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しおりを挟む「北海道さん。分かります? 繋がってるの」
「…………」
腰を掴み、最奥まで挿入っていることを伝えると、手首の紐が解けてしまった北海道さんが、顔の横のシーツを掴みながら俺を見上げ、何度も苦しげな顔で俺を締め付けた。
ようやく本物の北海道さんと繋がることができた。何度も眠れない夜に見た夢と同じだ。しかし俺を締め付ける感覚はずっと生々しくていやらしくて、それだけでイってしまいそうだった。
「……北海道さん」
腰を少しだけ引いて、すぐに押し付けると、俺の動きに合わせて北海道さんの足が揺れた。
「……あっ……あっ……しまねくんっ……!」
まさか鳥取まで来て北海道さんと繋がれるとは思わなかった。
本当にこの人といると不思議なことばかり起こる。
幽霊を見たり、銃口を向けられたり、廃校に忍び込んだり、轢かれて死にかけたり。
それでも一緒にいたいと思うのは、北海道さんのことが好きだからだ。自分から足を突っ込んだこの沼からは絶対に抜け出さないと決めたんだ。
とことん溺れてやるって。
「……あっ……あっ……あっ……あっ……あっ……」
俺を離したがらない北海道さんのきつい締め付けは、僅かな動きだけですぐに俺を追い込んだ。
「…………」
北海道さんの中に放ったそれは長く尾を引いた。
あまりにも気持ち良くて、これは夢なんじゃないかと思い始めたところで、北海道さんに名前を呼ばれて目が覚めた。
「しまねくん」
「…………」
繋がったまま北海道さんを抱きしめ、キスをした。
「……あっ……あっ……あっ……あっ……!」
北海道さんがひれ伏すように俺の背中を向けて前に倒れ、俺に尻を預けている。北海道さんの腰を両手で掴んで、腰を揺すっていた。
俺が動くたびに、北海道さんの背筋や肩甲骨が動く。その動きがいやらしくて、堪えきれずに北海道さん潰すように上に乗り、シーツを掴む北海道さんの手に手を重ねた。
北海道さんを体重で潰しながら腰を打ち付けた。
「……ぁああっ! ……あぁあっ! ……ぁぁぁっ! ……ぁあぁっ! ……」
これ以上ないほど深く繋がっていた。
北海道さんが喘ぎ声なのか鳴き声なのか分からない声を上げている。
最後は北海道さんの肩の肉を噛み、重ねた手を握って、もう一度北海道さんの中でイった。
「…………」
またも長く余韻が続いた。
すすり泣く北海道さんの背中に体を重ねて潰しながら、強く抱きしめだ。
俺の上に座る北海道さんに両手で顔を掴まれ、舌で口の中を弄ばれていた。
「……北海道さん。寝ないんですか?」
「……なんで?」
開け放った障子から見えている空は白み始めていた。北海道さんの体力だととっくに眠っていてもおかしくない。
「…………」
細くても男の体を持つ北海道さんに上に乗られると、身動きができず、最後の射精が終わっても繋がったままだった。
「……北海道さん」
昼間に遊び過ぎたせいで俺の体力も限界で、北海道さんに好きにされるしかなかった。
「……なに?」
北海道さんの舌が顎に下り、伸び始めた髭を舌でなぞって、首筋を通り、また口へ戻ってきた。
「なんで許してくれたんですか?」
「何を?」
「俺は北海道さんを眠らせて酷いことをしたのに」
正直に言って俺がしたことはストーカーよりも酷いことだ。
北海道さんの意思を無視して眠らせて体を汚したんだ。この体を今日よりもずっと前から知っていた。北海道さんはそんな俺に気が付いていたのに知らないフリをしてくれていた。
「……嫌じゃなかったんですか?」
「…………」
俺の首に両手を回した北海道さんは、黙って俺にキスを続けるだけで答えてくれなかった。
二人とも一睡もせずにヘトヘトな状態で飛行機に乗り、鳥取から東京へ戻った。千葉にお土産を渡すために北海道さんの事務所に寄ると、なぜかマンションの壁が焼け焦げていた。
慌てて事務所の部屋に入ると、部屋は水浸しで、ベランダのガラスも割れていた。千葉がおずおずと奥の部屋から出て来た。
「実は昨日の夜、隣の部屋で火事があったんです」
「…………」
「消防車がいっぱい来て火を消してくれたんですけど……」
夜通し北海道さんと抱き合っている間にそんなことが起きていたなんて……。
「…………」
突然隣りにいた北海道さんが膝から崩れ落ちた。
無理もない。引っ越しにあたり、あらゆる物を新調していたのだ。それが全て水浸しになってしまった。もうここを使うのは無理そうだ。
「北海道さん。大丈夫ですか?」
「どうしよう。貯金全部使い切っちゃった」
「…………」
やっぱりこの人は計画性や社会性がない。でも無鉄砲で無邪気なところが北海道さんの特徴なんだ。俺が支えてあげないと。
「それで、あの……」
千葉がシャツの裾をいじりながら、はにかんだ笑顔でどこか嬉しそうに言った。
「叔父さんが二階に戻ってきて良いって言ってます」
おわり
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