転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第292話 [源泉の湯。]

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一先ず温泉に着いた俺はハロルドに話し掛けてみた。

「とりあえず、どうする?さっきは彼処の湯が出てくる所から取ったけど、確か湧き出てる場所は違うはずだぞ?」

「確かに聖水だけではなく温泉の方も場所を変えて採取するのも良い方法かと思われます。」

「やっぱりそう思うか。フローガ、フローガ居るか?」

俺がそう言うと炎が上がり、その中からフローガが出てきた。

「なんか用か?」

「温泉の事で聞きたい事が有るんだが、温泉ならフローガかなって思ってな。」

「まぁ、そうだな。それで何か問題でもあったのか?」

「いや、そうじゃなくて・・・・・」

俺はフローガに治療薬の話を説明した。

「なるほどなぁ、普通とは違うとは思ったが、そんな効果があったのか。」

「で、温度とか此処とは違いがありそうな場所って在るのか?」

「そういう事なら有るが後ろの4人は近付かねぇ方がいい場所も有るがどうする?」

「毒とか害になる物でも出てるって事か?」

「いや、そんなもん出るわけねぇだろ。」

「じゃあ何が駄目なんだ?」

俺がそう言うと後ろの4人も興味がある様子で身を乗り出して聞き耳を立てていた。

「濃度が高過ぎるんだよ。」

「魔力か?」

「それも有るが神聖な力が高過ぎるんだ。」

「高いと駄目なのか?」

「精霊や俺達みたいな眷属か、魔力保有量が高くねぇと魔力の濃さと相まって意識を保つのが難しいんだ。そんな状態で煮えたぎった温泉の中に入ってくのは無理だろ?」

「それは無理そうだな。」

俺がそう言うとトトが手を挙げた。

「私は治療師の中でも一番の魔力保有量がありますが、それでも無理なのでしょうか?」

トトがそう言うとフローガが何かを見透す様にトトを観察して答えた。

「無理だな。せめて100倍くらいの魔力保有量が有るか、シュウト様の神聖力に慣れてかねぇと倒れるだけだぞ。」

「そ、それ程ですか・・・。」

「それなら2人のレベリングを早くしないといけないな。」

「そ、そんな!?シュウト様の御時間奪うわけには!」

トト達はそう言うと恐縮した様な感じで後退りしていた。

「前も言ったが気にするな。俺がやりたいからするだけだし、もしそこの温泉が一番だった場合を考えると必要な時に何時も俺ってわけにはいかないかもしれないしな。」

「そ、そういう事であれば、粉骨砕身の覚悟で臨みます!」

「まぁ、元々お前達が無理なく患者に向き合える様にって思ってする事だが、覚悟は伝わった。次の週には予定通り時間を割けるな?」

「「はい!」」

「よし!なら、少しずつと思っていたが、一気にレベルを上げて強くなるぞ!」

「「はい!!!」」

俺達がそう言っているとフローガが近付いてきた。

「なぁ、盛り上がってるとこ悪いが今から行くのか?それともそいつらが行ける様になってからか?」

「・・・少量でも危険か?」

「それならギリ大丈夫じゃねぇか。まぁ長い時間やるっていうなら別だが、休み休みなら問題ねぇんじゃねぇか。」

「そうかぁ・・・どうする?」

「今回はシュウト様にお願いする形になってしまいますが、より多くの患者を救う事が出来るのでしたらお願いしたいと思います。」

「分かった。フローガ、その場所はその時々で変わったりするのか?」

「いや、変わんねぇぞ。ってぇか、精霊が作ってんだ。変えてたら一定の効果が出ねぇだろ。」

「あぁ、そういう事か、なら、源泉の他に俺達が入る温泉とは違う温泉は有るのか?」

「基本的に同じだが、そういう事じゃねぇんだよなぁ・・・そうだなぁ・・・風とかで冷やしてるんじゃなくて、水の精霊が出した水で冷やしたやつが有るくれぇだな。」

「何処に有るんだ?」

「何処ってアレだよ。」

フローガが指した先には打たせ湯があった。

「アレがそうなのか。」

「おう。そうしねぇと水圧の調整が難しかったからなぁ。」

「ただ上から下に温泉の湯を出してるだけじゃなかったのか?」

「最初はそうしたんだが、良い感じの温度にもなんねぇし、圧も弱くて気持ち良いってならなかったからよ、水の精霊に上手いことやらせてんだよ。」

「ずっと出てるけど、休憩とかはさせないのか?」

「水を出し続けるのも修行になるし、交代でやってる事だから問題ねぇぞ。」

「それなら良いか。他にはどうだ?」

「源泉の湯を下に通して蒸気で暑くしてある小屋・・・サウナっつたか、有るがその下の湯も結局は一緒だしなぁ。基本的には弱え雷を流してるのも流れを作ってあるやつも一緒だぞ。」

「精霊の出す水で冷やしてるのがアレだけならそうだよな。じゃあハロルド、どうする?」

「でしたらシュウト様がフローガ様と源泉の湯を確保して頂いている間に私共で女湯と男湯の各所で温泉の湯を確保していくというのは如何でしょうか?」

「一緒って言ってたのに必要なのか?」

「出し方やその場所の環境の変化、根本が同じ温泉の湯だとしてもそれぞれ各湯によって果物や花を混ぜた湯も有りますし、サウナに関しましてもその水滴、塩を使ったサウナの水滴、花や果物で香り付けされた水滴等、様々な湯がある以上、何が最適なのかは現状分かってはいませんので。」

「あぁ、確かに温泉の湯が同じでもそれぞれ違うかもって事か。分かった任せる。」

「承知致しました。」

俺達はそう言って別れると俺はフローガに案内されて源泉がある場所に到着した。

「この湧き出てるのがそうか?」

「いや、此処の深い場所に横穴が有って、その奥に湧き出てる場所が有るんだ。」

「何で態々横穴なんだ?」

「俺が見に行きやすい様に水のねぇ空間にしてあるんだ。」

「あぁ、そういう事か。」

俺はそう言うとフローガに教えて貰った位置を神の瞳で確認するとそこには祭壇ぽい場所から湯が湧き出てる場所があった。

「祭壇?」

「精霊どもはまだ幼いからなぁ作り出す為にはあぁいうのが必要なんだよ。」

「そういう事か。彼処に直接転送して良いのか?」

「いや、力の奔流が出てくるとめんどくせぇから結界を張ってからのが良いな。」

フローガはそう言うと炎でドームを造る様に結界を張った。

「おぉ、コレがフローガの結界なのか?」

「おう。俺は守るのは苦手だからな、こうなるんだよ。ただ下に有る力の奔流に対抗するには俺の結界が最適だから問題ねぇ。」

「そうか。」

俺はそう言うとフローガが教えてくれた源泉が湧き出てる祭壇前に転送した。

「ん?何も感じないぞ?」

「そりゃそうだろ。自分の力に圧倒される奴なんて居ねぇだろ。」

「あぁそういう事か。」

「だが、外に居る彼奴らは別だ。彼処に居てもこの力が漏れたら卒倒しちまうぞ。」

「そんなにか?」

「シュウト様程じゃねぇにしろ。魔力や何やらまで一気に解放する様なもんだからな。」

「あぁ・・・駄目だな。」

「だろ?まぁそんな事より早く取れよ。」

「そうだな。」

俺はそう言うと洗い場から持ってきた湯桶で源泉の湯を掬い、そのまま地上に転送した。

「コレって、このまま持って行っても大丈夫なのか?」

「とりあえず気をしっかり持てば大丈夫だろ。まぁ、いきなりだと心の準備が出来ねぇだろうから俺が先に行って伝えてくるわ。」

「おう、頼む。」

「準備が出来たら呼ぶから一寸待っててくれ。」

「おう。」

フローガがそう言ってから暫くして呼ばれたので戻るとハロルド達が膝を着いて何かに耐えていた。

「そのお持ちになられているのが源泉の湯でしょうか?」

「おう。そうだが、大丈夫か?」

「心の準備をしていたのですが、そこまでの物とは思いませんでお恥ずかしい限りでございます。」

「それで実験なんて出来るのか?」

「はい。少量ずつならば、そこまでの影響は無いとの事でしたので、問題ないかと。」

「一寸多く持ってき過ぎたって事か。」

「コチラに移し替えて頂いてもよろしいでしょうか?」

ハロルドはそう言うと蛇口の付いた透明な蓋付きの大きい容器を差し出してきた。俺はその容器を受け取ると移し替えながらハロルドに話し掛けた。

「どうしたんだコレ?」

「先程、ドラウ様にお願いをして作って頂いた物でございます。」

「ドラウか。ドラウも忙しそうだったが片手間で作れる様な物なのか?」

「普通は無理だと思われますので、私も現状が落ち着き次第でとお願いしたのですが、この程度と一瞬で。しかも完全とはいかないまでも50年は保存が可能な容器も別にとりあえずと言いながら10本頂く事が出来ました。」

「50年ってそんなに長い期間保存出来るなら十分じゃないのか?」

「通常では有り得ない技術でございますし、現状では十二分に。ただドラウ様が仰られるには1度開封すると保存術式が壊れる為、使い捨てにする他無いとの事でした。」

「なるほどな。って事は良い出来な物以外は廃棄って感じか。」

「現状ですとそうなりますが、ダンジョン産の物を取り寄せれば問題ないでしょう。」

「各国、研究する為に保管してるんじゃないのか?」

「その通りですが、使徒様が必要だと言えば断る国などございません。しかしシュウト様はそういう事はお嫌いかと思われますが如何でしょうか?」

「そうだな。無理矢理な感じがするし、地位を笠に着る様な行為は、悪徳領主みたいで好きではないな。」

「そう仰ると思い、ガシュウ教皇陛下は無論、リーグ国王陛下やトヨタ首相にお話をして御譲り頂く事になりましたので、今頃は御用意頂けている事かと思われます。」

「ん?無理にではないんだな?」

「はい。各国、救出後に心が病みお亡くなりになられる方が教国に比べれば少ないとはいえ、残念な事ですがいらっしゃるので、より良い治療薬と共にお返しするという約束のもと応じて頂いております。」

「そうか。ならとりあえず、この後はどうする?」

「シュウト様には此方の容器に聖水を魔法にて注いで頂き、その後精霊の皆様がお作りになられた聖水、幻精霊の御力で聖水を頂いてから先ずは私共4人で実験をしていこうかと思っております。」

「俺はもう良いのか?」

「温泉治療も治療薬に関しましても時間が掛かると思われますので、これ以上は私共で実験していき、結果を夕食には一度報告致しますので、シュウト様は眷属の皆様の修行に行ってもらっても構いません。」

「そうか。なら後は任せる。」

俺はそう言うと聖水を容器に入れて、フローガに後を頼むとルーク達の下へ向かった。
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