が備蓄されている場所でしたが、廃棄物の所為で現在、埋まってしまっております。」
「え?まさかコレ全部そうなんですか?」
「その通りでございます。因みにですが、1箱1t入っております。」
「え?1tですか?」
「はい。その通りでございます。」
これ1箱で1,000万かぁ。
「本日はどの程度持って行かれますか?」
「えぇと。どの位上手くいくか分からないんでとりあえず1箱で、それでスムーズに出来る様なら出来るだけ・・・ってどの位あるんですか?」
「そうですねぇ私も膨大だとしか報告を貰ってませんので、しかも他の保管庫にも満載の状態でありますので。」
「え!?ここだけじゃないんですか?」
「年間数千トンの量が来ますし、教会が、処理出来ると王都から送っているのは年間で1,500tですからね。軍事演習で擬似スタンピードを起こす為に使ってはいますが、毎年数百トンは残ってしまいます。かといって、これ以上軍事演習を増やすと各国に戦争の疑い有りとされかねないので、どうしてもとそうして気付けばこの様な状態に。」
「なるほど・・・ん?一寸待てよ。1kg銀貨1枚だから1tで金貨1枚だよなぁ。」
「そうですね。」
「えぇと、1つ聞いて良いですか?」
「何でしょうか。」
「自分が攻略組の本部を建てるのはご存知ですよね。」
「はい。陛下から伺っております。」
「じゃあどの位の費用がいると思いますか?」
「そうですねぇ。国家事業として、彼処には既に兵が駐屯していますので、白金貨5枚有れば足りると思われます。」
50億!!?確かに莫大な費用だけど、この保管庫にある分だけでも1,000tは超えてるよなぁ・・・。
何か騙されてる感を感じながらももう直ぐお昼になるので、1t分だけアイテムボックス改に入れて予定通り、転送で外に出て格好を使徒使用に変装して王都に戻ってきた。
王都に戻るとリーグさんが御触れを出したのか、城までの道に王都中の人が集まり、平伏している様だった。
『とうちゃん、なんかすごいねぇ。』
「そうだな。やっぱり使徒なのは隠した方が良さそうだな。」
『だねぇ、いつもこんなんじゃヤダよね。』
「あぁ。」
俺は急ぎたい気持ちを抑え、リーグさんに言われた通り、ゆっくりと城の前まで来るとリーグさん、王家の人達や大臣の面々、会ったことも無い貴族であろう人々が城の門前に立っており、俺が到着するやいなや、跪き頭を垂れた。
「お久しぶりで御座います使徒様。王国を上げて歓迎致します。」
「うむ。アレから問題はないか?」
「使徒様が参戦して頂けたお陰で大した被害もありませんでしたので、王都は通常通り、平和そのもので御座います。」
「そうか。それは重畳であるな。」
「ハッ!使徒様にそう言って頂けるとは有り難き幸せ。この様な場所ではなんですので、城へお越し頂きたいのですが、如何でしょうか。」
「そうだな。行こうか。」
「ハッ!では此方へ。」
俺はリーグさんに促されるまま城の中に入っていった。
謁見の間に入るとリーグさんは玉座に俺を座らせようとした。
「我はよい。」
俺は流石にそれは嫌だったので少し段を上がると振り向いた。
「我は国王であるお主とその家臣、そしてそなたの民に話があって来たのだ。」
俺がそう言うとリーグさんや他の全員が跪き頭を垂れた。
「ハッ!」
「我はアストライアー様の使徒であるが、此度来た要件はラビリス様の件で参った。」
「ハッ!」
「先に言っておく、コレから言う話は使命ではない。」
「ハッ!」
「ラビリス様はダンジョン踏破されない事で忙しさが増した事を嘆いておいでだ!よって我はこの王国にある組織を作りたいと思う。」
「話の途中に失礼致します。組織とはどの様な事を為さるのでしょうか?」
「無論ダンジョン踏破だ。」
「では、何故この王都で作るのですか?」
「我が知らないとでも?」
「何をでしょうか?」
「此処の冒険者ギルドが機能していない所為で周りのダンジョンの魔物が増えていた事だ。」
「それはもう直ぐ正常に戻るとお約束致します。」
「それはこの前捕まった奴の代わりが来たという事か?」
「はい。昨日の夜に到着致しました。」
「その者が来れば、離れてしまった冒険者達が直ぐに戻るのか?」
「それは・・・。」
「どの組織であろうと1度失った信頼は直ぐには回復しない。そうではないか?」
「・・・その通りで御座います。」
「国王を責めている訳では無い。他の者は良案が有れば聞くがどうだ?」
俺がそう言うとバトロスさんが前に出て跪いた。
「恐れながら我が軍が御座います。それを派遣・・・」
「それは戦争の火種にはならんのか?」
「それは・・・」
「すまんな話を遮って。」
「いえ、滅相もありません。」
「だからこそ、何処にも属さない組織が必要なのだ。まぁ土地や民を借りることにはなるが。」
俺がそう言うとリーグさんが声を掛けてきた。
「土地というと?」
「例の保養地にしようとしている場所ならば土地は空いているであろう?」
「ハッ!承知致しました。建設させて頂きます。」
「いや、王国に資金を出させるつもりはない。そんな事をすれば独自の組織ではいられぬのでな。我が必要な資金を出し、そちの国民に呼び掛け、対価を払おう。」
「承知致しました。名は何とされるのでしょうか?」
「誰でも分かる様に攻略組とする。それで民に呼び掛けたいのだが、良き場所はないか?」
「承知致しました。」
リーグさんはそう言うと後ろを向き、言葉を発した。
「セドリック!使徒様が民へ演説なさる!準備をせよ!」
「御意!」
セドさんはそう言うと数人連れて謁見の間を出て行った。
「それでは使徒様、此方で御座います。」
「うむ。」
俺はそう言うとリーグさんの後を追って城のバルコニーに出た。
「では失礼致します。」
リーグさんはそう言うとバルコニーの先端に立った。
「余の民よ!使徒様からのお言葉がある!しかと聞くがよい!それでは使徒様、宜しく御願い致します。」
「うむ。」
俺はそう言うとリーグさんの立って居た場所に立って用意していたスピーチを話し始めた。
「親愛なる民達よ。我はアストライアー様の使徒である。しかし、此の度、迷宮神ラビリス様とも話す機会に恵まれ、ラビリス様はダンジョン踏破があまり成されない事に嘆いておられた。」
「その上、この前の事件を起こした冒険者ギルドの長に虐げられ、冒険者を辞めた者もいると聞く。しかし先程、国王から新しくギルドマスターとなる者が到着したと聞いた。冒険者に戻りたい者はその門徒を叩くといい。だが、心がそれを否定する者も居るであろう。」
「そこで我は何処にも属さない新たな組織を創ろうと思う。その名は・・・攻略組!その組織はダンジョン踏破のみを目指す組織である。その能力に見合った給金は我が与え、ダンジョンで手に入れた魔石以外の物は個人の物にすれば良い。その代わり、もし売るのであれば、冒険者ギルドに卸してやって欲しい。これからマスターに成る者も善良なギルド職員、冒険者には罪は無いのだから。以上だ!我に賛同する者やラビリス様を助けたいと願う者は我の組織に来てくれ!」
俺はそう言うとリーグさんに変わった。
「余の民よ!先程、使徒様から話が有り、建設予定地は例の湖と成った。使徒様がその建設費用を出して下さるゆえ、建設に携わりたい者、そして攻略組に入りたい者は城の前の広場に集まるが良い。使徒様に迷惑が掛からぬ様に審査致す。日時は明日昼以降となる以上だ!」
「シュウト殿、組織の名は決めたのかの?」
「はい。分かりやすい名前が良いと思うんで、攻略組にしようかと。」
「なるほどのぅ。確かに分かりやすいのぅ。」
「駄目ですか?」
「良いのではないか。それならば全ての民が分かるじゃろうて、皆もそうじゃろう。」
リーグさんがそう言うと全員が賛成してくれた。
「それでは昼にまたの。」
その言葉で皆んなが解散して、俺も名前を否定されずにホッとして部屋を後にするとルークも一緒に着いてきた。
「いい名前だな。」
「そう言ってくれると嬉しいよ。」
「あの名前ならお前の言葉の意味は分からなくても名前で分かるだろ。」
「そんなに難しい話をするつもりはないぞ。」
「いや、スラムの奴らだと簡単な言葉しか分からねぇ奴も居るからな。俺が声を掛けた奴もスラムの人間が少しばかり居て、其奴らだとそんな感じだ。そんな奴でもあの組織名なら分かるはずだ。」
「そうか。ところでなんで着いてきてるんだ?」
「お前が暫く連れ回すって言ったから出来るだけ一緒にいろってさ。ところでこの後どうするんだ?」
「とりあえずバトさんが廃棄品の場所に案内してくれるって事だから連れてってもらうつもりだぞ。お前はどうする?昨日作っておいた迷宮にでも入るか?」
「そういや、中級を作ったんだろ。」
「あぁどんな感じになってるかは分からないけどな。」
「じゃあ前みたいに入って報告するぜ。」
「そうだな。そうしてくれ。物足らなかったら上級を作るつもりだから言ってくれ。」
「了解。」
「じゃあ一旦、離れに行こうか。」
俺達はそう言って離れに戻るとルークが中級に入るのを確認して、保管庫に向かった。
保管庫と言われた場所に着くとセドさんが立っていた。
「あれ?セドさん、どうしたんですか?」
「シュウト様が廃棄物を回収して頂けるとの事、他の者には任せられませんので、私が参りました。」
「忙しいのにすいません。」
「いえいえ、では入りましょうか。」
「しかし、保管庫って言うわりに城の地下の一室なんですね。」
「確かにそうですが・・・まぁ中にお入りになれば分かりますよ。」
中に入るとそこにはかなり長い一直線の廊下と一定間隔で両脇に扉がズラッと並んでいた。
「保管庫?」
「はい。両脇にあるのが全て保管庫となります。」
「保管庫って言ってたんで大きな倉庫かと思ってました。」
「偽装用に大倉庫は御座いますが、それでは入りませんので。」
「えっ?」
「では、此方へ。」
そう言われ、入って直ぐの扉を開いて中に入るとそこには野球場ぐらいはありそうな場所に大きい木箱が何段も重ねた状態でビッシリ入っていた。
「え?凄!コレって空間拡張ってやつですか?」
「そうですね。此処には本来王都の1年分の食糧が備蓄されている場所でしたが、廃棄物の所為で現在、埋まってしまっております。」
「え?まさかコレ全部そうなんですか?」
「その通りでございます。因みにですが、1箱1t入っております。」
「え?1tですか?」
「はい。その通りでございます。」
これ1箱で1,000万かぁ。
「本日はどの程度持って行かれますか?」
「えぇと。どの位上手くいくか分からないんでとりあえず1箱で、それでスムーズに出来る様なら出来るだけ・・・ってどの位あるんですか?」
「そうですねぇ私も膨大だとしか報告を貰ってませんので、しかも他の保管庫にも満載の状態でありますので。」
「え!?ここだけじゃないんですか?」
「年間数千トンの量が来ますし、教会が、処理出来ると王都から送っているのは年間で1,500tですからね。軍事演習で擬似スタンピードを起こす為に使ってはいますが、毎年数百トンは残ってしまいます。かといって、これ以上軍事演習を増やすと各国に戦争の疑い有りとされかねないので、どうしてもとそうして気付けばこの様な状態に。」
「なるほど・・・ん?一寸待てよ。1kg銀貨1枚だから1tで金貨1枚だよなぁ。」
「そうですね。」
「えぇと、1つ聞いて良いですか?」
「何でしょうか。」
「自分が攻略組の本部を建てるのはご存知ですよね。」
「はい。陛下から伺っております。」
「じゃあどの位の費用がいると思いますか?」
「そうですねぇ。国家事業として、彼処には既に兵が駐屯していますので、白金貨5枚有れば足りると思われます。」
50億!!?確かに莫大な費用だけど、この保管庫にある分だけでも1,000tは超えてるよなぁ・・・。
何か騙されてる感を感じながらももう直ぐお昼になるので、1t分だけアイテムボックス改に入れて予定通り、転送で外に出て格好を使徒使用に変装して王都に戻ってきた。
王都に戻るとリーグさんが御触れを出したのか、城までの道に王都中の人が集まり、平伏している様だった。
『とうちゃん、なんかすごいねぇ。』
「そうだな。やっぱり使徒なのは隠した方が良さそうだな。」
『だねぇ、いつもこんなんじゃヤダよね。』
「あぁ。」
俺は急ぎたい気持ちを抑え、リーグさんに言われた通り、ゆっくりと城の前まで来るとリーグさん、王家の人達や大臣の面々、会ったことも無い貴族であろう人々が城の門前に立っており、俺が到着するやいなや、跪き頭を垂れた。
「お久しぶりで御座います使徒様。王国を上げて歓迎致します。」
「うむ。アレから問題はないか?」
「使徒様が参戦して頂けたお陰で大した被害もありませんでしたので、王都は通常通り、平和そのもので御座います。」
「そうか。それは重畳であるな。」
「ハッ!使徒様にそう言って頂けるとは有り難き幸せ。この様な場所ではなんですので、城へお越し頂きたいのですが、如何でしょうか。」
「そうだな。行こうか。」
「ハッ!では此方へ。」
俺はリーグさんに促されるまま城の中に入っていった。
謁見の間に入るとリーグさんは玉座に俺を座らせようとした。
「我はよい。」
俺は流石にそれは嫌だったので少し段を上がると振り向いた。
「我は国王であるお主とその家臣、そしてそなたの民に話があって来たのだ。」
俺がそう言うとリーグさんや他の全員が跪き頭を垂れた。
「ハッ!」
「我はアストライアー様の使徒であるが、此度来た要件はラビリス様の件で参った。」
「ハッ!」
「先に言っておく、コレから言う話は使命ではない。」
「ハッ!」
「ラビリス様はダンジョン踏破されない事で忙しさが増した事を嘆いておいでだ!よって我はこの王国にある組織を作りたいと思う。」
「話の途中に失礼致します。組織とはどの様な事を為さるのでしょうか?」
「無論ダンジョン踏破だ。」
「では、何故この王都で作るのですか?」
「我が知らないとでも?」
「何をでしょうか?」
「此処の冒険者ギルドが機能していない所為で周りのダンジョンの魔物が増えていた事だ。」
「それはもう直ぐ正常に戻るとお約束致します。」
「それはこの前捕まった奴の代わりが来たという事か?」
「はい。昨日の夜に到着致しました。」
「その者が来れば、離れてしまった冒険者達が直ぐに戻るのか?」
「それは・・・。」
「どの組織であろうと1度失った信頼は直ぐには回復しない。そうではないか?」
「・・・その通りで御座います。」
「国王を責めている訳では無い。他の者は良案が有れば聞くがどうだ?」
俺がそう言うとバトロスさんが前に出て跪いた。
「恐れながら我が軍が御座います。それを派遣・・・」
「それは戦争の火種にはならんのか?」
「それは・・・」
「すまんな話を遮って。」
「いえ、滅相もありません。」
「だからこそ、何処にも属さない組織が必要なのだ。まぁ土地や民を借りることにはなるが。」
俺がそう言うとリーグさんが声を掛けてきた。
「土地というと?」
「例の保養地にしようとしている場所ならば土地は空いているであろう?」
「ハッ!承知致しました。建設させて頂きます。」
「いや、王国に資金を出させるつもりはない。そんな事をすれば独自の組織ではいられぬのでな。我が必要な資金を出し、そちの国民に呼び掛け、対価を払おう。」
「承知致しました。名は何とされるのでしょうか?」
「誰でも分かる様に攻略組とする。それで民に呼び掛けたいのだが、良き場所はないか?」
「承知致しました。」
リーグさんはそう言うと後ろを向き、言葉を発した。
「セドリック!使徒様が民へ演説なさる!準備をせよ!」
「御意!」
セドさんはそう言うと数人連れて謁見の間を出て行った。
「それでは使徒様、此方で御座います。」
「うむ。」
俺はそう言うとリーグさんの後を追って城のバルコニーに出た。
「では失礼致します。」
リーグさんはそう言うとバルコニーの先端に立った。
「余の民よ!使徒様からのお言葉がある!しかと聞くがよい!それでは使徒様、宜しく御願い致します。」
「うむ。」
俺はそう言うとリーグさんの立って居た場所に立って用意していたスピーチを話し始めた。
「親愛なる民達よ。我はアストライアー様の使徒である。しかし、此の度、迷宮神ラビリス様とも話す機会に恵まれ、ラビリス様はダンジョン踏破があまり成されない事に嘆いておられた。」
「その上、この前の事件を起こした冒険者ギルドの長に虐げられ、冒険者を辞めた者もいると聞く。しかし先程、国王から新しくギルドマスターとなる者が到着したと聞いた。冒険者に戻りたい者はその門徒を叩くといい。だが、心がそれを否定する者も居るであろう。」
「そこで我は何処にも属さない新たな組織を創ろうと思う。その名は・・・攻略組!その組織はダンジョン踏破のみを目指す組織である。その能力に見合った給金は我が与え、ダンジョンで手に入れた魔石以外の物は個人の物にすれば良い。その代わり、もし売るのであれば、冒険者ギルドに卸してやって欲しい。これからマスターに成る者も善良なギルド職員、冒険者には罪は無いのだから。以上だ!我に賛同する者やラビリス様を助けたいと願う者は我の組織に来てくれ!」
俺はそう言うとリーグさんに変わった。
「余の民よ!先程、使徒様から話が有り、建設予定地は例の湖と成った。使徒様がその建設費用を出して下さるゆえ、建設に携わりたい者、そして攻略組に入りたい者は城の前の広場に集まるが良い。使徒様に迷惑が掛からぬ様に審査致す。日時は明日昼以降となる以上だ!」
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