ロボット・バスター

KOH

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01.入団

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ロボット・バスターは廃校を本拠地として活動している。
そのため、隊員はそれぞれに教室に割り振られている。


そう、パンフレットに書いてあったので、僕(ナイン)は指定された教室へ向かう。

ーーー5年2組ーーー

スライド式の扉を開けると、机が等間隔に設置されており、先頭の真ん中に3人の男女が座っていた。

1人目は高身長で筋肉質のイケメン。
2人目はそのイケメンを見つめる可愛らしい女子。
3人目は身長が低めで子供っぽい顔つきをした人。


寝癖ボサボサの眼鏡の僕とは大違いだった。


指定された席に確認すると、僕はイケメンの隣だった。
窓側から、僕、イケメン、女子、子供っぽい人である。


僕が着席して数分後、扉が開き長髪の大人らしい女性が現れた。白い迷彩柄で、腕と膝にはプロテクターを着けており
手首は小さなタブレット端末が着いていた。


「私はアリールといいます。今から貴方たちも私と同じ服装に着替えてもらいます。」


そう言われ、机に着替えが用意された。


「この服装はロボット・バスターの制服で、アビリティスーツと呼ばれます。」


アビリティスーツ。

パンフレットの情報によると倒したロボットの能力を使うことが出来る高性能スーツなんだそうです。


おのおのトイレで着替え始め、着替え終わった僕は教室に戻ると、イケメンが一人で佇んでいた。

すると突然、イケメンは僕の方を見て近づいてきた。

「お前、名前は?」

「僕の名前はナインです。」

イケメンの声は優しく、心地よい声だった。

「俺はレオコーン。これから頑張ろうな。」

「はい、よろしくお願いします。」

「堅苦しい奴だなぁ。もっと柔らかく行こうぜ。」

「急に柔らかくって言われても……。」

「なんかこう…… ウェーイみたいな?」

「ウェーイ」

「なんか違うな。」


お前が言ったんだろって言いたかったけど、ウェーイが勝ってしまったんだ。

そして、レオコーンは真面目な顔つきとなり話題を変えた。


「ところで、なんでロボット・バスターに入ろうとしたんだ?」

「実は昔、ロボットに襲われたことがあって……。」


それは3年前。

僕の通っていた高校に突然、人型ロボットがアサルトライフルで襲来。

生徒・先生がパニックとなり、奇跡的に僕だけが助かったという出来事があった。

その時、僕を保護したのがロボット・バスターだった。


「僕だけ? まさか、他のクラスメイトは全員……。」

「死んでしまったんです……。」

「仕返しするためにここに来たわけか?」

「はい、ロボットに仕返ししてやろうと思って……。」

「…………


    なんかお前、カッコいいじゃん。」

「ちなみに、レオコーンは?」

「スカウト。」

「えっ?」

「スカウト。」


一瞬、スカウトの意味を忘れるくらいの衝撃だった。

その時、教室の扉が開いた。


「君、ナインって言うんだよね?」


レオコーンをじっと見てた女子だ。
地味に近い。


「う、うん。とりあえず、名前……教えて?」

その女子は瞳を輝かせながら話した。


「私はヴェーラ!! 私もスカウトで入ったの!!」


「!!」でも足りないくらいの大きな声を放った。


「俺はレオコーンだ。よろしくな。」


「はい……。よろしくお願いします……。」


「なんだ、もっとウェーイしろよ。」


ウェーイしろよって何だよ。


「ウェーイ」

「お前も違うな」


お前にウェーイの何がわかるんだよ!?


「ウェーイウェーイうるせぇな。もっと静かにしろよ。」


開けっ放しの扉から、子供っぽい顔つきの男が現れた。


「ちな、俺様はフレッドっていうから。よろしく~。」


お前が一番ウェーイ言ってそうだな。


「おう、フレッドか。俺はレオコーン。」


「僕はナインです。」


「私はヴェーラだよ。よろしくウェイ。」


「あっ、よろしくウェイ……。」


「あいつ、ウェーイはダメでウェイは良いんだ。」


四人でウェイウェーイ盛り上がっていると一部始終を見ていたアリールが口を開いた。


「はい、みんな。アリール先生からお話がありまーす。」


「私達にお話ですか?」


「今から俺様が戦いに行けばいいんだな
!?」


「落ち着け、俺はそうとは思えない。」


「僕もそう思えない。」





「今日から君たちはウェイウェイ隊と名乗ってもらう。」


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