14 / 109
第十三話(ペアからトリオへ)
しおりを挟む
「木ノ下。明日からお前達の牢はペアじゃない。トリオな」
今日一日の仕事を終えて、護送車に乗って刑務所まで帰って来て、刑務官にそんな台詞を突然に吐き捨てられたが……疲れて頭が上手く回らないせいか、何が何だかよく分からない。
ーー俺達が明日から「トリオ」?
ペア=二人。
トリオ=三人。
一息置いて気付く。
……うわぁ。
つまりは、狭い牢の中に住人が一人増えるってことだ。
「マジか……」
「牢が何処も一杯で空きがなくてな。じゃ、そういうことで」
他人事で冷たい台詞だ。
刑務官の話だと、後で俺達の牢へその一人を連れて来るらしいが……せめて面倒な奴じゃないことを願おう。
**********************
「ひーくん、ただいまー!」
晩御飯後に牢の中で日影と慈愛が寛いでいると、突然にやたらと元気な声が響き渡った。
トリオになると聞いて新入りと顔を合わせることを覚悟していたのだが、牢に入ってきた三人目の正体は金髪ツインテールの少女、ルナティアーズだった。
あれから一週間しか経っていないとは思えない程久しぶりに顔を見たような気がする。
「何だ……トリオになるって聞いて、誰が入ってくるのかと思ったらお前かよ。おかえり、ルナ」
再会して早速日影に抱きついてきた二人目の相棒が、三人目の相棒である慈愛の姿に気付くのにそこまで時間は掛からなかった。
反対側のベッドに腰掛けて本をぱらぱらと捲っていた銀髪少女の姿を見つけて、金髪少女が大きな声で叫ぶ。
「あーっ!ひーくんが浮気したーっ!」
「は?お前何言って……」
「ひーくん最低!あたしが居ない間に幼女とペア組んじゃったの!?ロリコンじゃないって言ってたのは嘘だったの?」
「誤解を招くような言い方するなよ。慈愛とペアになったのは偶然だ。俺が選んで一緒になったんじゃない」
浮気したも何も、日影はルナと付き合ってなどいないし同じく慈愛とも付き合っていない。
ただペアとして共に奉仕作業や刑務作業に励むパートナーでしかないんだ。
「ひーくんはあたしのひーくんだよね?ちっちゃな子に性的に興奮しちゃう変態さんじゃないよね?」
うるうると涙目になったルナが日影の両手を握って質問に対する返答を求める。
どう答えてやったらこいつは納得するんだ。
そもそもの話、俺達がペアからトリオになった事実を知らされていないのか?
「ひーくんは人が悪いなぁ~。違うなら違うってはっきり言ってくれたら良いのにぃ~」
「お前が聞こうとしなかっただけだからな」
人を散々ロリコン扱いする金髪ツインテールに、どう事情を説明しようと信じて貰えない日影の代わりに、慈愛が役目を交代してくれた。
「へぇ~……それじゃ、じーちゃんはひーくんに恩返しする為に此処に来たんだね」
「はい。ですのでお兄ちゃんは本当にロリコンではありません。幼女趣味の変態さんと間違われて逮捕された可哀想な人です」
「じーちゃんは良い子だね。普通はそんなことしよう何て考えたりしないよ」
「……なあ、ルナ。その「じーちゃん」って呼び方はやめないか?」
その呼び方は前にも一度デブが口にしたことがあったが、俺にはどうも老人を呼んでいるようにしか聞こえなくて嫌何だよな。
こんな小さくて可愛い子を年寄りみたいにさ。
素直に日影が伝えると、ルナは幾つかの呼び名を考え言葉に出してみる。
その中で消去法で選ばれたのは、
「慈愛たん、可愛い……」
銀髪の幼い少女をえらく気に入ったようで、ルナが慈愛を後ろから抱きしめ頬ずりしていた。
こうして見ると、二人は本当の姉妹のように見えなくもない。
「ルナさん、苦しいです……」
「あ、ごめんね。慈愛たんがあまりにも可愛いかったから。ふわふわな髪と柔らかな抱き心地がまるで子犬みたいだよね」
「可愛くないです。そんなこと初めて言われました」
幼いながらに大人な対応で謙遜する慈愛だったが、この歳で此処まで可愛く整った顔立ちをしている子供をあまり見かけない。
時が経つに連れて段々と可愛い子供から美人な女性に成長していくんだろうな。
将来有望だ。
「可愛いよ。ひーくんもそう思うでしょ」
「慈愛が可愛いのは知ってる。ルナ、お前やたら元気だが、懲罰牢での生活はどうだったんだ?辛くなかったか?」
「え……うん。普通に楽しかったよ。刑務官のよぼよぼのお爺ちゃんが毎日あたしの遊び相手になってくれたんだ。この前ひーくんに教えて貰った大富豪とかやったよ」
刑務官の爺と大富豪で遊んだ!?
この刑務所にはそんな爺が居るのか。
罰を与える為に用意された特別な牢だってのに、全くと言って意味がねぇ。
「へっ、へぇ~……そりゃ良かったな」
「うん。暇だから遊んでくれって頼まれたんだ~」
「恐い人達ばかりだと思っていましたが、中には優しそうな刑務官さんも居るんですね」
つるぎはどうだったんだろうな。
日影の視線は向かいの牢に居る最初の相棒、桜葉つるぎを見つめていた。
ーーどうやら読書中のようだ。
ついでにデブはと言えば、ベッドに横になっていびきを掻いている。こっちまで聞こえてくるあれは不愉快の一言しかない。
食べてすぐに寝ると豚になると言うが、すでに豚と化している奴は何へ姿を変えればいいんだ。
「なあ、つるぎ。お前はどうだったんだ?」
こちらの問いかけにつるぎは読書中だった本「人を殺す三つの方法」をぱたんと閉じ、こっちの牢へ視線を向けた。刑務所の中で読むには場違いな本だよなと、ツッコミは入れないでおこう。
「どうって何が?」
「懲罰牢に入っていた頃の話何だが、お前も刑務官の爺の遊び相手になってやってたのかと気になってな」
「彼は女好きなだけ。暇だったから肩叩きしてあげたらすごく喜んでくれたわ。男に厳しいって話は有名ね」
なるほど、ひいきする女好きの変態か。
「ひーくん、あの子誰?」
「俺の最初のペアだった桜葉つるぎ」
「えーっ!?ひーくんの初めてってあたしじゃなかったのっ?」
驚きのあまりルナが口にした台詞は、そこだけ聞いたら誤解を招きそうで何か嫌だ。
周りの囚人達に聞こえていたらと考えただけで背筋が凍る程に恐ろしい。
「言ってなかったっけ?お前は俺の中じゃ二番目の女ということになる」
「酷いです、お兄ちゃん。それなら私は三番目の女ってことになるじゃないですか」
「おっ。どうした慈愛。今日はノリが良いな。安心しろ。出会った順で言えばお前は俺の初めての女だ」
ーー女というか、幼女だけど。
「そうですか。嬉しいです」
子供なりに褒められて嬉しかったのか、俺の腕に慈愛が抱きついてきた。
そんな可愛らしい行動を目の当たりにしたルナも負けずと反対の腕を取る。
「慈愛たん、ずるい!あたしもひーくんにぎゅってしたい!」
両手に花とは正にこのことか。
男なら誰もが羨むであろう光景を、つるぎは不快そうな目付きで何か言いたそうに見つめている。
その目は「リア充死ね」と訴えているように思えてならない。
「やれやれ。救いようのないロリコン君ね。嬉しそうにニヤニヤしちゃって」
「おい、ちょっと待て。誰がロリコン君だ。ロリコンを君付けで呼ぶんじゃねぇよ。それにニヤニヤ何かしてないだろ」
全力で否定しにかかるが、つるぎはそんなことどうでも良さそうに立ち上がって後方へ足を進める。
「何処に行くんだよ」
「お風呂。おデブちゃんが眠っている今がチャンスだから。日影も一緒に入る?久しぶりに」
「入るかよ。つうか入りたくても入れない。そっちの牢には行きたくても行けないからな」
「そう。残念」
それだけ小さく呟いて、つるぎはカーテンの奥にある風呂場へ姿を消した。
……さて、こっちは風呂どうするかな。
ルナに慈愛とは一緒にお風呂を経験済みだが、流石に三人で入るのは男の俺が恥ずいし、理性が保てない。
「ねぇ、ひーくん。あの子が言ってた「久しぶりに」ってどういうこと?教えて」
何故か機嫌を損ねているルナにジト目で見つめられ、そんなどうでもいいことを尋ねらる。
「言葉通りの意味だよ。つるぎから久しぶりにお風呂に入ろうって誘われた。ペアだった頃はよくご一緒してたからな」
「またしても先手を取られてたってこと!?ひーくんと最初にお風呂したのはあたしじゃなかったの?」
「ああ。何かすまん」
「ひーくんはあのつるぎって子とだったら平気でお風呂に入るんだね。あたしの時は嫌がって中々入ってくれなかったのに」
最初こそ頑なに断っていた俺だが、二回目からは一緒に脱衣所に足を運ぶようになっていた。
慣れってのは恐ろしいものですな。
童貞だってのに三人の女の子との洗いっこのおかげで、そこら辺に山程居る男共より遥かに女体に触れている回数は多い。
「それより、お前等も早く風呂行って来いよ。時間なくなるぞ」
入浴時間はもたもたしていたらすぐに終了するような短い時間しか設けられていない。
男なら十五分でも余裕だろうが、女子は髪とか洗うの時間かかるって聞くし、実際そうだ。
「何言ってんの?ひーくんも一緒に入るよ」
「はあ?俺は入らないっすよ、ルナさん。良いから早くその小っこいの連れて二人で行って来い」
「ひーくんが一緒に入ってくれないなら二度と口聞いてあげないよ。それでもいいのかな?」
「分かった。ならこれからは慈愛とだけ会話する」
「お兄ちゃん、今更恥ずかしがることないじゃないですか。私はルナさんの味方をします。三人で一緒に入りましょう。でないと明日から口聞いてあげません。シカトしちゃいます」
お兄ちゃんを脅すとは慈愛もたくましくなったなぁ。
活き活きとしたその表情を見るに、この誘いを断れば本当にシカトされそうで恐ろしい。
この日の俺は早々に観念し、三人仲良くお風呂に入ったのだった。
今日一日の仕事を終えて、護送車に乗って刑務所まで帰って来て、刑務官にそんな台詞を突然に吐き捨てられたが……疲れて頭が上手く回らないせいか、何が何だかよく分からない。
ーー俺達が明日から「トリオ」?
ペア=二人。
トリオ=三人。
一息置いて気付く。
……うわぁ。
つまりは、狭い牢の中に住人が一人増えるってことだ。
「マジか……」
「牢が何処も一杯で空きがなくてな。じゃ、そういうことで」
他人事で冷たい台詞だ。
刑務官の話だと、後で俺達の牢へその一人を連れて来るらしいが……せめて面倒な奴じゃないことを願おう。
**********************
「ひーくん、ただいまー!」
晩御飯後に牢の中で日影と慈愛が寛いでいると、突然にやたらと元気な声が響き渡った。
トリオになると聞いて新入りと顔を合わせることを覚悟していたのだが、牢に入ってきた三人目の正体は金髪ツインテールの少女、ルナティアーズだった。
あれから一週間しか経っていないとは思えない程久しぶりに顔を見たような気がする。
「何だ……トリオになるって聞いて、誰が入ってくるのかと思ったらお前かよ。おかえり、ルナ」
再会して早速日影に抱きついてきた二人目の相棒が、三人目の相棒である慈愛の姿に気付くのにそこまで時間は掛からなかった。
反対側のベッドに腰掛けて本をぱらぱらと捲っていた銀髪少女の姿を見つけて、金髪少女が大きな声で叫ぶ。
「あーっ!ひーくんが浮気したーっ!」
「は?お前何言って……」
「ひーくん最低!あたしが居ない間に幼女とペア組んじゃったの!?ロリコンじゃないって言ってたのは嘘だったの?」
「誤解を招くような言い方するなよ。慈愛とペアになったのは偶然だ。俺が選んで一緒になったんじゃない」
浮気したも何も、日影はルナと付き合ってなどいないし同じく慈愛とも付き合っていない。
ただペアとして共に奉仕作業や刑務作業に励むパートナーでしかないんだ。
「ひーくんはあたしのひーくんだよね?ちっちゃな子に性的に興奮しちゃう変態さんじゃないよね?」
うるうると涙目になったルナが日影の両手を握って質問に対する返答を求める。
どう答えてやったらこいつは納得するんだ。
そもそもの話、俺達がペアからトリオになった事実を知らされていないのか?
「ひーくんは人が悪いなぁ~。違うなら違うってはっきり言ってくれたら良いのにぃ~」
「お前が聞こうとしなかっただけだからな」
人を散々ロリコン扱いする金髪ツインテールに、どう事情を説明しようと信じて貰えない日影の代わりに、慈愛が役目を交代してくれた。
「へぇ~……それじゃ、じーちゃんはひーくんに恩返しする為に此処に来たんだね」
「はい。ですのでお兄ちゃんは本当にロリコンではありません。幼女趣味の変態さんと間違われて逮捕された可哀想な人です」
「じーちゃんは良い子だね。普通はそんなことしよう何て考えたりしないよ」
「……なあ、ルナ。その「じーちゃん」って呼び方はやめないか?」
その呼び方は前にも一度デブが口にしたことがあったが、俺にはどうも老人を呼んでいるようにしか聞こえなくて嫌何だよな。
こんな小さくて可愛い子を年寄りみたいにさ。
素直に日影が伝えると、ルナは幾つかの呼び名を考え言葉に出してみる。
その中で消去法で選ばれたのは、
「慈愛たん、可愛い……」
銀髪の幼い少女をえらく気に入ったようで、ルナが慈愛を後ろから抱きしめ頬ずりしていた。
こうして見ると、二人は本当の姉妹のように見えなくもない。
「ルナさん、苦しいです……」
「あ、ごめんね。慈愛たんがあまりにも可愛いかったから。ふわふわな髪と柔らかな抱き心地がまるで子犬みたいだよね」
「可愛くないです。そんなこと初めて言われました」
幼いながらに大人な対応で謙遜する慈愛だったが、この歳で此処まで可愛く整った顔立ちをしている子供をあまり見かけない。
時が経つに連れて段々と可愛い子供から美人な女性に成長していくんだろうな。
将来有望だ。
「可愛いよ。ひーくんもそう思うでしょ」
「慈愛が可愛いのは知ってる。ルナ、お前やたら元気だが、懲罰牢での生活はどうだったんだ?辛くなかったか?」
「え……うん。普通に楽しかったよ。刑務官のよぼよぼのお爺ちゃんが毎日あたしの遊び相手になってくれたんだ。この前ひーくんに教えて貰った大富豪とかやったよ」
刑務官の爺と大富豪で遊んだ!?
この刑務所にはそんな爺が居るのか。
罰を与える為に用意された特別な牢だってのに、全くと言って意味がねぇ。
「へっ、へぇ~……そりゃ良かったな」
「うん。暇だから遊んでくれって頼まれたんだ~」
「恐い人達ばかりだと思っていましたが、中には優しそうな刑務官さんも居るんですね」
つるぎはどうだったんだろうな。
日影の視線は向かいの牢に居る最初の相棒、桜葉つるぎを見つめていた。
ーーどうやら読書中のようだ。
ついでにデブはと言えば、ベッドに横になっていびきを掻いている。こっちまで聞こえてくるあれは不愉快の一言しかない。
食べてすぐに寝ると豚になると言うが、すでに豚と化している奴は何へ姿を変えればいいんだ。
「なあ、つるぎ。お前はどうだったんだ?」
こちらの問いかけにつるぎは読書中だった本「人を殺す三つの方法」をぱたんと閉じ、こっちの牢へ視線を向けた。刑務所の中で読むには場違いな本だよなと、ツッコミは入れないでおこう。
「どうって何が?」
「懲罰牢に入っていた頃の話何だが、お前も刑務官の爺の遊び相手になってやってたのかと気になってな」
「彼は女好きなだけ。暇だったから肩叩きしてあげたらすごく喜んでくれたわ。男に厳しいって話は有名ね」
なるほど、ひいきする女好きの変態か。
「ひーくん、あの子誰?」
「俺の最初のペアだった桜葉つるぎ」
「えーっ!?ひーくんの初めてってあたしじゃなかったのっ?」
驚きのあまりルナが口にした台詞は、そこだけ聞いたら誤解を招きそうで何か嫌だ。
周りの囚人達に聞こえていたらと考えただけで背筋が凍る程に恐ろしい。
「言ってなかったっけ?お前は俺の中じゃ二番目の女ということになる」
「酷いです、お兄ちゃん。それなら私は三番目の女ってことになるじゃないですか」
「おっ。どうした慈愛。今日はノリが良いな。安心しろ。出会った順で言えばお前は俺の初めての女だ」
ーー女というか、幼女だけど。
「そうですか。嬉しいです」
子供なりに褒められて嬉しかったのか、俺の腕に慈愛が抱きついてきた。
そんな可愛らしい行動を目の当たりにしたルナも負けずと反対の腕を取る。
「慈愛たん、ずるい!あたしもひーくんにぎゅってしたい!」
両手に花とは正にこのことか。
男なら誰もが羨むであろう光景を、つるぎは不快そうな目付きで何か言いたそうに見つめている。
その目は「リア充死ね」と訴えているように思えてならない。
「やれやれ。救いようのないロリコン君ね。嬉しそうにニヤニヤしちゃって」
「おい、ちょっと待て。誰がロリコン君だ。ロリコンを君付けで呼ぶんじゃねぇよ。それにニヤニヤ何かしてないだろ」
全力で否定しにかかるが、つるぎはそんなことどうでも良さそうに立ち上がって後方へ足を進める。
「何処に行くんだよ」
「お風呂。おデブちゃんが眠っている今がチャンスだから。日影も一緒に入る?久しぶりに」
「入るかよ。つうか入りたくても入れない。そっちの牢には行きたくても行けないからな」
「そう。残念」
それだけ小さく呟いて、つるぎはカーテンの奥にある風呂場へ姿を消した。
……さて、こっちは風呂どうするかな。
ルナに慈愛とは一緒にお風呂を経験済みだが、流石に三人で入るのは男の俺が恥ずいし、理性が保てない。
「ねぇ、ひーくん。あの子が言ってた「久しぶりに」ってどういうこと?教えて」
何故か機嫌を損ねているルナにジト目で見つめられ、そんなどうでもいいことを尋ねらる。
「言葉通りの意味だよ。つるぎから久しぶりにお風呂に入ろうって誘われた。ペアだった頃はよくご一緒してたからな」
「またしても先手を取られてたってこと!?ひーくんと最初にお風呂したのはあたしじゃなかったの?」
「ああ。何かすまん」
「ひーくんはあのつるぎって子とだったら平気でお風呂に入るんだね。あたしの時は嫌がって中々入ってくれなかったのに」
最初こそ頑なに断っていた俺だが、二回目からは一緒に脱衣所に足を運ぶようになっていた。
慣れってのは恐ろしいものですな。
童貞だってのに三人の女の子との洗いっこのおかげで、そこら辺に山程居る男共より遥かに女体に触れている回数は多い。
「それより、お前等も早く風呂行って来いよ。時間なくなるぞ」
入浴時間はもたもたしていたらすぐに終了するような短い時間しか設けられていない。
男なら十五分でも余裕だろうが、女子は髪とか洗うの時間かかるって聞くし、実際そうだ。
「何言ってんの?ひーくんも一緒に入るよ」
「はあ?俺は入らないっすよ、ルナさん。良いから早くその小っこいの連れて二人で行って来い」
「ひーくんが一緒に入ってくれないなら二度と口聞いてあげないよ。それでもいいのかな?」
「分かった。ならこれからは慈愛とだけ会話する」
「お兄ちゃん、今更恥ずかしがることないじゃないですか。私はルナさんの味方をします。三人で一緒に入りましょう。でないと明日から口聞いてあげません。シカトしちゃいます」
お兄ちゃんを脅すとは慈愛もたくましくなったなぁ。
活き活きとしたその表情を見るに、この誘いを断れば本当にシカトされそうで恐ろしい。
この日の俺は早々に観念し、三人仲良くお風呂に入ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる