転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第194話 [魔動線。]

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 予定通り1時間掛けて聖光石を作った俺はドラウ達の下へ戻った。

「どうだ?」

「問題ねぇぞ。魔力の吸収・放出も問題なく出来たぞ。」

「レイは見学してみてどうだった?」

「どうやってるのかは鍛冶師じゃないから分からない部分はあったけど、かなり繊細で熟練の技が必要な事は間違いなさそうだね。」

「新人には無理って事か?」

「う~ん・・・出来る工程も有るだろうけど、どうかなぁ。」

「そうか?そんな難しくねぇ様に爺様のやり方を改良したぞ?」

「それはドラウが基準だからだよ。確かに最初の制作方法だと熟練の鍛冶師でも難しかっただろうから改良してくれて助かるけどね。」

「へぇ~そんなに難易度が高かったのかぁ。」

「そうなんだ。だって最初の方法ってドラウ、魔力でミスリルと魔血石を糸状にしてたよね?」

「おう。その方が手っ取り早いし、初歩の初歩なんだが、人族の鍛冶師には無理みてぇだからな、別の方法を考えてやったんだ。」

「へぇ~どんな感じか見てみたかったな。」

「なら見せてやろうか?」

 ドラウはそう言うとミスリルのインゴットを取り出し、魔力を送り始めた。少しするとドラウの持つインゴットはまるで、つきたての餅の様にドラウの手から零れそうになり、ドラウはそのかなり柔らかそうなミスリルで麺を作る様な動きでドンドン細く絹糸の様にしてしまった。

「凄いな。けど魔力を送っただけで何でそんなに柔らかくなるんだ?」

「普通に送ってるわけじゃねぇからな。なんつうかなぁ・・・手を擦り合わせたら熱くなんだろ?」

「あぁ、それを魔力だけでやったのか?」

「あぁ、鍛治魔法とでも言やぁ良いのか、そんなんだ。」

「なるほどなぁ。」

 俺はそう言うと近くにあったミスリルインゴットを手に取るとドラウの言う方法でミスリルを温め様とした。するとミスリルインゴットは一瞬ひかっと思った次の瞬間、燃え尽きて消滅した。

「あれ?確かにこんなに簡単に燃え尽きるんじゃ、難しいだろうな。」

「いやいや、有り得ないからな!」

「へ?」

「ミスリルは魔鉄よりも火に強いからな!シュウト、お前が可笑しいだけだからな!」

「ん?」

「そうだよシュウト、ミスリルが消滅するだけの熱なら水や氷、鉱石で出来た魔物でも消滅しちゃうよ。」

「そうなのか?難しいなぁ・・・でも攻撃手段の1つとしては使えるか。」

「そうだね。後、人族ならそうやって魔力でミスリルを柔らかくする事も不可能だからね。」

「・・・そういう事か。なら新しい方法って?」

「今から見せてやるよ。」

 ドラウはそう言うとミスリルを鉄の壺の様な物を取り出すとミスリルインゴットを中に入れた。するとドラウはその壺を炉に入れて燃やし始めた。

「こっから普通の奴等は溶かす為に魔法で火力を上げるんだが、めんどくせぇし、俺はいつも通り精霊魔法で溶かすが良いか?」

「あぁ、時間が掛かるだけで結果は変わらないんだろ?」

「あぁ、変わらんな。」

「なら、任せる。」

「おう。」

 ドラウはそう言うと精霊魔法で火力を強め、少しすると炉から壺を出し、何かを取り出して、その壺を取り付けて回転させ始めた。すると壺から勢い良く何かが飛び出してきた。

「コレでミスリルの糸に出来る。」

「なるほど、これなら誰でも出来そうだな。」

「まぁな。一応、火に耐性がある様な鍛冶師・・・まぁ、新人でも耐性が有れば出来るわなぁ。」

「じゃあ、混ぜるというか魔血石の糸と合わせるのが難しいのか?」

「そうだね。素人がというか新人でも2つの糸を合わせる工程をしようとすれば糸がボロボロになって使い物にならないね。」

「難しいんだな。」

「あぁ、工程は簡単なんだが、2つの糸の特性を理解出来るくれぇの熟練の鍛冶師じゃねぇと無理だな。」

「なるほどなぁ。でもそれだとやってくれる鍛冶師を見つけるのが難しいんじゃないか?」

「その辺は大丈夫だよ。」

「何でだ?」

「鍛冶師になっても売れない、人気が無い鍛冶師は鍛冶師だけでは生活出来ない人が多いから片手間で尚且つある程度の賃金が見込め、鍛治スキルを上げれる方法があるなら飛びつくはずさ。」

「へぇ~。でも合わせるだけの作業で上がるのか?」

「あぁ、上がるみてぇだぞ。偶然かもしんねぇが合わせてる時に上がったからな。」

「そうなのか、でも他の人で試した訳じゃないだろ?」

「そこはこれからだけど、可能性としては有ると思うよ。」

「そうか、それで安く出来そうなのか?」

「そうだねぇ・・・魔血石とミスリルを溶かすのに必要な器が高額になりそうだからそれは自分達・・・いや、師匠に相談してみるけど、それでも火力を上げる為にある程度、魔法を使える鍛冶師にお願いしなくちゃいけないからそこがネックかな。」

「そうか・・・それって魔道具で代用は出来ないのか?」

「う~ん・・・あっ!出来るかも!それなら・・・魔動線を使えば・・・良いね!行けそうだね!」

「そうか、それなら良かった。」

「ありがとうシュウト。」

「気になったから聞いただけだから気にしなくて良いよ。上手く行くと良いな。」

「そうだね。」

「じゃあ取り敢えずお腹も減ったし、ドラウはどうする?」

「コレはどうすんだ?」

「取り敢えずは食べたらガルンさん達の所に持ってくかな。」

「兄貴が居るのか!?」

 俺がガルンさんの名前を出すとドラウが興奮気味で迫ってきたので押し退けながら答えた。

「あ、あぁ、居るから少し離れてくれるか?」

「あぁすまねぇ、んで兄貴の所に行くなら直ぐに連れてってくれ。」

「俺は良いけどニップルさんは良いのか?」

「あっ・・・。」

「それでニップルさんは何処だ?」

「食材の調達にシュウトの光の精霊の・・・。」

「フォースか?」

「そう。その精霊と一緒に調達に行ってる。」

「フォースが?調達?」

「あぁ、ニップルは光の精霊との親和性が高いから仲良くなってたからな。」

「そうなのか。仲が良いのはいいが、食事はどうする?ニップルさんが良ければ一緒に済ませるか?」

「あぁ、それでいい。」

 ドラウの返事を聞いた俺は誰かフォースとニップルさんを呼んできてくれとお願いするとアモネスが応答してくれて2人を連れて来てくれた。

「どうされましたか?」

「ドラウが今からガルンが居る所に行きたいみたいなんですけど、食事とかどうしますか?」

「ガルンさんがいらっしゃるんですか?」

「はい。あっ、そうかニップルさんもガルンさんに会いに行きますか?」

「御迷惑でなければ。」

「分かりました。食事はどうされますか?」

「そうですねぇ、恐らく2人が話し始めると長くなりそうなので、軽い物を今から作ろうかと思うのですが宜しいですか?」

 ニップルさんがそう言うとレイが話し掛けてきた。

「それならナビコに頼んで作った物を包んで貰ったら良いんじゃない?ダメかなシュウト?」

「ニップルさんが良いなら。」

「御迷惑じゃないですか?」

「それなら大丈夫ですよ。どうせ1度神殿前に出てからしか転送出来ないんで。」

「それでしたらお願い致します。」

「ドラウも少し待たせる事になるけど良いか?」

「あぁ、問題ねぇ。」

 そんな話をして俺達がアイテムボックス改を出るとナビコ以外の全員が揃っていた。

「おう。ドラウ、珍しいな何時も鍛治があるとか言って来ねぇのに今日はお前も此処で食べるのか?」

「いや、飯だけ貰ったら兄貴のとこに連れてって貰うつもりだ。」

「兄貴?」

「ルーク、ガルンさんの所だ。」

「ん?兄弟?」

「兄弟じゃねぇが兄貴は兄貴だ。」

「あぁ、なるほどな。」

 ルークとドラウが話してる間にナビコに頼んで来たのかニップルさんはナビコと共に奥から出てきた。

「食事は戻って来てからで良いのか?」

「おう。久々だからな、シュウトを待つぜ。」

「良いのか?先に食べてても良いんだぞ?」

「良いよな?」

 ルークがそう言いながらドラウ達以外を見ると全員が頷いた。

「そうか、悪いな・・・あっ、そうだ。全員揃ってるし、知ってる奴も居るけどもう一度紹介しとくな・・・・・。」

俺はそう言うと玄武の2人を紹介した。すると予想通り、様々な反応があったが結果的に人化時にはコクはフレンドリーにトルバは執事として対応していく事になり、ドラウ達の食事は容器に詰めるだけだったので、ニップルさんが、受け取ったのを確認すると2人を連れてリーグさんの所へ転送し、丁度帰ろうとしていたセドさんにガルンさんが居る場所へ案内して貰った。

「シュウト様、此方です。」

「ありがとうございます、セドさん。」

「いえいえ、私も御三方の様子を伺ってからと思っておりましたので。ではシュウト様、入りましょうか。」

「はい。」

俺達はそう言うと中に入った。

「皆様、進捗具合いは如何ですか?」

「これは宰相様、探知魔道具の方はベースが完成しましたわ。」

「おぉ~流石でございますね。」

「だかなぁ・・・。」

セドさんにギールさんが答えると横からガルンさんが渋い顔で声を掛けた。

「どうされたのですか?」

「う~ん。広範囲で大まかな位置の特定をする分には恐らく問題ねぇんだが、正確な位置の特定をするには問題がある。」

「ほう。ですが、大まかな位置の特定が出来るのであれば、かなり前進したと考えられるのではないですか?」

「まぁな。兵士なら軍で移動になるだろうから避けるか対処出来る様にしてから大規模で囲んでから中の魔物を対処すりゃあ良いが、冒険者や小規模な軍ではそれも難しいからなぁ。」

「それはどうしてですか?」

「探知魔道具を中心に半径500m先からしか位置の特定は出来んから方角しかわからんのだ。」

「・・・何故、500mよりも内側の探知は出来ないのですか?」

「邪の魔石の特性と探知魔道具に使ってる魔晶石のランクが問題なんだ。」

「と言いますと?」

「ランクが高い魔力を持った魔物に警戒されねぇ様に邪の魔力を隠蔽しやがるんだ。」

「厄介ですねぇ。ならば範囲の狭い物は創れないのですか?」

「創ってはみたが、魔力消費量が多くて、魔晶石が直ぐになくなっちまう。かといって魔石では安定しねぇから精度が落ちて使いもんになんねぇ。」

「なるほど、それは難しい問題ですね。」

「兄貴!それなら俺が今さっき造ったコイツが役に立つかもしれねぇぜ!」
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