優しくしなさいと言われたのでそうしただけです。

だいふくじん

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帰ってきた彼の手には濡れたハンカチがあった。

「良かったらこれで手首冷やしてください。気休め程度ですけど」

そういい男子生徒はそのハンカチを手首に巻いてくれた。

面倒な存在だからと親衛隊に入っていると基本避けられる事が多い、隊長となれば尚更。
なのでこんな扱いが心に染みて嬉しくなった。それと同時に不安も抱いた。

僕が隊長と知って近づいたんじゃないんだろうか。

そんな不安から目の前の男子生徒に「ねぇ...僕のこと知らないの?」と尋ねてしまった。

しまった。
もしこれで僕を知っていたら、こいつが面倒な奴だった、そんな奴に借りを作ってしまったらなど考えていた。
だが目の前の男子生徒はどっかであった事...などと呟きんーと唸りながら考えている様子だった。

「本当に知らないんだ...。」

思わず口に出してしまい呆然としてるとすいません...。と謝る声が聞こえた。

なんだがそれがおかしくて笑いながら「謝ることじゃないよ」と伝えた。


そう言えば考え事をしてちゃんと聞いていなかったが保健室に付いてきてくれるなどと言ってたよな...と思い出しお言葉に甘えてお願いした。


僕がお願いすると「勿論大丈夫ですよ」と言ってくれたので2人で空き教室を後にした。


保健室に向かっている際に疑問に思っていた事を聞いた。

「なんで髪そんなにボサボサなの?」

と質問した所真剣な顔で「変装です。」と答えられ少し笑った。
指摘されてからか髪を整えてマスクをし顎下にずらしていた。

そして現れた顔立ちは一重の少しつり上がった目元と普通より少し大きな口、ブザイクではなく普通と言った所だった。


だけど僕は気づいていた、そんな彼に少し惹かれてるなって。
これってもしかして吊り橋効果ってやつかな?などと内心思い保健室に着くまで軽い談笑と自己紹介をした。


保健室に着くと彼は扉を開けてくれた。
「それじゃあ手当してもらった後は気をつけて帰ってくださいね。」と言われ僕は頷き保健室に入った。

その後ろで扉を閉める音が聞こえる。

次を作っておなきゃ会えないかもしれない。そんな事を思い「あっ」と言葉を発してなんて言おうかも決めてないのに振り返った。


そうだ。


「これ返したいからまた会ってくれる?」

彼が腕に巻いてくれたハンカチを見せながら、僕は首を傾げた。

僕は可愛い。
そんなことは分かってる。分かっててやってるんだ、せっかく持ってる武器は使わなきゃ。

ほら、彼も少し顔を赤くしてる。


ズルいかもしれない。
でも彼なら大丈夫なんじゃないかな、もし、もしもこれで嫌な顔をしたら諦めよう。


また会ってくれると約束を取り付けお茶に誘った。

“親衛隊会議“その言葉を入れて、だけど彼は気にしていないかのように「大丈夫ですよ」と笑いながら答えてくれた。


それではまたと言い扉を閉めて彼は立ち去って行った。
僕は扉の前でこの煩い心臓の音を沈めようと胸をギュッと握った。

僕を助けてくれた男子生徒は月下 透と言うらしい。


僕はこれが恋に落ちた瞬間だと分かった。

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