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ビビりとモフモフ、冒険開始
大人しい奴がキレると大体ヤバい
しおりを挟むう、うるっせぇぇぇぇ……!
やめてくれ、俺人間より耳良いんだよ!
ぬぐぐ…し、詩音が叫んだのは怖いからだろうね。
めっちゃ震えてるの伝わってくるし。
ゴブリンは…………ガッタガタ震えてるな。
え?てことは、ゴブリンもビビってるの?
……まあ、そうか。
フェンリルだけでも怖いだろうに、それに乗った人間が奇声発してたら、怖さ倍増だよね。
ちょっと可哀想かも。
[……詩音、詩音!]
「は、はぃっ?!」
[ゴブリン怯えてるよ。もう大丈夫だ。]
「へっ?!……あ、ほ、本当ですね…未來くんが怖いんでしょうか……。」
[たぶんお前もな。]
「え?」
無自覚ってある意味罪だと思う。
あ、ゴブリン泡吹いて気絶した。
なんか、ごめんね?
「ひゃっ!?ど、どうしたんでしょう、ゴブリンさん……」
[恐怖がピーク行く前に、防衛本能が働いたんだよ。きっと。]
お前…ゴブリンにまで敬称付けるのな……ん?
……あー、こりゃちょいと雲行きが怪しいかも。
[詩音、ヤバいかもしれん。]
「や、ヤバいとは?」
[さっきの悲鳴合戦のせいか、点在してたゴブリンっぽいのが集まってきてる。]
「ぇえええ?!に、ににに逃げましょう!!」
[うん。ガッツリしがみついて。走るから。]
「はぃいい!!」
たぶん戦えば勝てるだろうけど…集団戦は、ある程度バトルに馴れてからがいい。
それに、詩音はゴブリン1体でもあのビビり様だ、囲まれなんてしたら…泣き叫ぶんじゃなかろうか。
俺の鼓膜的にも、それはよろしくない。
ゴブリンらしき集団から距離を取るため、森を疾走する。
ひとまず、最優先事項は安全確保。
次いで詩音のメンタル回復。
その両方を実現するのが、今の状態というわけだ。
背にしがみつかせることで、逃走と俺の毛並みでのピーリングを並行する。
しかし、道悪いなぁっ!
足を取られずに走る、詩音を枝や藪に引っかけないよう気を付ける。両方やるの難しいよ!
ジョ●ョのイタリアギャングのお兄さんも、こんな気持ちだったんだろうか。
いや、あの人チームのリーダーだし、やってたこともっと責任重いけど。
なんて考えていたら、索敵に猛スピードで迫ってくる何かが引っ掛かった。
たぶん、今の俺より速いぞコレ!
[っ!なんか1体超速いの居るっ!!]
「へぇっ?!お、追って来てるんですか?!」
[捕まったらごめん!!]
「ぇえええええええ?!」
なんだろ、コイツ…ゴブリンではないな。
他の気配がさっきのゴブリンの所へ集まって止まったのに、コイツだけ俺達の方に来てる!
何よりスピードが異常だ!
『……ェェェ』
「ひぃっ?!ななな何か聞こえました!」
[聞こえたね!後ろ見れる?!]
「滅茶苦茶怖いですが頑張りますっ!!」
ありがとう!
さて、鬼が出るか蛇が出るか…俺に何が来てるのか伝える前に、詩音が気絶しなきゃいいけど……!
「…………み、未來くん…」
[見えた?!]
「見え、ました……」
[何か解る?!]
『クビオイテケェエエエエ!!』
「でゅ、デュラハンナイトさんですぅうううう!!」
[はぁああああああ?!]
デュラハンってアレだよね?
首無し甲冑騎士だよね?!
それが馬に乗ってるっての?!
なんで最初のダンジョンに、そんなもん居るのさぁ!
「はわわわわわっ!木を薙ぎ倒して来てますっ!」
[マジで?!そりゃ、速いわけだよ!!]
障害物競走を余儀なくされてる此方に対して、敵さん障害物破壊競走してんの?!
ヤッバ、これ逃げ切るの無理じゃない?!
[うわっとっ?!]
「ふわぁっ?!」
切り株邪魔ぁあああ!
よ、四足歩行で転けるって恥ずかしいね…
って、ヤバいヤバいヤバい恥じらってる場合じゃない!
あの妖怪クビオイテケ止めないと死ぬ!
[っ、馬だけでも威圧できれば…!]
「ぁ……こ……」
『クククビクビクビィイイイイ!』
『止まりやがr 「怖い怖い怖い怖い来ないでくださぁああい!!」 』
……ありのまま起こったことを話すぜ。
詩音がビビり過ぎてぶちギレたと思ったら、小さい光の玉をマシンガンみたいに杖から高速発射しまくって、結果妖怪クビオイテケが蜂の巣になった。
な、何を言ってるのか解らねぇとは思うが(ry
『グビガァアアア!』
クビオイテケ、もといデュラハンナイトが崩れ落ちて、穴だらけの甲冑と骨になった馬だけが残る。
……ゾンビじゃないだけマシ…かな。
「ハァ……ハァ……ふぇ…こ、怖かったですぅぅぅ……!」
[う、うん……そう、だね……]
泣きながら俺にしがみついてるけど、ごめん詩音。
ある意味お前の方が怖いわ。
[…記念に、持ってく?あの残骸…意外と売れるかもよ。]
「も、もう少しモフモフしてからで……」
[ん…了解。]
本日二度目のモフモフタイム決定。
既に日が傾いてきてる。
こりゃ、町に着くのは明日かな。
[せめて、夜までに森からは出たいね。テントの準備とかしないとだし。]
「で、ですね…またあんなの来たら嫌ですし……」
うん。それは御免だわ。
だから、早く落ち着いてね詩音。
俺はお前の神の手のお陰で、だいぶ落ち着いてきたからさ。
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