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第241話 [入国。]
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翌朝、用事を済ませた俺達は飛空艇ドラグーンⅡに乗ってエンポリアー国へ向かった。
「ハロルド、最終確認だが、これから行くエンポリアー国だと何を気を付けたら良いんだ?」
「そうですねぇ、基本的には私が相手と話しますので、私が大丈夫と判断した相手以外の者とは話さない方が宜しいかと。」
「ん?何でだ?」
「真面な商人であれば問題無いのですが、詐欺的行為、裏で暗躍する輩も居ますので。」
「え?そんな奴も国民なのか?」
「はい。しかも私共が会おうとしている者と対立している派閥の者は大半がその様な輩です。」
「はぁ~最悪だなぁ。」
「はい。ですが、其奴らが治めている場所の民は悪い者だけではないので。」
「まぁ、赤子から悪い教育をされていたとしても真面な民が居ないわけじゃないだろうしな。」
「まぁそういう民は酷い扱いをされているでしょうが。」
「ムカつくな。」
「という訳で其奴らは人を食い物にする事しか考えていませんので、シュウト様と会話する価値も御座いません。」
「分かった。一応ハロルドの後ろで大人しくしておくよ。」
「有難う御座います。」
「他には有るのか?」
「はい。激怒される事を覚悟で進言致しますが、宜しいでしょうか?」
「ん?ハロルドがそこまで言うって事はさっきのより更に酷いって事か。」
「はい。ですが、入国後に知らされるよりも良いかと。」
「分かった。」
「実はあの国には奴隷が存在致します。」
「あぁ、前に言ってたやつか。」
「はい。しかも私が調べたかぎりでは裏で暗躍しているのもあって奴隷への扱いがかなり酷い者も居るようなのです。」
「・・・。」
俺が少しイラつき始めると横に居たアキトが肩を叩いて首を振っていた。
「悪い。アキト、ありがとう。」
「良いよ、気にしないで。」
「確かに事前に分かってないとその場で爆発しそうだな。それで俺がその背後関係を知った場合は手を出さない方が良いって事か?」
「いえ、表沙汰にならなければ問題ないかと。」
「奴等の様にバレなければ良いって事か。」
「はい。一応、その旨を伝えたところ、逆に使徒様、その配下の方々のお好きになさって下さいとの事でした。」
「おいおい。それで良いのか?」
「はい。その代わり領主が居なくなった土地を使徒様の国の一部にして頂き、エンポリアー国にて滞っているダンジョンをお任せしたいとの事です。」
「良いのか?向こうからしたら無償で領地を割譲する様なものじゃないのか?」
「いえいえ、彼処も商人の端くれ、損に繋がる事は自分からは持ち掛けませんよ。」
「どういう事だ?」
「最初に申し上げますが、彼処の意図は此方は分かってると向こうは考えております。」
「まぁハロルドが居るしな。」
「ホッホッホッ、私でなくともレイが居ますので。」
ハロルドは俺の答えに嬉しそうに返してきたが、直ぐに真面目な顔付きに戻ったので話を続ける事にした。
「それで、意図とは?」
「はい。確かに領地を割取する事で、その領地のダンジョンを私共の物とする事が出来、彼処はその分、損をする事になりますが、元々居る民の殆どはエンポリアー国に移るので、損といえばその程度なのです。」
「まぁ、残るとしたら少数の虐げられてた民って事か。」
「はい。ですので、此方としては彼らの生活基盤を整えなければ行けない上に割取された土地は痩せ衰え、通常であれば殆ど使い物にならないのです。」
「なるほど、領主が居なくなっても大損になりそうな土地は誰も欲しがらないって事か。」
「はい。長期的に考えれば収支は見込めるでしょうが、それまでの赤字で自分の首を絞める結果になりそうな場所なのです。」
「それなら気兼ねなく貰えそうだな。こっちとしても離れた場所に拠点が増えるのはダンジョンを踏破してく上では楽になるだろうしな。」
「はい。その通りにございますが、彼処としてはもう1つ利点が御座います。」
「ん?まだ有るのか?」
「はい。エンポリアー国の滞っているダンジョンとは利益が見込めずに誰も行きたがらないダンジョンや高ランク過ぎて国軍を動かすしか方法が無いダンジョンですので、現状、何方のダンジョンも経費がかなり嵩み国として困っている場所なのです。」
「って事は要らない土地や扱いに困る民は渡せるし、ダンジョン攻略の国家予算の無駄な出費も出さなくて済むって事か。」
「はい。その通りにございます。ですので、明らかに彼処の方が得をする案件になってしまっていますので、私共からの更なる条件を出しました。」
「土地を貰う以外にか?」
「はい。彼処もそれだけでは他国から睨まれる様になってしまいますので此方の条件を受け入れるでしょう。」
「それで条件って何だ?」
「幾つか御座いますが、それは割取される土地を視察してからとなります。」
「なるほどな。まぁ程々にしてやれよ。」
「はい。シュウト様の御意向に従います。」
ハロルドとそう話していると操縦席にいるセバスがアナウンスしてきた。
「シュウト様、エンポリアー国が見えてまいります。」
セバスに言われて外を覗くとそこには大小様々な島が幾つもあった。
「へぇ~本当に島々って感じだなぁ~。」
「全てではありませんが、島の殆どにダンジョンがあり、小さい島の中心に位置するある程度の大きさの島にはそれぞれ領主がおります。」
「橋が掛かってない場所へは移動手段は船だけか?」
「いえ、殆どは水棲の魔物が轢く水馬車という乗り物で移動致します。」
「あぁ、あの魔物に繋がれてる小舟みたいなやつか?」
「はい。その通りにございます。」
「ん?どんどん島を通り過ぎてるけど入国審査的な場所に行かなくて良いのか?」
「問題ありません。首都の在る島へ直接行きますので。」
「え?・・・それは普通・・・って事は無いよなぁ?」
「通常は有り得ませんが、フォスエスペランサ国は特別でございます。」
相変わらず無理を通そうとしてるなぁ。
「冗談です。」
「何だ冗談か。」
ハロルドの返答にホッとしているとハロルドが再度話し始めた。
「本当は事前に使徒様の代理として直接行くと伝えてある為、首都の在る島へ直接降りれるのです。」
事前に言ったら大丈夫なのかぁ。
俺がそう思っているとアキトが小さい声で話し掛けてきた。
「シュウト、普通は何処かの国王であっても、だいぶ前にあった入国管理島に寄らなくちゃいけないんだよ。」
やっぱり無理を通してるじゃん。
俺がそう思っているとハロルドはなんでもない事の様に平然としていた。
その様子を呆れながら見ていると高度がどんどん下がっていき、下に見えたドームの様な場所の天井が開いたと思ったらその中に入って行った。
「到着したのか?」
「はい。ですが、少々お待ち下さい。」
「ん?何か問題か?」
「いえ、直接赴いたので管理棟と到着した旨を通信しております。」
「あぁ、なるほど。」
俺がそう答えるとセバスが操縦席から現れた。
「シュウト様、許可が降りました。」
「って事は今からハロルドの護衛だな。」
「確かにそうでございますが、アキト様もシュウト様も護衛兼攻略組の幹部という事になっておりますので、私以外に対しては丁寧に話す必要性はありません。」
「う~ん、分ける必要が有るのか?」
「その辺はお任せ致しますが、失礼な態度をしてくる者に関してはそれ相応の態度でお願い致します。」
「まぁ、基本的には丁寧に話すかな。っても俺はあんまり喋らない方が良いんだったな。」
「その通りに御座います。では、これからの予定ですが、飛空艇ドラグーンを降りて直ぐに首相であるトヨタに会って頂きます。」
「直ぐにか?」
「はい。それでなんですが、トヨタ、そしてその側近であるホンダランとトヨタの秘書兼執事であるスバルナにはシュウト様が使徒様である事を伝えたいのですが、宜しいでしょうか?」
「・・・。」
「シュウト様、やはり教えるのは早計でしたでしょうか?」
「いやいや、ハロルドが信用出来るって言うなら問題ないぞ。」
俺が慌ててハロルドに返事をすると後ろからアキトに声を掛けられた。
「ねぇシュウト、思い出したんだけど、3人揃うとまるで前世のくるッ!んん!!んん!!・・・プハッ!何で急に口を塞ぐんだよ!死ぬかと思った。」
「悪い悪い、何となくそれ以上は話させない方が良いかと思ってな。」
「何だよそれ。」
「さてと、そろそろ行くか。」
俺達はそう言うと飛空艇を降りて行くと商人らしい人が数人と兵士?冒険者?が何十人も居て此方を睨んでいた。すると真ん中に居た物腰の柔らかそうな商人風の人が前に出て来た。
「ハロルド、セバス、久しいのぅ。それで後ろに居られる方々はもしや攻略組の?」
「そうじゃ、此度は儂の護衛として来て下さった、攻略組幹部のシュウト様とアキト様じゃ。」
「シュウト・オオヤマジです。」
「アキト・ホンジョウです。」
俺達はそう言いながら会釈をした。
「これはこれは、御二方とも噂はかねがね。わいはこのエンポリアー国の首相兼商業ギルドのグランドマスター兼イコノミカ商会の会長をしております、トヨタ・イコノミカでおま。今後ともよろしゅうでっせ。」
トヨタさんの言い方に少し気になった俺が返答しようとするとハロルドが割って入った。
「トヨタの、我々を迎えるのにこれ程の傭兵を集めるとはどういう事じゃ?」
「そない言うたかて、わいも首相やで?最低限の人員は用意せな、首相としての資質が疑われてまうわ。それにこんだけの人員で抑えたんや、逆に褒めてぇな。」
「まぁ、そうじゃったな。それに御二方に掛かれば何人居ようと一緒じゃしな。」
「ほう、せやかてわいの傭兵も結構強いでぇ。」
「馬鹿にしてるわけではない。ただ単に事実を言っておるだけじゃ。」
「言うてみただけじゃわい、虐めんといてぇな。」
「冗談はそこまでにして早く案内せい。」
「おお、そうじゃったな。わいとした事が。部屋は用意してあるさかい、着いて来てぇな。」
トヨタさんはそう言うと1人で奥へスタスタと歩いて行った。
それを見たハロルドが頭を振ると一緒に居た他の商人風の人達が俺達に謝るように深々とお辞儀をして、案内してくれた。
「ハロルド、最終確認だが、これから行くエンポリアー国だと何を気を付けたら良いんだ?」
「そうですねぇ、基本的には私が相手と話しますので、私が大丈夫と判断した相手以外の者とは話さない方が宜しいかと。」
「ん?何でだ?」
「真面な商人であれば問題無いのですが、詐欺的行為、裏で暗躍する輩も居ますので。」
「え?そんな奴も国民なのか?」
「はい。しかも私共が会おうとしている者と対立している派閥の者は大半がその様な輩です。」
「はぁ~最悪だなぁ。」
「はい。ですが、其奴らが治めている場所の民は悪い者だけではないので。」
「まぁ、赤子から悪い教育をされていたとしても真面な民が居ないわけじゃないだろうしな。」
「まぁそういう民は酷い扱いをされているでしょうが。」
「ムカつくな。」
「という訳で其奴らは人を食い物にする事しか考えていませんので、シュウト様と会話する価値も御座いません。」
「分かった。一応ハロルドの後ろで大人しくしておくよ。」
「有難う御座います。」
「他には有るのか?」
「はい。激怒される事を覚悟で進言致しますが、宜しいでしょうか?」
「ん?ハロルドがそこまで言うって事はさっきのより更に酷いって事か。」
「はい。ですが、入国後に知らされるよりも良いかと。」
「分かった。」
「実はあの国には奴隷が存在致します。」
「あぁ、前に言ってたやつか。」
「はい。しかも私が調べたかぎりでは裏で暗躍しているのもあって奴隷への扱いがかなり酷い者も居るようなのです。」
「・・・。」
俺が少しイラつき始めると横に居たアキトが肩を叩いて首を振っていた。
「悪い。アキト、ありがとう。」
「良いよ、気にしないで。」
「確かに事前に分かってないとその場で爆発しそうだな。それで俺がその背後関係を知った場合は手を出さない方が良いって事か?」
「いえ、表沙汰にならなければ問題ないかと。」
「奴等の様にバレなければ良いって事か。」
「はい。一応、その旨を伝えたところ、逆に使徒様、その配下の方々のお好きになさって下さいとの事でした。」
「おいおい。それで良いのか?」
「はい。その代わり領主が居なくなった土地を使徒様の国の一部にして頂き、エンポリアー国にて滞っているダンジョンをお任せしたいとの事です。」
「良いのか?向こうからしたら無償で領地を割譲する様なものじゃないのか?」
「いえいえ、彼処も商人の端くれ、損に繋がる事は自分からは持ち掛けませんよ。」
「どういう事だ?」
「最初に申し上げますが、彼処の意図は此方は分かってると向こうは考えております。」
「まぁハロルドが居るしな。」
「ホッホッホッ、私でなくともレイが居ますので。」
ハロルドは俺の答えに嬉しそうに返してきたが、直ぐに真面目な顔付きに戻ったので話を続ける事にした。
「それで、意図とは?」
「はい。確かに領地を割取する事で、その領地のダンジョンを私共の物とする事が出来、彼処はその分、損をする事になりますが、元々居る民の殆どはエンポリアー国に移るので、損といえばその程度なのです。」
「まぁ、残るとしたら少数の虐げられてた民って事か。」
「はい。ですので、此方としては彼らの生活基盤を整えなければ行けない上に割取された土地は痩せ衰え、通常であれば殆ど使い物にならないのです。」
「なるほど、領主が居なくなっても大損になりそうな土地は誰も欲しがらないって事か。」
「はい。長期的に考えれば収支は見込めるでしょうが、それまでの赤字で自分の首を絞める結果になりそうな場所なのです。」
「それなら気兼ねなく貰えそうだな。こっちとしても離れた場所に拠点が増えるのはダンジョンを踏破してく上では楽になるだろうしな。」
「はい。その通りにございますが、彼処としてはもう1つ利点が御座います。」
「ん?まだ有るのか?」
「はい。エンポリアー国の滞っているダンジョンとは利益が見込めずに誰も行きたがらないダンジョンや高ランク過ぎて国軍を動かすしか方法が無いダンジョンですので、現状、何方のダンジョンも経費がかなり嵩み国として困っている場所なのです。」
「って事は要らない土地や扱いに困る民は渡せるし、ダンジョン攻略の国家予算の無駄な出費も出さなくて済むって事か。」
「はい。その通りにございます。ですので、明らかに彼処の方が得をする案件になってしまっていますので、私共からの更なる条件を出しました。」
「土地を貰う以外にか?」
「はい。彼処もそれだけでは他国から睨まれる様になってしまいますので此方の条件を受け入れるでしょう。」
「それで条件って何だ?」
「幾つか御座いますが、それは割取される土地を視察してからとなります。」
「なるほどな。まぁ程々にしてやれよ。」
「はい。シュウト様の御意向に従います。」
ハロルドとそう話していると操縦席にいるセバスがアナウンスしてきた。
「シュウト様、エンポリアー国が見えてまいります。」
セバスに言われて外を覗くとそこには大小様々な島が幾つもあった。
「へぇ~本当に島々って感じだなぁ~。」
「全てではありませんが、島の殆どにダンジョンがあり、小さい島の中心に位置するある程度の大きさの島にはそれぞれ領主がおります。」
「橋が掛かってない場所へは移動手段は船だけか?」
「いえ、殆どは水棲の魔物が轢く水馬車という乗り物で移動致します。」
「あぁ、あの魔物に繋がれてる小舟みたいなやつか?」
「はい。その通りにございます。」
「ん?どんどん島を通り過ぎてるけど入国審査的な場所に行かなくて良いのか?」
「問題ありません。首都の在る島へ直接行きますので。」
「え?・・・それは普通・・・って事は無いよなぁ?」
「通常は有り得ませんが、フォスエスペランサ国は特別でございます。」
相変わらず無理を通そうとしてるなぁ。
「冗談です。」
「何だ冗談か。」
ハロルドの返答にホッとしているとハロルドが再度話し始めた。
「本当は事前に使徒様の代理として直接行くと伝えてある為、首都の在る島へ直接降りれるのです。」
事前に言ったら大丈夫なのかぁ。
俺がそう思っているとアキトが小さい声で話し掛けてきた。
「シュウト、普通は何処かの国王であっても、だいぶ前にあった入国管理島に寄らなくちゃいけないんだよ。」
やっぱり無理を通してるじゃん。
俺がそう思っているとハロルドはなんでもない事の様に平然としていた。
その様子を呆れながら見ていると高度がどんどん下がっていき、下に見えたドームの様な場所の天井が開いたと思ったらその中に入って行った。
「到着したのか?」
「はい。ですが、少々お待ち下さい。」
「ん?何か問題か?」
「いえ、直接赴いたので管理棟と到着した旨を通信しております。」
「あぁ、なるほど。」
俺がそう答えるとセバスが操縦席から現れた。
「シュウト様、許可が降りました。」
「って事は今からハロルドの護衛だな。」
「確かにそうでございますが、アキト様もシュウト様も護衛兼攻略組の幹部という事になっておりますので、私以外に対しては丁寧に話す必要性はありません。」
「う~ん、分ける必要が有るのか?」
「その辺はお任せ致しますが、失礼な態度をしてくる者に関してはそれ相応の態度でお願い致します。」
「まぁ、基本的には丁寧に話すかな。っても俺はあんまり喋らない方が良いんだったな。」
「その通りに御座います。では、これからの予定ですが、飛空艇ドラグーンを降りて直ぐに首相であるトヨタに会って頂きます。」
「直ぐにか?」
「はい。それでなんですが、トヨタ、そしてその側近であるホンダランとトヨタの秘書兼執事であるスバルナにはシュウト様が使徒様である事を伝えたいのですが、宜しいでしょうか?」
「・・・。」
「シュウト様、やはり教えるのは早計でしたでしょうか?」
「いやいや、ハロルドが信用出来るって言うなら問題ないぞ。」
俺が慌ててハロルドに返事をすると後ろからアキトに声を掛けられた。
「ねぇシュウト、思い出したんだけど、3人揃うとまるで前世のくるッ!んん!!んん!!・・・プハッ!何で急に口を塞ぐんだよ!死ぬかと思った。」
「悪い悪い、何となくそれ以上は話させない方が良いかと思ってな。」
「何だよそれ。」
「さてと、そろそろ行くか。」
俺達はそう言うと飛空艇を降りて行くと商人らしい人が数人と兵士?冒険者?が何十人も居て此方を睨んでいた。すると真ん中に居た物腰の柔らかそうな商人風の人が前に出て来た。
「ハロルド、セバス、久しいのぅ。それで後ろに居られる方々はもしや攻略組の?」
「そうじゃ、此度は儂の護衛として来て下さった、攻略組幹部のシュウト様とアキト様じゃ。」
「シュウト・オオヤマジです。」
「アキト・ホンジョウです。」
俺達はそう言いながら会釈をした。
「これはこれは、御二方とも噂はかねがね。わいはこのエンポリアー国の首相兼商業ギルドのグランドマスター兼イコノミカ商会の会長をしております、トヨタ・イコノミカでおま。今後ともよろしゅうでっせ。」
トヨタさんの言い方に少し気になった俺が返答しようとするとハロルドが割って入った。
「トヨタの、我々を迎えるのにこれ程の傭兵を集めるとはどういう事じゃ?」
「そない言うたかて、わいも首相やで?最低限の人員は用意せな、首相としての資質が疑われてまうわ。それにこんだけの人員で抑えたんや、逆に褒めてぇな。」
「まぁ、そうじゃったな。それに御二方に掛かれば何人居ようと一緒じゃしな。」
「ほう、せやかてわいの傭兵も結構強いでぇ。」
「馬鹿にしてるわけではない。ただ単に事実を言っておるだけじゃ。」
「言うてみただけじゃわい、虐めんといてぇな。」
「冗談はそこまでにして早く案内せい。」
「おお、そうじゃったな。わいとした事が。部屋は用意してあるさかい、着いて来てぇな。」
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