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1 告解
しおりを挟む彼はミハイル·ヴェルディ。
幼き頃に聖なる力に目覚め、神殿に入り、そして現在はこの小さな街で教会の司祭として、人々に神の教えを説くために存在している。
美しい銀色の長い髪に、夜空を溶かしたような紺碧の瞳。スラリとした長身。
その上元々は伯爵家の三男であり、貴族だった。
街中の女性達が騒ぎ立てる美しい容姿に、聖職者でありながら元は貴族と言う身分。元貴族ならではな美しい所作。その上穏やかで優しい人格者で、人々は皆、この司祭を愛した。
休日のミサ、病や怪我の治療、子供達のお世話。
首都の喧騒から離れ、のんびりとこんな日々がいつまでも続いて欲しいと願っていた。
そんなミハイルの日々に変化が起きたのは、ある告解者が現れるようになってからだった。
その日、静かな夜だった。
春が芽吹く、心地よい温かさと穏やかな夜。
ミハイルはロウソクを灯して聖典に目を通していた。
コンコンとドアをノックする音がした。
「司祭様、告解をお願いします」
(またこの男だーーー)
告解。
それは罪の許しを乞うために罪を告白すること。
ミハイルは読みかけの聖典を机に置くと告解室へと足を運んだ。
告解室前の椅子に座ると椅子が軋み、それがミハイルが来た合図となる。
「告解を」
ミハイルが告げると、告解室の中にいる男が話し出した。
「ーーーどうしてもあの方を諦められないのです」
この男は想ってはいけない相手を想い苦しんでいる。度々この告解室へやってきては、こうやってその苦しい想いを吐いて行くのだ。
ミハイルは彼の気持ちを、思いの丈を聞くうちに、彼がどのような人間なのか、興味を抱いていた。
「あの方を見かけるだけで、それまで閉じ込めようとしていた気持ちが爆発しそうになるのです…」
(一体どこの誰にそんな想いを抱いているんでしょう…)
ミハイルは神に仕える者として、当然ながらこれまで誰か一人の人を愛したことなどない。
皆を平等に愛することが聖職者としての在り方だ。
(このように苦しんで…辛い事でしょう)
しかし、この男の声…。
男のミハイルが聞いていてもとても素敵な、官能的な声をしていた。
(どのような顔をしているんでしょうか…。告解室にいらっしゃる方にこのような興味を抱いてはいけないのに…)
ーーーしかし、その日の男の話は今までと趣向が変わっていたのだ。
「司祭様、私はあの方を見ると、自分ではどうにも出来ない位に欲情してしまいます…」
(えっ…)
ミハイルは真っ赤になった。
「体が言うことをきかないのです。私の男根がいきり立ち、鎮まりません…」
(なんて事を…!)
当然ながら、ミハイルは神に身を捧げ、俗世とは縁がない生活を強いられてきた。
つまり、禁欲生活を強いられてきたミハイルにはかなり刺激の強い話であった。
ミハイルは深呼吸すると神の教えを説き始めた。
「神は罪深い人間にも慈悲を与えられます。あなたはここで告解をする事によって、あなたの罪は許されました。
本日は聖典の第8章にあるーーー」
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