ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

教会と言えば

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ディアさんが、実は孤児院と教会に潜んでる忍者だったお兄さん達を、懺悔室へ引きずっていって約5分。
その間に、詩音へ事件の粗筋を教えておいた。

「そ、そんなことが…!許せませんね!」
『そうなのです!許しちゃダメなことなのです!』
「ただ、マジでそのピザが悪いのか、成り済ましなのかハッキリしてないからさ。今、ディアさん家の四男さんに、調べてもらってんの。」
「…ジェイクさんですか?」
『くろいおにーちゃん?』
「あ、お前らも会ったんだ?」
「はい。ミライくんのお守りをしてる、と仰ってました。」
「お守り……。」

…0歳3ヶ月の仔狼だから、お守りって表現も解らんでもないけど…精神年齢的にはとても微妙というか、できればやめてほしい表現だ。

「つか、何で俺の方…?お守り要るのは寧ろお前じゃ……」
「否定はしませんが、私はラルフさんとレナさんが一緒にいてくださってたので、恐らくそれが理由かと。」
「そっか。……本当は、二人とも年下だけどな。」
「中学生…なんですよねぇ……。」

エインくんも、12歳にしてはしっかりしてるしなぁ。
この世界の子の精神年齢が高いのか、元の世界の現代日本人の精神年齢が低いのか。
俺は元の世界でも、低めの分類だとは自覚してる。

「…そういえば、最初に街へ来てから…私達教会でお祈りとかしてませんよね。」
「あー…冒険の書に記録する?」
『冒険の書って何ですか?』
「んー、たぶん日記的なもん。」
『にっき?』
『日記書くです?』
「マジで書く訳じゃなくてね。神様、俺こんなことしましたーって報告するんだよ。…本当に書くシステムだったら、俺だと3日坊主にすら成らなさそうだな。」
「私の場合…今ならモフモフ観察日記になりそうです。」
「それはちょっと読みたい。俺のことじゃなければ。」
「なら、読まない方がいいですよ。」
「俺のこと書くの確定かよ。」

小梅のこんな所が可愛いとか、陽向が何して遊んでたって内容なら、是非読みたいけども。
俺の行動を逐一書かれるのはヤダ。

「神父様いないけど、祈って良いんかね?」
「祈る分には自由だと思いますよ。」
「では、神の前でこれまでの行いを告白しなさい。こちらの冒険の書に記録してもよろしいですか?」
「はい。」
『はいです!』
『はーい!』
「ちゃ~らりら~らら~♪」

目を閉じて、一応手を組みながら、ドラ●エのセーブ音を口ずさむ。
シェープ様ー、とりあえず元気でやってるよー。

[うむ…思ったよりも、来るのが遅かったな。]

はい?

[君なら街へ着いたら、まず教会に来てくれると思っていたのだが…]

目を開けると、白いモヤが掛かった様に、景色がぼやけてた。
さっきまで感じていた、外の雑踏とか風の音が聞こえない。
きっと、この状態なら、周りからは俺達の姿が見えないんだろう。
教会で祈ると、シェープ様と交信できるのな。
もっと早く来るべきだった。

「あー…すんません。取っ捕まったらヤダな~って思ったら、足が向かなくて。今度から新しい街に着いたら、まずセーブするよ。」
『シェプさん、お久し振りなのです♪』
『だぁれー?』
「神様だよ、神様。」
『かみさま!はじめまして!』
「も、もしかして、ずっとお待たせしてましたか?!」
[ああいや、気にしなくていい。ディアから報告は受けていたからな。]

おおぅ、まさかの渾名呼び…!
関係者っていうか、マジで仲良いんだね?

[しかし、何と言うか…そう厄介ごとに首を突っ込まなくても良いのではないか?ディアが「ここ数万年で一番働いてる気がする」とぼやいていたぞ。]
『数万年です?長生きなのです。』
「……シェープ様、あの人何歳?ってか何者?」
[歳はもう数えてないな。何者かは…すまない、口止めされているのだ。]
「そ、そうですか。」

ちぇー。
まあいいや、色々考えるのも楽しいし。
果たして、魔王なのか天使なのか、はたまた神様の一柱なのか。
武神とかありえるんじゃね?

[ああ、そうだミライよ。その…ワームの件はすまなかった。ディアの運が、君の運を相殺どころか、押し潰してしまったようでな…]
「え。」
「そんなことあるんですか?!」
『ぷちってしたの?』
[だ、大丈夫だ!あ奴には『面白さより保護対象の安心と安全を優先しろ』と、釘を刺しておいた!]
「へ、へぇ…そうなんだ。」
『…まだちょっと不安です……。』

ディアさん…そういや、俺のワーム大火葬事件の時、爆笑してやがったもんな…!
常に『面白い事』を求めてるディアさんのために、周囲でハプニングが起こるってことだよね?そうだよね?

「なんか腹立ってきた。シェープ様、ディアさんの弱点とか無いの?」
[ふむ、弱点か……そうだ、奴はああ見えてスr]
「お喋りはそこまでだ。」

少し怒ったような声が聞こえたと思ったら、音もなくモヤにヒビが入った。
そのまま、ガラスが割れるように崩れて、クリアな視界と周囲の音が戻ってくる。

「シェープめ…余計なことを……」
「ディアドルフさん!お話し終わったんですか?」
『おかえりなさいです。』
「ああ、聞きたいことは聞けた。」
「ちょっと、俺は聞きたいこと、聞けてないんだけど。」
「奴が教えようとしてたのは、別に弱点じゃないぞ。」
「えー?」

もー、良いところで邪魔してくれたな。
ワームの仕返し、しようと思ったのに。

「そういえば、先程のお兄さん方はどちらに?」
「ソコに置いてある。」

ディアさんが指差す方向に目を向けると、思いっきり顔面に真っ赤な手形の付いてるお兄さんと、白目剥いてるお兄さんが落ちていた。

『おにーちゃんたち、だいじょーぶ?』
「うわ、何があったのコレ?!ってか、何したのディアさん?!」
『ボロ雑巾なのです。』
「や、ややややり過ぎですよ!!《ヒール》!」
「やったのは、私ではないがね。紹介せねばな…2人共、此方へ。」
「はいっ!」
「はい。」

ボロボロの忍者さんから目を離すと、小学生くらいの見知らぬ女の子と、優しそうな女性が立っていた。

えーと……

「どっから拐ってきたの?」
「王都だ。」
「はい?」

何をどうしてそうなったのか、じっくり聞かせてくれるんだよね?
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