125 / 414
第124話 [報告。]
しおりを挟む
「なぁ、この後どうすんだ?」
俺が精霊達と話しているとルークに声を掛けられたので振り向いた。
「この後って?」
「もう結構遅くなったからな。」
「もうそんな時間か、じゃあとりあえず飯にするか。」
そう言うと俺達は移動式家屋に戻って食事を済ませた。
「で、明日はどうするんだ?」
「とりあえず朝はルーク、お前に気の使い方を教えてからアノスさんの所・・・いや、朝一にアノスさんの所へ行ってから気を教えるか。」
「やっとだな。だが、朝からじゃ駄目なのか?」
「いや、大丈夫だとは思うんだが、一応、不測の事態は避けたいからな。」
「そうか。やっぱり危険なのか?」
「まぁあれだけ恵美の攻撃を受けても大丈夫なら行けるはずだが、何分この世界には俺の気功法の概念は無さそうだからなぁ。それこそ近いのが、仙術らしいから、修行もしていない人間にはどうなるか分からないのが正直なところだな。」
「なるほど・・・亜神になろうとしてる方達か。」
「そうだな。まぁ明日は気を感じるところだけにしておくつもりだがな。」
「どうしてだ?」
「お前の体力と精神力が持たないと思う。」
「そんなにか。」
「初めてだとな。どんな奴でもぶっ倒れるからな。」
「・・・分かった。」
「だが、格上の相手でもいい勝負が出来る様になるから頑張れ。」
「おう。」
その後は少し雑談してその日は就寝した。
翌朝、朝食を食べ終わるとブリステンの邸へと移動した。
「シュウト様、ルーク様、お帰りなさいませ。」
「おっ!デニムさん何で此処に?」
「在庫確認をしに参ったのですが、シュウト様方がいらっしゃったのが見受けられましたので。」
「あぁ、そうなんですね。そうだ!アノスさんにお話があるんですけど、今から行っても良いか聞いて貰いたいんですけど、問題ありませんか?」
「承知致しました。少々お待ち下さい。」
デニムさんはそう言うと何処かへ行ってしまった。
「なぁ、ルーク。」
「ん?何だ?」
「執事って皆んなあぁなのか?」
「ん?あ~何か特別なスキルでも有るんじゃねぇか。俺もまだビックリする事が有るからな。」
「とりあえず気配を消すスキルとか、ルークが持ってる先見のスキルみたいなのはありそうだよな。」
「有り得る。じゃないと説明出来ない時があるもんな。」
こんな感じで雑談しているとデニムさんが戻ってきた。
「シュウト様、今からお会いになるそうですので、少々お待ち下さい。」
「え?自分が行きますよ?」
「いえいえ、そういう訳には行きません。」
「あっもしかしてルークが居るからですか?」
「その通りです。対外的には王子を呼びつけている様に見えますので。」
「なるほど、それなら仕方ないですね。」
「それでは、彼処のテラスの方でお待ち下さい。」
デニムさんにそう言われ、テラスで椅子に座るとメイドのオリジャさんが飲み物を用意してくれた。
暫く待っているとアノスさんがやってきた。
「お待たせしたのぅ。して、シュウト殿、此度はどうされたのじゃ?」
「緊急の案件じゃないんですが、ダンジョンを発見したので報告に来ました。」
「ダンジョンとな。」
「はい。あの後、使命を遂行する為にこの辺りの海域に行ったところ・・・」
俺はルークが持っていた地図で海底神殿の場所を示しながらAランク上位のダンジョンが在った事、転生させる方が42階層に居た事を話した。
「なるほどのぅ。じゃからあの海域は数年起きにシーサーペントが大発生しておったのじゃな。して、その様なダンジョンの42階層に居ったのは誰だったのじゃ?」
「マリクワさんです。」
「マリクワというとあのSランク冒険者のマリクワか?」
「はい。」
「惜しい男を無くしたのぅ。」
アノスさんが寂しそうな顔で空を見上げていたので、暫くしてから声を掛けた。
「お知り合いだったんですか?」
「戦友じゃ。」
「なら、マリクワさんの御家族か親戚はご存知ないですか?」
「いや、儂は知らんのぅ。ハロルドなら知っておるかもしれんがのぅ。」
「私が何か?」
アノスさんがそう言うと懐かしい声か聞こえたので、振り向くとハロルドさんとレイが歩いてきた。
「え!?ハロルドさん、どうして此処に!?」
「お久しぶりです、シュウト様。我々は此処ブリステンに商談に参ったのです。」
「あっ!お久しぶりです。なるほど、そうなんですね。」
「ところでシュウト様、先程私なら知っているとお聞きしましたが、どうされましたか?」
「マリクワの事じゃ。」
「マリクワがどうしたのだ?」
「死んだそうだ。シュウト様が転生させたとの事じゃ。」
「・・・そうか・・・彼奴も逝ってしまったか・・・。」
それを聞いてハロルドさんも寂しそうな顔をしていたので、暫く待っているとハロルドさんが俺の方を真剣に見てきた。
「シュウト様、此の度も誠にありがとうございます。先に旅立ったドーラも安心出来るでしょう。」
「ドーラさんもご存知なんですか?」
「それは勿論、しかし何故シュウト様がご存知なのですか?まさか、彼女も?」
そう聞かれた俺は経緯を話した。
「あの夫婦は相変わらずですなぁ。」
「そうだ、ハロルドさんはマリクワさん達の御家族か親戚はご存知ですか?」
「あの夫婦に家族や親戚は居ませんよ。」
「そうなんですか・・・。」
「どうかされましたか?」
「いや、転生させる時にマリクワさんにコレクションを頂いたので、家族や親戚がいらっしゃるなら一部を除いてお渡ししようかと思っていたので。」
「なるほど、しかしシュウト様にしては珍しいですね。」
「何がですか?」
「家族や親戚が居ないのが分かってホッとしたようでしたので。」
「あぁ、それはドーラさんの呪いが移っていたらと思いまして。」
「そうですか、呪いで・・・呪い!ドーラは呪いに掛かっていたのですか!?」
「あっ・・・はい。その通りです。」
「まさか、邪龍の呪いでは?」
「はい。ご存知だったんですか?」
「いや、やはりそうでしたか。」
「やはりとは?」
「いえ、マリクワが邪龍を討伐した後、暫くしてからドーラの調子が悪くなっていたので。」
「呪いを消す方法は無かったのですか?」
「いえ、ガシュウ教皇様か聖女様にお願いすれば、邪龍の呪いなら解呪出来ます。」
「じゃあ何故?」
「マリクワが言うには教会に2人で行って調べて貰ったそうなんですけど、呪いでは無いと言われたそうです。」
「邪龍の呪いとは調べられないモノなのですか?」
「いいえ、確実に分かると思われます。世間でも常識ですので、本人達も信じたのでしょう。」
「隠蔽されてたとか?」
「いえ、それも考え難いです。マリクワの話によると邪龍に隠蔽する力は残って無かったとの事です。」
「なら、教会ですか?」
「考えたくはないですが、その可能性が1番高いかと。」
そう言ったハロルドさんは血が滲む程の力で手を握っていた。それを見た俺はポーションを取り出しハロルドさんに差し出した。
「シュ、シュウト様何を・・・申し訳御座いません。」
ハロルドさんは自分の手から血が出ているのに気付くと俺が差し出したポーションを受け取り、血を滲んでいた手に掛けた。
「私とした事が申し訳御座いません。」
「仲が良かったんですね。」
「はい。彼奴には随分迷惑を掛けられましたが心を許せる友の1人です。」
「迷惑というと迷子癖ですか?」
「その通りです。何故お分かりに?」
「ダンジョンの5階層に飛ばされたはずなのに最後に居た場所が42階層だったので。」
「ホッホッホ。彼奴らしい最後ですなぁ。」
「やっぱり驚かないんですね。」
「それは勿論。彼奴の邸宅の前で待ち合わせしたにも関わらず、迷って数km離れた森の中にいた事もありましたからな。」
「はぁ~凄いですね。」
「その時もドーラに案内して貰えなければ辿り着く事など不可能でしたからね。」
「スキルが有るとはいえ流石、ドーラさんですね。」
「スキルですか?」
「はい。音で発見する事が出来ていたのだと。」
「なるほど、その様なスキルを持っておったから全てを見つけられたのですな。」
「そうですね。ご本人は使ってるつもりは無かったと思いますけど。」
「確かにドーラなら無意識で使ってそうですな。」
「意識出来ていたら相手の嘘も見抜けていたかも知れませんね。」
「なるほど・・・。」
そう言うとハロルドさんは考え込んでいた。
「ハロルドよ。真相を探るなら息子や陛下にも相談してやれよ。」
「そうだな。彼奴等もマリクワを慕っておったしのぅ。」
「ハロルドよ。先程の商談じゃが、お主が示した金額で買うからシュウト殿にお願いしてはどうじゃ?」
「シュウト様、お願い出来ますでしょうか?」
「王都へですよね?良いですよ。」
「レイ!此処は頼んだぞ。」
「はい!」
「それではシュウト様お願い致します。」
ハロルドさんに頼まれた俺はルークを残して王都に送り届けて戻ってきた。
「それでこれからどうするのじゃ?」
「今日はこのまま此処で、ルークの修行をしようと思ってます。」
「そうか。では、儂も失礼してラグナとラクスに新たなダンジョンの事を話し合ってくるかの。おぅそうじゃレイ殿、すまぬがハロルドとの商談の書類は後で持ってきて貰えると助かるのじゃが、良いかの?」
「はい。問題ありません。」
レイがそう言うとアノスさんは去って行った。
「レイ、順調か?」
「あぁ、もう何時でも大丈夫だけど、今は最後の詰めって感じだよ。ルークの方はどうなんだい?」
「そうだなぁ。もう少し掛かるかな。」
「約束の日までもう2週間もないよ。」
「それまでには何とか間に合わせるさ。」
「おいおい。それって俺死なねぇよなぁ。」
「そんなわけないだろ。ただ覚悟は必要だな。」
俺がそう言うとルークは青ざめていた。
「ル、ルーク、そんなに厳しいのか?」
「厳しい?そんな甘くはねぇよ。」
ルークがそう言うとレイは驚いた顔をしながら俺の方を見てきた。
「大丈夫。無傷だろ。」
「まぁ。」
「無傷なのはポーションのお陰じゃないか!俺のお気に入りの防具はボロボロなんだぞ!」
「それはお前が悪いんじゃないか。」
「それは・・・。」
「ルーク、無事に帰って来いよ。」
「あぁ。」
「何だよそれ。お前ら俺の事どう思ってるんだよ。」
「鬼。」
「鬼畜。」
「ほ~そうかそうか。そうして欲しいって事だな。」
「いや!ジョーダンだって!」
「そ、そうだよ。ジョーダン。」
「・・・。」
「「すみませんでしたぁ!」」
俺が黙って2人を見ていると頭を下げて謝ってきたので、2人の肩を叩いた。
「まぁ、ジョーダンだ。2人共、内弟子として扱うだけだ。」
俺がそう言うと2人は何とも言えない様な顔をしていた。
俺が精霊達と話しているとルークに声を掛けられたので振り向いた。
「この後って?」
「もう結構遅くなったからな。」
「もうそんな時間か、じゃあとりあえず飯にするか。」
そう言うと俺達は移動式家屋に戻って食事を済ませた。
「で、明日はどうするんだ?」
「とりあえず朝はルーク、お前に気の使い方を教えてからアノスさんの所・・・いや、朝一にアノスさんの所へ行ってから気を教えるか。」
「やっとだな。だが、朝からじゃ駄目なのか?」
「いや、大丈夫だとは思うんだが、一応、不測の事態は避けたいからな。」
「そうか。やっぱり危険なのか?」
「まぁあれだけ恵美の攻撃を受けても大丈夫なら行けるはずだが、何分この世界には俺の気功法の概念は無さそうだからなぁ。それこそ近いのが、仙術らしいから、修行もしていない人間にはどうなるか分からないのが正直なところだな。」
「なるほど・・・亜神になろうとしてる方達か。」
「そうだな。まぁ明日は気を感じるところだけにしておくつもりだがな。」
「どうしてだ?」
「お前の体力と精神力が持たないと思う。」
「そんなにか。」
「初めてだとな。どんな奴でもぶっ倒れるからな。」
「・・・分かった。」
「だが、格上の相手でもいい勝負が出来る様になるから頑張れ。」
「おう。」
その後は少し雑談してその日は就寝した。
翌朝、朝食を食べ終わるとブリステンの邸へと移動した。
「シュウト様、ルーク様、お帰りなさいませ。」
「おっ!デニムさん何で此処に?」
「在庫確認をしに参ったのですが、シュウト様方がいらっしゃったのが見受けられましたので。」
「あぁ、そうなんですね。そうだ!アノスさんにお話があるんですけど、今から行っても良いか聞いて貰いたいんですけど、問題ありませんか?」
「承知致しました。少々お待ち下さい。」
デニムさんはそう言うと何処かへ行ってしまった。
「なぁ、ルーク。」
「ん?何だ?」
「執事って皆んなあぁなのか?」
「ん?あ~何か特別なスキルでも有るんじゃねぇか。俺もまだビックリする事が有るからな。」
「とりあえず気配を消すスキルとか、ルークが持ってる先見のスキルみたいなのはありそうだよな。」
「有り得る。じゃないと説明出来ない時があるもんな。」
こんな感じで雑談しているとデニムさんが戻ってきた。
「シュウト様、今からお会いになるそうですので、少々お待ち下さい。」
「え?自分が行きますよ?」
「いえいえ、そういう訳には行きません。」
「あっもしかしてルークが居るからですか?」
「その通りです。対外的には王子を呼びつけている様に見えますので。」
「なるほど、それなら仕方ないですね。」
「それでは、彼処のテラスの方でお待ち下さい。」
デニムさんにそう言われ、テラスで椅子に座るとメイドのオリジャさんが飲み物を用意してくれた。
暫く待っているとアノスさんがやってきた。
「お待たせしたのぅ。して、シュウト殿、此度はどうされたのじゃ?」
「緊急の案件じゃないんですが、ダンジョンを発見したので報告に来ました。」
「ダンジョンとな。」
「はい。あの後、使命を遂行する為にこの辺りの海域に行ったところ・・・」
俺はルークが持っていた地図で海底神殿の場所を示しながらAランク上位のダンジョンが在った事、転生させる方が42階層に居た事を話した。
「なるほどのぅ。じゃからあの海域は数年起きにシーサーペントが大発生しておったのじゃな。して、その様なダンジョンの42階層に居ったのは誰だったのじゃ?」
「マリクワさんです。」
「マリクワというとあのSランク冒険者のマリクワか?」
「はい。」
「惜しい男を無くしたのぅ。」
アノスさんが寂しそうな顔で空を見上げていたので、暫くしてから声を掛けた。
「お知り合いだったんですか?」
「戦友じゃ。」
「なら、マリクワさんの御家族か親戚はご存知ないですか?」
「いや、儂は知らんのぅ。ハロルドなら知っておるかもしれんがのぅ。」
「私が何か?」
アノスさんがそう言うと懐かしい声か聞こえたので、振り向くとハロルドさんとレイが歩いてきた。
「え!?ハロルドさん、どうして此処に!?」
「お久しぶりです、シュウト様。我々は此処ブリステンに商談に参ったのです。」
「あっ!お久しぶりです。なるほど、そうなんですね。」
「ところでシュウト様、先程私なら知っているとお聞きしましたが、どうされましたか?」
「マリクワの事じゃ。」
「マリクワがどうしたのだ?」
「死んだそうだ。シュウト様が転生させたとの事じゃ。」
「・・・そうか・・・彼奴も逝ってしまったか・・・。」
それを聞いてハロルドさんも寂しそうな顔をしていたので、暫く待っているとハロルドさんが俺の方を真剣に見てきた。
「シュウト様、此の度も誠にありがとうございます。先に旅立ったドーラも安心出来るでしょう。」
「ドーラさんもご存知なんですか?」
「それは勿論、しかし何故シュウト様がご存知なのですか?まさか、彼女も?」
そう聞かれた俺は経緯を話した。
「あの夫婦は相変わらずですなぁ。」
「そうだ、ハロルドさんはマリクワさん達の御家族か親戚はご存知ですか?」
「あの夫婦に家族や親戚は居ませんよ。」
「そうなんですか・・・。」
「どうかされましたか?」
「いや、転生させる時にマリクワさんにコレクションを頂いたので、家族や親戚がいらっしゃるなら一部を除いてお渡ししようかと思っていたので。」
「なるほど、しかしシュウト様にしては珍しいですね。」
「何がですか?」
「家族や親戚が居ないのが分かってホッとしたようでしたので。」
「あぁ、それはドーラさんの呪いが移っていたらと思いまして。」
「そうですか、呪いで・・・呪い!ドーラは呪いに掛かっていたのですか!?」
「あっ・・・はい。その通りです。」
「まさか、邪龍の呪いでは?」
「はい。ご存知だったんですか?」
「いや、やはりそうでしたか。」
「やはりとは?」
「いえ、マリクワが邪龍を討伐した後、暫くしてからドーラの調子が悪くなっていたので。」
「呪いを消す方法は無かったのですか?」
「いえ、ガシュウ教皇様か聖女様にお願いすれば、邪龍の呪いなら解呪出来ます。」
「じゃあ何故?」
「マリクワが言うには教会に2人で行って調べて貰ったそうなんですけど、呪いでは無いと言われたそうです。」
「邪龍の呪いとは調べられないモノなのですか?」
「いいえ、確実に分かると思われます。世間でも常識ですので、本人達も信じたのでしょう。」
「隠蔽されてたとか?」
「いえ、それも考え難いです。マリクワの話によると邪龍に隠蔽する力は残って無かったとの事です。」
「なら、教会ですか?」
「考えたくはないですが、その可能性が1番高いかと。」
そう言ったハロルドさんは血が滲む程の力で手を握っていた。それを見た俺はポーションを取り出しハロルドさんに差し出した。
「シュ、シュウト様何を・・・申し訳御座いません。」
ハロルドさんは自分の手から血が出ているのに気付くと俺が差し出したポーションを受け取り、血を滲んでいた手に掛けた。
「私とした事が申し訳御座いません。」
「仲が良かったんですね。」
「はい。彼奴には随分迷惑を掛けられましたが心を許せる友の1人です。」
「迷惑というと迷子癖ですか?」
「その通りです。何故お分かりに?」
「ダンジョンの5階層に飛ばされたはずなのに最後に居た場所が42階層だったので。」
「ホッホッホ。彼奴らしい最後ですなぁ。」
「やっぱり驚かないんですね。」
「それは勿論。彼奴の邸宅の前で待ち合わせしたにも関わらず、迷って数km離れた森の中にいた事もありましたからな。」
「はぁ~凄いですね。」
「その時もドーラに案内して貰えなければ辿り着く事など不可能でしたからね。」
「スキルが有るとはいえ流石、ドーラさんですね。」
「スキルですか?」
「はい。音で発見する事が出来ていたのだと。」
「なるほど、その様なスキルを持っておったから全てを見つけられたのですな。」
「そうですね。ご本人は使ってるつもりは無かったと思いますけど。」
「確かにドーラなら無意識で使ってそうですな。」
「意識出来ていたら相手の嘘も見抜けていたかも知れませんね。」
「なるほど・・・。」
そう言うとハロルドさんは考え込んでいた。
「ハロルドよ。真相を探るなら息子や陛下にも相談してやれよ。」
「そうだな。彼奴等もマリクワを慕っておったしのぅ。」
「ハロルドよ。先程の商談じゃが、お主が示した金額で買うからシュウト殿にお願いしてはどうじゃ?」
「シュウト様、お願い出来ますでしょうか?」
「王都へですよね?良いですよ。」
「レイ!此処は頼んだぞ。」
「はい!」
「それではシュウト様お願い致します。」
ハロルドさんに頼まれた俺はルークを残して王都に送り届けて戻ってきた。
「それでこれからどうするのじゃ?」
「今日はこのまま此処で、ルークの修行をしようと思ってます。」
「そうか。では、儂も失礼してラグナとラクスに新たなダンジョンの事を話し合ってくるかの。おぅそうじゃレイ殿、すまぬがハロルドとの商談の書類は後で持ってきて貰えると助かるのじゃが、良いかの?」
「はい。問題ありません。」
レイがそう言うとアノスさんは去って行った。
「レイ、順調か?」
「あぁ、もう何時でも大丈夫だけど、今は最後の詰めって感じだよ。ルークの方はどうなんだい?」
「そうだなぁ。もう少し掛かるかな。」
「約束の日までもう2週間もないよ。」
「それまでには何とか間に合わせるさ。」
「おいおい。それって俺死なねぇよなぁ。」
「そんなわけないだろ。ただ覚悟は必要だな。」
俺がそう言うとルークは青ざめていた。
「ル、ルーク、そんなに厳しいのか?」
「厳しい?そんな甘くはねぇよ。」
ルークがそう言うとレイは驚いた顔をしながら俺の方を見てきた。
「大丈夫。無傷だろ。」
「まぁ。」
「無傷なのはポーションのお陰じゃないか!俺のお気に入りの防具はボロボロなんだぞ!」
「それはお前が悪いんじゃないか。」
「それは・・・。」
「ルーク、無事に帰って来いよ。」
「あぁ。」
「何だよそれ。お前ら俺の事どう思ってるんだよ。」
「鬼。」
「鬼畜。」
「ほ~そうかそうか。そうして欲しいって事だな。」
「いや!ジョーダンだって!」
「そ、そうだよ。ジョーダン。」
「・・・。」
「「すみませんでしたぁ!」」
俺が黙って2人を見ていると頭を下げて謝ってきたので、2人の肩を叩いた。
「まぁ、ジョーダンだ。2人共、内弟子として扱うだけだ。」
俺がそう言うと2人は何とも言えない様な顔をしていた。
94
あなたにおすすめの小説
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
光属性が多い世界で光属性になりました
はじめ
ファンタジー
転生先はかつて勇者、聖女のみが光属性を持つ世界だったが、
勇者が残した子孫が多すぎて光属性持ちが庶民、貴族当たり前の世界。むしろ貴族ならば属性二個持ち以上は当たり前の世界になっていた。
そんな中、貴族で光属性のみで生まれたアデレイド
前世の記憶とアイデアで光属性のみの虐げられる運命を跳ね除けられるのか。
小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!
ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。
一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて?
主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍?
「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」
『わふっ』
もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
『ひまりのスローライフ便り 〜異世界でもふもふに囲まれて〜』
チャチャ
ファンタジー
孤児院育ちの23歳女子・葛西ひまりは、ある日、不思議な本に導かれて異世界へ。
そこでは、アレルギー体質がウソのように治り、もふもふたちとふれあえる夢の生活が待っていた!
畑と料理、ちょっと不思議な魔法とあったかい人々——のんびりスローな新しい毎日が、今始まる。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
最強超人は異世界にてスマホを使う
萩場ぬし
ファンタジー
主人公、柏木 和(かしわぎ かず)は「武人」と呼ばれる武術を極めんとする者であり、ある日祖父から自分が世界で最強であることを知らされたのだった。
そして次の瞬間、自宅のコタツにいたはずの和は見知らぬ土地で寝転がっていた――
「……いや草」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる