転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第124話 [報告。]

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「なぁ、この後どうすんだ?」

俺が精霊達と話しているとルークに声を掛けられたので振り向いた。

「この後って?」

「もう結構遅くなったからな。」

「もうそんな時間か、じゃあとりあえず飯にするか。」

そう言うと俺達は移動式家屋に戻って食事を済ませた。

「で、明日はどうするんだ?」

「とりあえず朝はルーク、お前に気の使い方を教えてからアノスさんの所・・・いや、朝一にアノスさんの所へ行ってから気を教えるか。」

「やっとだな。だが、朝からじゃ駄目なのか?」

「いや、大丈夫だとは思うんだが、一応、不測の事態は避けたいからな。」

「そうか。やっぱり危険なのか?」

「まぁあれだけ恵美の攻撃を受けても大丈夫なら行けるはずだが、何分この世界には俺の気功法の概念は無さそうだからなぁ。それこそ近いのが、仙術らしいから、修行もしていない人間にはどうなるか分からないのが正直なところだな。」

「なるほど・・・亜神になろうとしてる方達か。」

「そうだな。まぁ明日は気を感じるところだけにしておくつもりだがな。」

「どうしてだ?」

「お前の体力と精神力が持たないと思う。」

「そんなにか。」

「初めてだとな。どんな奴でもぶっ倒れるからな。」

「・・・分かった。」

「だが、格上の相手でもいい勝負が出来る様になるから頑張れ。」

「おう。」

その後は少し雑談してその日は就寝した。

翌朝、朝食を食べ終わるとブリステンの邸へと移動した。

「シュウト様、ルーク様、お帰りなさいませ。」

「おっ!デニムさん何で此処に?」

「在庫確認をしに参ったのですが、シュウト様方がいらっしゃったのが見受けられましたので。」

「あぁ、そうなんですね。そうだ!アノスさんにお話があるんですけど、今から行っても良いか聞いて貰いたいんですけど、問題ありませんか?」

「承知致しました。少々お待ち下さい。」

デニムさんはそう言うと何処かへ行ってしまった。

「なぁ、ルーク。」

「ん?何だ?」

「執事って皆んなあぁなのか?」

「ん?あ~何か特別なスキルでも有るんじゃねぇか。俺もまだビックリする事が有るからな。」

「とりあえず気配を消すスキルとか、ルークが持ってる先見のスキルみたいなのはありそうだよな。」

「有り得る。じゃないと説明出来ない時があるもんな。」

こんな感じで雑談しているとデニムさんが戻ってきた。

「シュウト様、今からお会いになるそうですので、少々お待ち下さい。」

「え?自分が行きますよ?」

「いえいえ、そういう訳には行きません。」

「あっもしかしてルークが居るからですか?」

「その通りです。対外的には王子を呼びつけている様に見えますので。」

「なるほど、それなら仕方ないですね。」

「それでは、彼処のテラスの方でお待ち下さい。」

デニムさんにそう言われ、テラスで椅子に座るとメイドのオリジャさんが飲み物を用意してくれた。

暫く待っているとアノスさんがやってきた。

「お待たせしたのぅ。して、シュウト殿、此度はどうされたのじゃ?」

「緊急の案件じゃないんですが、ダンジョンを発見したので報告に来ました。」

「ダンジョンとな。」

「はい。あの後、使命を遂行する為にこの辺りの海域に行ったところ・・・」

俺はルークが持っていた地図で海底神殿の場所を示しながらAランク上位のダンジョンが在った事、転生させる方が42階層に居た事を話した。

「なるほどのぅ。じゃからあの海域は数年起きにシーサーペントが大発生しておったのじゃな。して、その様なダンジョンの42階層に居ったのは誰だったのじゃ?」

「マリクワさんです。」

「マリクワというとあのSランク冒険者のマリクワか?」

「はい。」

「惜しい男を無くしたのぅ。」

アノスさんが寂しそうな顔で空を見上げていたので、暫くしてから声を掛けた。

「お知り合いだったんですか?」

「戦友じゃ。」

「なら、マリクワさんの御家族か親戚はご存知ないですか?」

「いや、儂は知らんのぅ。ハロルドなら知っておるかもしれんがのぅ。」

「私が何か?」

アノスさんがそう言うと懐かしい声か聞こえたので、振り向くとハロルドさんとレイが歩いてきた。

「え!?ハロルドさん、どうして此処に!?」

「お久しぶりです、シュウト様。我々は此処ブリステンに商談に参ったのです。」

「あっ!お久しぶりです。なるほど、そうなんですね。」

「ところでシュウト様、先程私なら知っているとお聞きしましたが、どうされましたか?」

「マリクワの事じゃ。」

「マリクワがどうしたのだ?」

「死んだそうだ。シュウト様が転生させたとの事じゃ。」

「・・・そうか・・・彼奴も逝ってしまったか・・・。」

それを聞いてハロルドさんも寂しそうな顔をしていたので、暫く待っているとハロルドさんが俺の方を真剣に見てきた。

「シュウト様、此の度も誠にありがとうございます。先に旅立ったドーラも安心出来るでしょう。」

「ドーラさんもご存知なんですか?」

「それは勿論、しかし何故シュウト様がご存知なのですか?まさか、彼女も?」

そう聞かれた俺は経緯を話した。

「あの夫婦は相変わらずですなぁ。」

「そうだ、ハロルドさんはマリクワさん達の御家族か親戚はご存知ですか?」

「あの夫婦に家族や親戚は居ませんよ。」

「そうなんですか・・・。」

「どうかされましたか?」

「いや、転生させる時にマリクワさんにコレクションを頂いたので、家族や親戚がいらっしゃるなら一部を除いてお渡ししようかと思っていたので。」

「なるほど、しかしシュウト様にしては珍しいですね。」

「何がですか?」

「家族や親戚が居ないのが分かってホッとしたようでしたので。」

「あぁ、それはドーラさんの呪いが移っていたらと思いまして。」

「そうですか、呪いで・・・呪い!ドーラは呪いに掛かっていたのですか!?」

「あっ・・・はい。その通りです。」

「まさか、邪龍の呪いでは?」

「はい。ご存知だったんですか?」

「いや、やはりそうでしたか。」

「やはりとは?」

「いえ、マリクワが邪龍を討伐した後、暫くしてからドーラの調子が悪くなっていたので。」

「呪いを消す方法は無かったのですか?」

「いえ、ガシュウ教皇様か聖女様にお願いすれば、邪龍の呪いなら解呪出来ます。」

「じゃあ何故?」

「マリクワが言うには教会に2人で行って調べて貰ったそうなんですけど、呪いでは無いと言われたそうです。」

「邪龍の呪いとは調べられないモノなのですか?」

「いいえ、確実に分かると思われます。世間でも常識ですので、本人達も信じたのでしょう。」

「隠蔽されてたとか?」

「いえ、それも考え難いです。マリクワの話によると邪龍に隠蔽する力は残って無かったとの事です。」

「なら、教会ですか?」

「考えたくはないですが、その可能性が1番高いかと。」

そう言ったハロルドさんは血が滲む程の力で手を握っていた。それを見た俺はポーションを取り出しハロルドさんに差し出した。

「シュ、シュウト様何を・・・申し訳御座いません。」

ハロルドさんは自分の手から血が出ているのに気付くと俺が差し出したポーションを受け取り、血を滲んでいた手に掛けた。

「私とした事が申し訳御座いません。」

「仲が良かったんですね。」

「はい。彼奴には随分迷惑を掛けられましたが心を許せる友の1人です。」

「迷惑というと迷子癖ですか?」

「その通りです。何故お分かりに?」

「ダンジョンの5階層に飛ばされたはずなのに最後に居た場所が42階層だったので。」

「ホッホッホ。彼奴らしい最後ですなぁ。」

「やっぱり驚かないんですね。」

「それは勿論。彼奴の邸宅の前で待ち合わせしたにも関わらず、迷って数km離れた森の中にいた事もありましたからな。」

「はぁ~凄いですね。」

「その時もドーラに案内して貰えなければ辿り着く事など不可能でしたからね。」

「スキルが有るとはいえ流石、ドーラさんですね。」

「スキルですか?」

「はい。音で発見する事が出来ていたのだと。」

「なるほど、その様なスキルを持っておったから全てを見つけられたのですな。」

「そうですね。ご本人は使ってるつもりは無かったと思いますけど。」

「確かにドーラなら無意識で使ってそうですな。」

「意識出来ていたら相手の嘘も見抜けていたかも知れませんね。」

「なるほど・・・。」

そう言うとハロルドさんは考え込んでいた。

「ハロルドよ。真相を探るなら息子や陛下にも相談してやれよ。」

「そうだな。彼奴等もマリクワを慕っておったしのぅ。」

「ハロルドよ。先程の商談じゃが、お主が示した金額で買うからシュウト殿にお願いしてはどうじゃ?」

「シュウト様、お願い出来ますでしょうか?」

「王都へですよね?良いですよ。」

「レイ!此処は頼んだぞ。」

「はい!」

「それではシュウト様お願い致します。」

ハロルドさんに頼まれた俺はルークを残して王都に送り届けて戻ってきた。

「それでこれからどうするのじゃ?」

「今日はこのまま此処で、ルークの修行をしようと思ってます。」

「そうか。では、儂も失礼してラグナとラクスに新たなダンジョンの事を話し合ってくるかの。おぅそうじゃレイ殿、すまぬがハロルドとの商談の書類は後で持ってきて貰えると助かるのじゃが、良いかの?」

「はい。問題ありません。」

レイがそう言うとアノスさんは去って行った。

「レイ、順調か?」

「あぁ、もう何時でも大丈夫だけど、今は最後の詰めって感じだよ。ルークの方はどうなんだい?」

「そうだなぁ。もう少し掛かるかな。」

「約束の日までもう2週間もないよ。」

「それまでには何とか間に合わせるさ。」

「おいおい。それって俺死なねぇよなぁ。」

「そんなわけないだろ。ただ覚悟は必要だな。」

俺がそう言うとルークは青ざめていた。

「ル、ルーク、そんなに厳しいのか?」

「厳しい?そんな甘くはねぇよ。」

ルークがそう言うとレイは驚いた顔をしながら俺の方を見てきた。

「大丈夫。無傷だろ。」

「まぁ。」

「無傷なのはポーションのお陰じゃないか!俺のお気に入りの防具はボロボロなんだぞ!」

「それはお前が悪いんじゃないか。」

「それは・・・。」

「ルーク、無事に帰って来いよ。」

「あぁ。」

「何だよそれ。お前ら俺の事どう思ってるんだよ。」

「鬼。」

「鬼畜。」

「ほ~そうかそうか。そうして欲しいって事だな。」

「いや!ジョーダンだって!」

「そ、そうだよ。ジョーダン。」

「・・・。」

「「すみませんでしたぁ!」」

俺が黙って2人を見ていると頭を下げて謝ってきたので、2人の肩を叩いた。

「まぁ、ジョーダンだ。2人共、内弟子として扱うだけだ。」

俺がそう言うと2人は何とも言えない様な顔をしていた。
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