1 / 42
1. あの二人は別。BLっての?
しおりを挟む
『………俺は、リトのことが好きかも、………結婚したいくらい…』
つい、言ってしまった。久しぶりの通話だった。理人が女の子に告白された…という流れで、俺の好きな人の話になった。本人には言わないつもりだったのに魔が差してしまった。でも、現実は少女漫画のように甘くはない。
『……僕はちょっと、』
スマホを落としてしまった。全部は聞き取れなかったけど『ちょっと』と言った。その後に来るのは『好きじゃないから…』か『無理だから…』だろう。背筋が凍った。友情を壊したくない。慌ててスマホを拾う。
『ーーー……受験もあるしね。じゃあスオ、また明日』
急いで話そうとしたのに言葉が紡げなかった。通話の履歴に目を落とす。俺たちは何もかもが近すぎるから普段電話なんてしなかった。こんなことなら直接家まで行けばよかった。心臓がバクバクしたまま画面を見つめる。
その日、俺ーーー斎賀桜水は失恋した。
***
気づいたら二度寝していた。いつもより早く登校しようと思ったのに…、最低限の準備を終えて玄関に走り込む。かかとを潰したままドアへと手をかけた。
「…え、理人!?」
勢い良くドアを開けて、何かにぶつかる。急いで覗くとそこには人間がいた。……それは今、一番会いたくないヤツだった。走って逃げようかと思ったが、階段は遠く一番近いエレベーターはすぐそこ。行き先は一緒だからどのみち逃げ場は無い。小さく咳払いをした。
「もしかして先に行こうとした?」
「なんで?」
「いつもより早いから。スオは朝弱いのに」
バレている。平然を装ったが疑うような瞳がじぃ…とこっちを見ていた。澄ましているが絶対ドアを体をぶつけた。軽く謝ってから会話を始める。
「日直。授業前に日誌取りに行かなきゃだし」
「…昨日はそんなこと言ってなかったよね」
「佐伯と変わってあげた。コーヒー牛乳で」
理人の腕に掴まって靴を履き直す。体勢を崩さないように体を支えてくれた。
「タクシー呼ぼうか?」
「定期を使え、定期を」
こいつはすぐにタクシーを使おうとする。小さくため息をついた。どうせ捕まってしまったのだ、いつも通りにしよう。気づかれないように盗み見する、…理人もいつも通りで、変わった様子はない。
西園寺理人ーー彼を一言で表すなら、ハイスペックな王子様系の負けず嫌い。ついでに幼馴染。
少し歩いて、いつも通り電車に乗った。乗るのは一駅だけで満員になる程は乗客がいない。
理人は席が空いているとすぐに座らせようとする。歩道を歩くといつの間にか車道側を歩いてくれて、くだらない冗談にも笑いながら反応してくれる。
結局学校に着いたのはいつもと同じ時間だった。職員室へ行くため急いで靴を履き替える。ふと、顔を上げた。
「はぁ!?佐伯!?」
見覚えのある背中に足を止める。昨日、佐伯から連絡が来たのは本当だ。部活の朝練が入ったから日直を変わってほしいと言われた。俺はコーヒー牛乳と引き換えに了承した。どうしてお前がここにいる?
「あ、斎賀じゃん!おはよ~」
「おはよ~じゃないし!朝練は?」
「寝坊した…これからコーチのところに謝りにいく……」
「ドンマイじゃん。え、日直は?」
佐伯はクラスメイトの一人だ。入学式の時に苗字の関係で隣にいたから話しかけた。それ以来尽きず離れずの関係を続けている。
「あ…、理人!またな!」
佐伯と合流して話し込んでしまった。理人が待っていたことを思い出す。振り返って手を振った。理人は軽く手を上げると背中を向けてしまった。………そして、あいつと合流する。
「西園寺と姫野ってお似合いだよな~」
すんでのところで耐えたのに、佐伯が崖から突き落とした。静かに目を向ける。少し下品な笑みを浮かべていた。
「男同士だけどあの二人は別。BLっての?」
「はぁ?ないない。聞いたことないし」
「そりゃ普通言わないだろ。黙ってるに決まってんじゃん」
佐伯がバカにしたように笑う。理人の隣を歩く人物に視線を向けた。
ーー姫野柚騎。学年きっての美少年にしてテニスのインターハイ出場経験者、そして某スポーツメーカーの御曹司である。もちろんそれだけではない。
姫野は理人ーー西園寺理人と同じ理系進学クラスだ。
うちの学校は偏差値が高い。理進はその中でも屈指の頭脳を持つ者が集められている。ちなみに主席が理人で、次席が姫野。つまり死ぬほど頭がいい。そして、見た目もすごく……いい。
「変なこと言うなよ、理人と気まずくなるだろ!」
もしも理人と付き合えても、嘲笑の対象になるのか…
少しの間目を伏せた。嫌な空気を払拭するように佐伯の背中を叩いた。痛ッ!と声を上げながらやり返してくる。結局どっちが日直をやるか口論しながら教室へと急いだ。
その様子を理人が見ていたとも知らずに。
つい、言ってしまった。久しぶりの通話だった。理人が女の子に告白された…という流れで、俺の好きな人の話になった。本人には言わないつもりだったのに魔が差してしまった。でも、現実は少女漫画のように甘くはない。
『……僕はちょっと、』
スマホを落としてしまった。全部は聞き取れなかったけど『ちょっと』と言った。その後に来るのは『好きじゃないから…』か『無理だから…』だろう。背筋が凍った。友情を壊したくない。慌ててスマホを拾う。
『ーーー……受験もあるしね。じゃあスオ、また明日』
急いで話そうとしたのに言葉が紡げなかった。通話の履歴に目を落とす。俺たちは何もかもが近すぎるから普段電話なんてしなかった。こんなことなら直接家まで行けばよかった。心臓がバクバクしたまま画面を見つめる。
その日、俺ーーー斎賀桜水は失恋した。
***
気づいたら二度寝していた。いつもより早く登校しようと思ったのに…、最低限の準備を終えて玄関に走り込む。かかとを潰したままドアへと手をかけた。
「…え、理人!?」
勢い良くドアを開けて、何かにぶつかる。急いで覗くとそこには人間がいた。……それは今、一番会いたくないヤツだった。走って逃げようかと思ったが、階段は遠く一番近いエレベーターはすぐそこ。行き先は一緒だからどのみち逃げ場は無い。小さく咳払いをした。
「もしかして先に行こうとした?」
「なんで?」
「いつもより早いから。スオは朝弱いのに」
バレている。平然を装ったが疑うような瞳がじぃ…とこっちを見ていた。澄ましているが絶対ドアを体をぶつけた。軽く謝ってから会話を始める。
「日直。授業前に日誌取りに行かなきゃだし」
「…昨日はそんなこと言ってなかったよね」
「佐伯と変わってあげた。コーヒー牛乳で」
理人の腕に掴まって靴を履き直す。体勢を崩さないように体を支えてくれた。
「タクシー呼ぼうか?」
「定期を使え、定期を」
こいつはすぐにタクシーを使おうとする。小さくため息をついた。どうせ捕まってしまったのだ、いつも通りにしよう。気づかれないように盗み見する、…理人もいつも通りで、変わった様子はない。
西園寺理人ーー彼を一言で表すなら、ハイスペックな王子様系の負けず嫌い。ついでに幼馴染。
少し歩いて、いつも通り電車に乗った。乗るのは一駅だけで満員になる程は乗客がいない。
理人は席が空いているとすぐに座らせようとする。歩道を歩くといつの間にか車道側を歩いてくれて、くだらない冗談にも笑いながら反応してくれる。
結局学校に着いたのはいつもと同じ時間だった。職員室へ行くため急いで靴を履き替える。ふと、顔を上げた。
「はぁ!?佐伯!?」
見覚えのある背中に足を止める。昨日、佐伯から連絡が来たのは本当だ。部活の朝練が入ったから日直を変わってほしいと言われた。俺はコーヒー牛乳と引き換えに了承した。どうしてお前がここにいる?
「あ、斎賀じゃん!おはよ~」
「おはよ~じゃないし!朝練は?」
「寝坊した…これからコーチのところに謝りにいく……」
「ドンマイじゃん。え、日直は?」
佐伯はクラスメイトの一人だ。入学式の時に苗字の関係で隣にいたから話しかけた。それ以来尽きず離れずの関係を続けている。
「あ…、理人!またな!」
佐伯と合流して話し込んでしまった。理人が待っていたことを思い出す。振り返って手を振った。理人は軽く手を上げると背中を向けてしまった。………そして、あいつと合流する。
「西園寺と姫野ってお似合いだよな~」
すんでのところで耐えたのに、佐伯が崖から突き落とした。静かに目を向ける。少し下品な笑みを浮かべていた。
「男同士だけどあの二人は別。BLっての?」
「はぁ?ないない。聞いたことないし」
「そりゃ普通言わないだろ。黙ってるに決まってんじゃん」
佐伯がバカにしたように笑う。理人の隣を歩く人物に視線を向けた。
ーー姫野柚騎。学年きっての美少年にしてテニスのインターハイ出場経験者、そして某スポーツメーカーの御曹司である。もちろんそれだけではない。
姫野は理人ーー西園寺理人と同じ理系進学クラスだ。
うちの学校は偏差値が高い。理進はその中でも屈指の頭脳を持つ者が集められている。ちなみに主席が理人で、次席が姫野。つまり死ぬほど頭がいい。そして、見た目もすごく……いい。
「変なこと言うなよ、理人と気まずくなるだろ!」
もしも理人と付き合えても、嘲笑の対象になるのか…
少しの間目を伏せた。嫌な空気を払拭するように佐伯の背中を叩いた。痛ッ!と声を上げながらやり返してくる。結局どっちが日直をやるか口論しながら教室へと急いだ。
その様子を理人が見ていたとも知らずに。
43
あなたにおすすめの小説
ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために
ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話
※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
胎児の頃から執着されていたらしい
夜鳥すぱり
BL
好きでも嫌いでもない幼馴染みの鉄堅(てっけん)は、葉月(はづき)と結婚してツガイになりたいらしい。しかし、どうしても鉄堅のねばつくような想いを受け入れられない葉月は、しつこく求愛してくる鉄堅から逃げる事にした。オメガバース執着です。
◆完結済みです。いつもながら読んで下さった皆様に感謝です。
◆表紙絵を、花々緒さんが描いて下さいました(*^^*)。葉月を常に守りたい一途な鉄堅と、ひたすら逃げたい意地っぱりな葉月。
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる