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7. えっ……っっっっち
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マンションに着くと、理人はパネルを操作した。最上階へのボタンを押す。買ってすぐのお菓子の話をしていると一瞬でエレベーターが来た。理人と一緒にいると時間が過ぎるのが早い。
「理人、カーテンしめて!」
「はいはい」
この階はワンフロアしかない。エレベーターを降りてすぐのドアを手早く開ける。そしていつも通り理人に声をかけた。さっさと窓の方へ行きカーテンを閉める。俺は高所恐怖症だ。理人の部屋は窓が大きいから空を背景にビルが見える。なんとなく腰が抜けてしまうのだ。
ちなみに俺の家は低層階だ。それでもビクビクしながらカーテンを閉めている。ちなみに理人と姫野の対決も震えながら見ている。見なきゃいいのに…と穂積に言われながら。
「課題やる?それともお菓子を食べる?」
俺の家の倍くらいある大きなテレビの電源を入れる。すぐにアニメや映画のラインナップが並んだ。チャンネルを寄越すので適当にいじる。
「お!これ見たいやつだ!」
「2時間だけど大丈夫?」
「今日は母さんいないから平気~」
ハッとする。やられた。理人が勝ち誇ったように笑う。
「待って!今のなし!!」
「今日は泊まりね。バスソルト入れる?」
「入れ……る」
理人は俺が好きなバスソルトを常備していた。
それだけではない。この男、俺を定住させる気かお泊まり道具を買い揃えていた。愛用のスウェットも歯磨き粉も把握されている。専用の枕に食器まであった。
そして理人は俺の母親の信頼をもぎ取っている。彼が一言連絡を入れればオーケーのスタンプが送られてくる。信頼レベルは俺より上だ。
「そういえばエノキいいの?買いに行く?」
「エノキは今度でいいや。大根あるし」
「なら大丈夫だね」
我ながらどうしてあの時エノキを出したのだろう。なにが大丈夫か分からないがとりあえず頷いた。ソファの片隅に目を向ける。
「なにこ、………れ」
手を伸ばして、止まる。住宅情報誌の中に隠れるようにあった写真の表紙。CMでよく見る結婚情雑誌だった。
「みつかっちゃったね」
「…りひと、」
後ろに回った理人が長い腕を伸ばす。すぐに振り返ると、パラパラとページをめくっていた。言葉が出てこない。いつの間に彼女を作ったのだろう。やっぱり、…姫野だろうか。困惑と戸惑いで頭が真っ白になる。しかもピンクの付箋が貼ってあった。
「あ、間違えた。こっちの雑誌だ」
どうやら雑誌を間違えたらしい。でも結婚情報誌がここにある事実は間違えないようだ。間違えた雑誌には先ほどよりも更に付箋がびっっっしりだった。ちょっと気持ち悪い。
「これなんてどうかな、似合うと思うんだけど」
「えっ……っっっっちすぎない…?」
「そう?」
「…………さすがにかわいそうだろ…」
言葉を選ぶ余裕なんてなくて心の声がそのまま漏れてしまった。スケスケな生地の、布面積が小さい水着みたいな洋服。ウェディングドレスというよりえっちな下着だ。こんな服で結婚式を挙げられるわけがない。そもそも姫野は男だ。いくら可愛くてもさすがにキツい。これではもはやえっちな動画撮影だ。
「スオはどれがいい?」
「は!?俺が選ぶの!?」
なにが悲しくて好きな男の、好きな人の…ウェディングドレスを選ばないといけないのか。呆然としながらソファに座る。理人が目の前に雑誌を差し出した。
「………………これとか似合うんじゃない」
知らんけど、という言葉は飲み込んだ。理人はへぇ、と声を出す。パラ見したけどこの雑誌、相当刺激的である。流し目で布面積が多めのものを選んだ。
「意外、こういうのが趣味なんだ」
「姫野は大人っぽいからあまり肌は出さない方がいいと思う」
「…なるほど、」
俺は襟が首元まで詰まっているドレスを選んだ。姫野は顔は可愛いけど体は筋肉質だ。あまり露出するのはよくない気がする。顔を上げると、理人の声が低くなった気がしたが、様子は変わらない。頭を撫でられた。
「そろそろ課題やろうか。映画はまたあとで」
テーブルの隅に雑誌を投げ置いた。
「理人、カーテンしめて!」
「はいはい」
この階はワンフロアしかない。エレベーターを降りてすぐのドアを手早く開ける。そしていつも通り理人に声をかけた。さっさと窓の方へ行きカーテンを閉める。俺は高所恐怖症だ。理人の部屋は窓が大きいから空を背景にビルが見える。なんとなく腰が抜けてしまうのだ。
ちなみに俺の家は低層階だ。それでもビクビクしながらカーテンを閉めている。ちなみに理人と姫野の対決も震えながら見ている。見なきゃいいのに…と穂積に言われながら。
「課題やる?それともお菓子を食べる?」
俺の家の倍くらいある大きなテレビの電源を入れる。すぐにアニメや映画のラインナップが並んだ。チャンネルを寄越すので適当にいじる。
「お!これ見たいやつだ!」
「2時間だけど大丈夫?」
「今日は母さんいないから平気~」
ハッとする。やられた。理人が勝ち誇ったように笑う。
「待って!今のなし!!」
「今日は泊まりね。バスソルト入れる?」
「入れ……る」
理人は俺が好きなバスソルトを常備していた。
それだけではない。この男、俺を定住させる気かお泊まり道具を買い揃えていた。愛用のスウェットも歯磨き粉も把握されている。専用の枕に食器まであった。
そして理人は俺の母親の信頼をもぎ取っている。彼が一言連絡を入れればオーケーのスタンプが送られてくる。信頼レベルは俺より上だ。
「そういえばエノキいいの?買いに行く?」
「エノキは今度でいいや。大根あるし」
「なら大丈夫だね」
我ながらどうしてあの時エノキを出したのだろう。なにが大丈夫か分からないがとりあえず頷いた。ソファの片隅に目を向ける。
「なにこ、………れ」
手を伸ばして、止まる。住宅情報誌の中に隠れるようにあった写真の表紙。CMでよく見る結婚情雑誌だった。
「みつかっちゃったね」
「…りひと、」
後ろに回った理人が長い腕を伸ばす。すぐに振り返ると、パラパラとページをめくっていた。言葉が出てこない。いつの間に彼女を作ったのだろう。やっぱり、…姫野だろうか。困惑と戸惑いで頭が真っ白になる。しかもピンクの付箋が貼ってあった。
「あ、間違えた。こっちの雑誌だ」
どうやら雑誌を間違えたらしい。でも結婚情報誌がここにある事実は間違えないようだ。間違えた雑誌には先ほどよりも更に付箋がびっっっしりだった。ちょっと気持ち悪い。
「これなんてどうかな、似合うと思うんだけど」
「えっ……っっっっちすぎない…?」
「そう?」
「…………さすがにかわいそうだろ…」
言葉を選ぶ余裕なんてなくて心の声がそのまま漏れてしまった。スケスケな生地の、布面積が小さい水着みたいな洋服。ウェディングドレスというよりえっちな下着だ。こんな服で結婚式を挙げられるわけがない。そもそも姫野は男だ。いくら可愛くてもさすがにキツい。これではもはやえっちな動画撮影だ。
「スオはどれがいい?」
「は!?俺が選ぶの!?」
なにが悲しくて好きな男の、好きな人の…ウェディングドレスを選ばないといけないのか。呆然としながらソファに座る。理人が目の前に雑誌を差し出した。
「………………これとか似合うんじゃない」
知らんけど、という言葉は飲み込んだ。理人はへぇ、と声を出す。パラ見したけどこの雑誌、相当刺激的である。流し目で布面積が多めのものを選んだ。
「意外、こういうのが趣味なんだ」
「姫野は大人っぽいからあまり肌は出さない方がいいと思う」
「…なるほど、」
俺は襟が首元まで詰まっているドレスを選んだ。姫野は顔は可愛いけど体は筋肉質だ。あまり露出するのはよくない気がする。顔を上げると、理人の声が低くなった気がしたが、様子は変わらない。頭を撫でられた。
「そろそろ課題やろうか。映画はまたあとで」
テーブルの隅に雑誌を投げ置いた。
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