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第100話 [今後の予定]
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俺とセドさんに見られて気まずくなったのかリーグさんは話を変えてきた。
「しかし、もうそろそろ来てもいい頃なんだがのぅ。」
「誰か来るんですか?」
俺がそう質問すると扉を叩く音がした。
「陛下、ハロルド様がお見えになりました。」
「うむ。入られよ。」
「失礼致します。これはこれはシュウト様おはようございます。」
「ハロルドさん、おはようございます。何故ハロルドさんは此処に?」
「レイ様がシュウト様のお創りになる組織や孤児院の経営を一手に任されるので、レイ様がシュウト様の下で問題なく働ける様に指導して欲しいと陛下から依頼がありましたので。」
「あっ、そうなんですね。それはありがとうございます。」
「いえいえ、私もシュウト様のお役に立ちたいとやりたくてやってるだけなので。」
ハロルドさんの言い回しに2人でニヤッとしていると、隣りでガッチガチに緊張している人がいた。
「わた、わた、私はレイ・シン・ブリステンと、も、申します。ハ、ハ、ハロルド様のし、指導を受けられるとは、感動の極みです。レイとおよ、お呼び下さい。」
「レイ、大丈夫か?」
緊張のし過ぎで壊れ気味のレイを心配して声を掛けるとレイは顔だけを俺の方に向けて答えた。
「大丈夫じゃないかも、憧れの人が目の前に居るだけでもビックリしたのに俺を指導してくれるなんて、ゆ、夢じゃないよな。」
「動きがぎこちなさ過ぎて怖いぞ。まぁ経営者として憧れてるお前には仕方ないだろうけど。」
「ほっほっほ、それはそれは。別の事で憧れを持たれた事はありましたが、経営者の方で憧れを持たれるとは嬉しいですなぁ。そちらの方面では畏れられる事が多かったので。」
「そ、そんな事はありません!ハロルド様はもっとも尊敬を集めていらっしゃいます!」
「レイ様はお口が達者ですなぁ。」
「ハロルド様、自分の事はレイとお呼び下さい。」
「では、レイ皆様が唖然とされていますのでその辺で。」
「あっ、申し訳ありません!」
自分がまたやってしまったと思ったのかレイは深々と頭を下げて謝罪していた。
「まあまあ、これから気をつけていけばよろしい。だが、これより1ヶ月、みっちり指導するでな、気を引き締めての。」
「はい!」
レイの元気な返事にハロルドさんが微笑んでいるとリーグさんがハロルドさんに声を掛けた。
「ハロルド殿、何故1ヶ月なのじゃ?あの規模の建設だと半年から1年は掛かる見込みと報告が上がっておるはずじゃ、のぅセド。」
「そうです。私もそう聞いていますが、まさか縮小なさるのですか?」
「リーグ、セド、私がそんな事をすると思っておるのか?」
「「い、いえ!そんな事はありません。」」
ハロルドさんが少し睨むとリーグさんとセドさんは背筋を伸ばし、返答していた。
「分かればよろしい。ただお前達は思い違いをしておる。」
「思い違い・・・ですか?」
「今から建設するのは誰の建物だと思っておる。」
「それはシュウトど・・・シュウト殿、何かするのか?」
俺は思い当たる節がないので、全力で首を横に振った。
「では、どういう・・・」
「分からぬか。」
「はい。セドは分かるか?」
リーグさんにそう言われたセドさんも分からない様で首を振っていた。
「お前達、シュウト様を誰だと思っておる。」
「それは・・・使徒様です。」
「そうじゃ、シュウト様が使徒様である事を忘れてはいかん。しかもその使徒様はごくごく最近、王都を守って下さった使徒様じゃ。その使徒様が、今度はラビリス様を憂いて組織を創ると仰った事により、もう既に教皇様が精力的に動いていらっしゃる様で数日もすれば各所から建設に長けた教会関係者が到着するであろう。」
「た、確かに。」
「それだけではない。スタンピードが起こり、それを治めた後に創ると仰ったのだ。王都に居る者からすれば、使徒様が今後、また起こらない様に私財を投げ打って王都を護ろうとしている様には見えぬか?」
「そ、それは・・・」
「リーグ、セド、これでお前達の思い違いがわかったか。」
「「はい。」」
「しかし、それでも1ヶ月は早いのでは?」
「そんな事はない。儂が何故そういう見込みを立てたのか分かる様にお前達にもう1つ言っておこう。」
「何でしょう?」
「今現在、王都では使徒様のお役に立とうと貴族も民も冒険者ですら関係無く、昼夜問わず建設に参加しようという情勢になりつつあった。」
その言葉に俺は驚いてハロルドさんを見ると笑顔で制止された。
「まぁ流石にそれはシュウト様がお困りになられると思い、その様な事は使徒様が望んでおられぬ。自身の組織の所為で民が倒れる事、生活が保てぬ様になる様な事が有れば、使徒様が嘆かれる。という話を部下を使って流しているので、治まりつつある。だが、それでもと思う者もいる。誰だか分かるか?」
「直接守られた冒険者でしょうか?」
「それもあるが、シュウト様の使徒様として演説の最後になんと言ったか覚えておるか?」
「なるほど、彼等か。」
「そうじゃ、あの一言で彼等は苦境から逃れる事が出来、再生への一歩を踏み出す事が出来るだろう。」
「確かに彼等は救われた恩を返そうと必死になるのは明白ですな。何せ今残っているのは心根の良い職員と相当な覚悟の上で王都に来た者ですからなぁ。」
「えっ?そ、そんな大した事は言ってないですよ?」
ハロルドさん達の話に驚いて俺がそう言うと3人が3人とも溜息を吐きながら、俺を見て微笑んでいた。
「な、何ですか?」
「無自覚という所がシュウト殿らしいのぅ。」
「そうだな。流石、神に選ばれし者という事か。」
「お前達、それがシュウト様だ。使徒様であろうと無かろうと変わりはせぬよ。」
「その通りですな。」
「それよりもじゃ、お前達はその様に暴走する者が出ぬように御触れを出して、建設に携わる者同士が諍いを起こさぬ様にするのじゃぞ。」
「「分かりました。」」
俺は何か居た堪れなくなって、息子とミントちゃんが遊んでるのを眺めて癒されていた。
「よし!そういう事で、1ヶ月じゃ。そこで、シュウト様には申し訳無いのですが、頼みたい事がございます。」
「何ですか?」
「おそらくシュウト様は明日か明後日には使命の為に旅立たれると思いますが如何ですか?」
「はい。とりあえず、明後日にしようかと思ってます。」
「そこで、話によるとセドの一家をシン・ブリステンの街まで日帰り、もしくは1泊2日の日程で行くのですよね。」
「はい。そうですね。」
「私共も送って下さると。」
「はい。そのつもりですけど。」
「それでお願いというのは、指導する為にレイも連れて帰りたいと思いますので、セド一家の後に送って頂けないでしょうか?」
「良いですよ。あぁそうだ。もし、1ヶ月後にも自分が使命で動いてなかったらレイが王都に戻る時も連れて帰りますね。」
「いえ、そこまでは流石に申し訳ないので。」
「問題ないっていうより、自分の仲間ですし、自分の都合というか、レイを鍛えようと思ってるんで。」
「え?歩く人災のレイをですか?」
そうハロルドさんに言われ、レイを見ると苦笑いをしながら答えた。
「色々あって、そういう称号も持ってるんだ。」
「そ、そうか。相当あったんだな。」
「あぁ、自分でも数えるのを止めるくらいにはな。」
「・・・とりあえず、思いつく事は全てやらせるつもりだから先ずはハロルドさんの所で頑張ってな。」
「あぁ、それは勿論、シュウトが安心出来るくらいには成れる様にしとくよ。」
「そうか。」
俺達が話しているとリーグさんが声を掛けてきた。
「必要な紹介も終わったのじゃが、シュウト殿はこれからどうするのじゃ?」
「そうですねぇ。とりあえずはお昼を食べたらリョウマの所へ行って後は魔石作りをしようかと思ってます。」
「そうか。それではもう昼じゃから皆で食堂にでも行くかのぅ。」
「えっ?ホントだ。行きましょうか。」
俺がそう言うとセドさんが待ったを掛けた。
「リーグは、仕事が残ってるから此処で食事だ。思った以上に時間が経ってしまったからな。」
セドさんがそう言うとリーグさんは青ざめて項垂れていた。するとハロルドさんが声を掛けてきた。
「ささ、シュウト様、陛下の邪魔になっては行けませんので我々は退散すると致しましょう。」
俺は良いのかなぁと思いながらもセドさんに笑顔で見送られたので、正直、可哀想とは思いつつ、食堂へ向かった。
食事を終わらせた俺はこの後の事を皆んなに聞くことにした。
「レイはこの後、どうするんだ?」
「俺は時間もないからハロルドさ様に着いて行こうと思う。ハロルド様、良いですか?」
「ええ、私もレイの事を明後日の出発まで連れて行こうと思っていたので、一緒に行動致しましょう。後、様は要らないですよ。」
「いや・・・でしたら師匠と呼ばせて下さい。」
「師匠ですか・・・まぁレイがそう呼びたいのであれば好きにしなさい。」
「ありがとうございます師匠!」
レイは心の底から嬉しそうにハロルドさんの事を師匠と呼んで、ハロルドさんも満更でもない感じだった。
「ルークはどうするんだ?」
「俺か?俺は父上から頼まれた事を明後日までにやらなきゃいけねぇから、この後は1人で城下に行ってくるぞ。」
ルークがそう言うとミントちゃんが寂しそうな顔をして、ルークの服の裾を握っていた。
「ミント、すまねぇ。流石にお前を連れて行ける様な場所じゃねぇんだ。」
「そうなんだぁ。」
ミントちゃんはそう言うと明らかに落ち込んでいた。
「ちゃんとお土産は買ってくるから楽しみにしといてくれな。」
「うん♪分かった♪」
ルークはミントちゃんが嬉しそうに返事をした事にホッとした顔をしていた。
「じゃあ此処で解散だな。」
俺がそう言うとそれぞれ別々に行動し始め、俺はリョウマの所へ向かい、完成した移動式家屋を見せてもらった。
「おぉ想像以上に理想的な空間だな。それに空間拡張もされてるのか。俺と真司だけだと広い気はするが殆ど平屋の大きい一軒家と変わらないんじゃないか?」
「あぁルーク様も一緒に行くんでこざろ?それに何時かはパーティーを組む事になるかもしれないでござるからな。」
「そこまで考えてくれたのか、ありがとな。ほら、礼だ。」
俺はそう言うと幾つか鞄や袋を渡した。
「礼等要らぬのでござるのに・・・ありがとうでござる。ところでこれはもしかしてマジックバックでござるか?」
「そうだ。ダンジョンを幾つも廻ったら何個も手に入れたけど、俺は余り使い道がないからな。」
「そうでござるが売ればかなりの値段になるでござるよ?」
「ん~今の所、金も必要ないし、必要ならマジックバックに腐るほどあるしな。ってそういえば1回処分しようと思ってたの忘れてたわ。そういえば、空間拡張はこの城の人にやって貰ったんだよなぁ」
「そうでござるよ。」
「なら、リーグさんに渡して来るわ。ありがとう、じゃあな。」
俺はリョウマが明らかに疲れた顔をしていたので、移動式家屋を仕舞い、リーグさんの所へ向かった。
「しかし、もうそろそろ来てもいい頃なんだがのぅ。」
「誰か来るんですか?」
俺がそう質問すると扉を叩く音がした。
「陛下、ハロルド様がお見えになりました。」
「うむ。入られよ。」
「失礼致します。これはこれはシュウト様おはようございます。」
「ハロルドさん、おはようございます。何故ハロルドさんは此処に?」
「レイ様がシュウト様のお創りになる組織や孤児院の経営を一手に任されるので、レイ様がシュウト様の下で問題なく働ける様に指導して欲しいと陛下から依頼がありましたので。」
「あっ、そうなんですね。それはありがとうございます。」
「いえいえ、私もシュウト様のお役に立ちたいとやりたくてやってるだけなので。」
ハロルドさんの言い回しに2人でニヤッとしていると、隣りでガッチガチに緊張している人がいた。
「わた、わた、私はレイ・シン・ブリステンと、も、申します。ハ、ハ、ハロルド様のし、指導を受けられるとは、感動の極みです。レイとおよ、お呼び下さい。」
「レイ、大丈夫か?」
緊張のし過ぎで壊れ気味のレイを心配して声を掛けるとレイは顔だけを俺の方に向けて答えた。
「大丈夫じゃないかも、憧れの人が目の前に居るだけでもビックリしたのに俺を指導してくれるなんて、ゆ、夢じゃないよな。」
「動きがぎこちなさ過ぎて怖いぞ。まぁ経営者として憧れてるお前には仕方ないだろうけど。」
「ほっほっほ、それはそれは。別の事で憧れを持たれた事はありましたが、経営者の方で憧れを持たれるとは嬉しいですなぁ。そちらの方面では畏れられる事が多かったので。」
「そ、そんな事はありません!ハロルド様はもっとも尊敬を集めていらっしゃいます!」
「レイ様はお口が達者ですなぁ。」
「ハロルド様、自分の事はレイとお呼び下さい。」
「では、レイ皆様が唖然とされていますのでその辺で。」
「あっ、申し訳ありません!」
自分がまたやってしまったと思ったのかレイは深々と頭を下げて謝罪していた。
「まあまあ、これから気をつけていけばよろしい。だが、これより1ヶ月、みっちり指導するでな、気を引き締めての。」
「はい!」
レイの元気な返事にハロルドさんが微笑んでいるとリーグさんがハロルドさんに声を掛けた。
「ハロルド殿、何故1ヶ月なのじゃ?あの規模の建設だと半年から1年は掛かる見込みと報告が上がっておるはずじゃ、のぅセド。」
「そうです。私もそう聞いていますが、まさか縮小なさるのですか?」
「リーグ、セド、私がそんな事をすると思っておるのか?」
「「い、いえ!そんな事はありません。」」
ハロルドさんが少し睨むとリーグさんとセドさんは背筋を伸ばし、返答していた。
「分かればよろしい。ただお前達は思い違いをしておる。」
「思い違い・・・ですか?」
「今から建設するのは誰の建物だと思っておる。」
「それはシュウトど・・・シュウト殿、何かするのか?」
俺は思い当たる節がないので、全力で首を横に振った。
「では、どういう・・・」
「分からぬか。」
「はい。セドは分かるか?」
リーグさんにそう言われたセドさんも分からない様で首を振っていた。
「お前達、シュウト様を誰だと思っておる。」
「それは・・・使徒様です。」
「そうじゃ、シュウト様が使徒様である事を忘れてはいかん。しかもその使徒様はごくごく最近、王都を守って下さった使徒様じゃ。その使徒様が、今度はラビリス様を憂いて組織を創ると仰った事により、もう既に教皇様が精力的に動いていらっしゃる様で数日もすれば各所から建設に長けた教会関係者が到着するであろう。」
「た、確かに。」
「それだけではない。スタンピードが起こり、それを治めた後に創ると仰ったのだ。王都に居る者からすれば、使徒様が今後、また起こらない様に私財を投げ打って王都を護ろうとしている様には見えぬか?」
「そ、それは・・・」
「リーグ、セド、これでお前達の思い違いがわかったか。」
「「はい。」」
「しかし、それでも1ヶ月は早いのでは?」
「そんな事はない。儂が何故そういう見込みを立てたのか分かる様にお前達にもう1つ言っておこう。」
「何でしょう?」
「今現在、王都では使徒様のお役に立とうと貴族も民も冒険者ですら関係無く、昼夜問わず建設に参加しようという情勢になりつつあった。」
その言葉に俺は驚いてハロルドさんを見ると笑顔で制止された。
「まぁ流石にそれはシュウト様がお困りになられると思い、その様な事は使徒様が望んでおられぬ。自身の組織の所為で民が倒れる事、生活が保てぬ様になる様な事が有れば、使徒様が嘆かれる。という話を部下を使って流しているので、治まりつつある。だが、それでもと思う者もいる。誰だか分かるか?」
「直接守られた冒険者でしょうか?」
「それもあるが、シュウト様の使徒様として演説の最後になんと言ったか覚えておるか?」
「なるほど、彼等か。」
「そうじゃ、あの一言で彼等は苦境から逃れる事が出来、再生への一歩を踏み出す事が出来るだろう。」
「確かに彼等は救われた恩を返そうと必死になるのは明白ですな。何せ今残っているのは心根の良い職員と相当な覚悟の上で王都に来た者ですからなぁ。」
「えっ?そ、そんな大した事は言ってないですよ?」
ハロルドさん達の話に驚いて俺がそう言うと3人が3人とも溜息を吐きながら、俺を見て微笑んでいた。
「な、何ですか?」
「無自覚という所がシュウト殿らしいのぅ。」
「そうだな。流石、神に選ばれし者という事か。」
「お前達、それがシュウト様だ。使徒様であろうと無かろうと変わりはせぬよ。」
「その通りですな。」
「それよりもじゃ、お前達はその様に暴走する者が出ぬように御触れを出して、建設に携わる者同士が諍いを起こさぬ様にするのじゃぞ。」
「「分かりました。」」
俺は何か居た堪れなくなって、息子とミントちゃんが遊んでるのを眺めて癒されていた。
「よし!そういう事で、1ヶ月じゃ。そこで、シュウト様には申し訳無いのですが、頼みたい事がございます。」
「何ですか?」
「おそらくシュウト様は明日か明後日には使命の為に旅立たれると思いますが如何ですか?」
「はい。とりあえず、明後日にしようかと思ってます。」
「そこで、話によるとセドの一家をシン・ブリステンの街まで日帰り、もしくは1泊2日の日程で行くのですよね。」
「はい。そうですね。」
「私共も送って下さると。」
「はい。そのつもりですけど。」
「それでお願いというのは、指導する為にレイも連れて帰りたいと思いますので、セド一家の後に送って頂けないでしょうか?」
「良いですよ。あぁそうだ。もし、1ヶ月後にも自分が使命で動いてなかったらレイが王都に戻る時も連れて帰りますね。」
「いえ、そこまでは流石に申し訳ないので。」
「問題ないっていうより、自分の仲間ですし、自分の都合というか、レイを鍛えようと思ってるんで。」
「え?歩く人災のレイをですか?」
そうハロルドさんに言われ、レイを見ると苦笑いをしながら答えた。
「色々あって、そういう称号も持ってるんだ。」
「そ、そうか。相当あったんだな。」
「あぁ、自分でも数えるのを止めるくらいにはな。」
「・・・とりあえず、思いつく事は全てやらせるつもりだから先ずはハロルドさんの所で頑張ってな。」
「あぁ、それは勿論、シュウトが安心出来るくらいには成れる様にしとくよ。」
「そうか。」
俺達が話しているとリーグさんが声を掛けてきた。
「必要な紹介も終わったのじゃが、シュウト殿はこれからどうするのじゃ?」
「そうですねぇ。とりあえずはお昼を食べたらリョウマの所へ行って後は魔石作りをしようかと思ってます。」
「そうか。それではもう昼じゃから皆で食堂にでも行くかのぅ。」
「えっ?ホントだ。行きましょうか。」
俺がそう言うとセドさんが待ったを掛けた。
「リーグは、仕事が残ってるから此処で食事だ。思った以上に時間が経ってしまったからな。」
セドさんがそう言うとリーグさんは青ざめて項垂れていた。するとハロルドさんが声を掛けてきた。
「ささ、シュウト様、陛下の邪魔になっては行けませんので我々は退散すると致しましょう。」
俺は良いのかなぁと思いながらもセドさんに笑顔で見送られたので、正直、可哀想とは思いつつ、食堂へ向かった。
食事を終わらせた俺はこの後の事を皆んなに聞くことにした。
「レイはこの後、どうするんだ?」
「俺は時間もないからハロルドさ様に着いて行こうと思う。ハロルド様、良いですか?」
「ええ、私もレイの事を明後日の出発まで連れて行こうと思っていたので、一緒に行動致しましょう。後、様は要らないですよ。」
「いや・・・でしたら師匠と呼ばせて下さい。」
「師匠ですか・・・まぁレイがそう呼びたいのであれば好きにしなさい。」
「ありがとうございます師匠!」
レイは心の底から嬉しそうにハロルドさんの事を師匠と呼んで、ハロルドさんも満更でもない感じだった。
「ルークはどうするんだ?」
「俺か?俺は父上から頼まれた事を明後日までにやらなきゃいけねぇから、この後は1人で城下に行ってくるぞ。」
ルークがそう言うとミントちゃんが寂しそうな顔をして、ルークの服の裾を握っていた。
「ミント、すまねぇ。流石にお前を連れて行ける様な場所じゃねぇんだ。」
「そうなんだぁ。」
ミントちゃんはそう言うと明らかに落ち込んでいた。
「ちゃんとお土産は買ってくるから楽しみにしといてくれな。」
「うん♪分かった♪」
ルークはミントちゃんが嬉しそうに返事をした事にホッとした顔をしていた。
「じゃあ此処で解散だな。」
俺がそう言うとそれぞれ別々に行動し始め、俺はリョウマの所へ向かい、完成した移動式家屋を見せてもらった。
「おぉ想像以上に理想的な空間だな。それに空間拡張もされてるのか。俺と真司だけだと広い気はするが殆ど平屋の大きい一軒家と変わらないんじゃないか?」
「あぁルーク様も一緒に行くんでこざろ?それに何時かはパーティーを組む事になるかもしれないでござるからな。」
「そこまで考えてくれたのか、ありがとな。ほら、礼だ。」
俺はそう言うと幾つか鞄や袋を渡した。
「礼等要らぬのでござるのに・・・ありがとうでござる。ところでこれはもしかしてマジックバックでござるか?」
「そうだ。ダンジョンを幾つも廻ったら何個も手に入れたけど、俺は余り使い道がないからな。」
「そうでござるが売ればかなりの値段になるでござるよ?」
「ん~今の所、金も必要ないし、必要ならマジックバックに腐るほどあるしな。ってそういえば1回処分しようと思ってたの忘れてたわ。そういえば、空間拡張はこの城の人にやって貰ったんだよなぁ」
「そうでござるよ。」
「なら、リーグさんに渡して来るわ。ありがとう、じゃあな。」
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