ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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オマケ集

お化け屋敷の蛇王様

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※リグルさんの過去話です。
オチとかありません←


※モブ冒険者視点

シェイナ国のオアシス…『デザートグレイブ』と呼ばれる死地に佇む、おどろおどろしい屋敷。
砂嵐と濃い瘴気に晒されたその屋敷は、50年前までこの辺り一帯のオアシスを治めていた、領主の持ち物だったらしい。

「50年前、屋敷に暮らしていた領主一家、及び使用人15名が、一晩の内に『消えた』。生物は屋敷に住み着いていた筈のハウスラットから、番犬代わりのブラックハウンドまで全滅。」
「唯一無事だったのはコカトリス小屋のみ…その後、屋敷に瘴気が充満し始めて、1週間でバケモン屋敷になっちまった、と。民はオアシスを棄てて全員移住…おっかねぇ話だな。」
「この50年で、興味本位から屋敷に入った若者や、調査に来た冒険者なんかが、かなりの人数居たらしいんだが……何れも『消息不明』のまま、帰って来ないって話だ。」

何時しか、この屋敷の調査は、かなり特殊な依頼になった。
依頼者はシェイナ王国。
成功報酬は百万G。
受注条件は…『国内で大きな問題を起こした者』。
つまり、『死のうが消えようが構わない奴』。

バケモン屋敷の調査へ行くのは、俺達じゃない。
俺達は、ただの付き添い…もとい見張りだ。
逃げずに扉の中へ入るまでを、見届けるための見張り。
報酬は1人10万G。
見張りだけにしちゃ、破格の額だ。
この役に就けるのは、調査依頼を受けた奴等が、確実に敵わない者達だ。
普通は、俺達みたいなAランクの冒険者が請け負うが…場合に寄っては、Sランクが駆り出される事もあるらしい。

「良かったな、お前ら。砂漠の巡回兵に、盗賊紛いの事したってのに、成功すりゃ百万Gの仕事が舞い込んで来るなんてよ。」
「ケッ!!どうせ、アンデッドでも蔓延ってんだろ?コイツの光属性で、余裕だ余裕。」
「へへっw見張りのお兄さん。俺コレでも、元神官で~wセイント・バレット使えるんすよ~w」
「いやぁ、国王様にゃ感謝だなぁ~w雑魚兵士からちょいと水筒拝借したら、こんな良い仕事くれるんだもんよぉ!」

はいはい…こういう奴等も、何度か見た事がある。
誰1人として、戻って来やしなかったけどな。
セイント・バレットで、倒せるモンスターじゃないと思うぞ?

「おい、到着だ。」
「俺達が送ってやるのは、此処まで。扉は自分達で開けろよ。」
「へいへい。おっしゃ、行くぜお前ら!」
「うぃーっす!」
「うっす!」

……よし。

「扉開けた所の念写も、バッチリ撮れたな。」
「……うわ、また・・写ってるよ…デザートグレイブ名物『地面からマミーの手』。」
「『窓から覗くシャドウスピリット』も居るぞ。早く戻ろうぜ。巻き込まれんのはゴメンだ。」

───────
 
※リグルさん視点

あっしの生まれた場所は、現在バケモン屋敷と化してる、元領主邸のコカトリス小屋っす。
両親は勿論コカトリスで、『うちの血筋から蛇の王が産まれた!!』と喜んでくれたんすけど…
養鶏してる人間から見たら、突然見知らぬモンスターが、小屋の中に侵入してたも同然。
仔蛇ってことで、石投げられて追い出されたっす。

まあ、その後も両親逢いたさに、小屋の周辺でウロチョロしてたんすよ。
見付かる度に石投げられるわ、箒で追い立てられるわ…散々だったっす。
……それで……人間に対してブチ切れた両親が、伯父のスカルバイパー焚き付けたら、領主邸が一晩で無人になり、1週間でバケモン屋敷に……子供心に、申し訳なくなったっす。
当時の領主一家も、あっしを追い払ってたコカトリスの世話役も、今は仲良くグレートスケルトンっすよ。

そんなこんなで、あっしもスカルバイパーも、両親含むコカトリス達も屋敷に上がって、グレートスケルトンや集まってきたアンデッド達と一緒に暮らし始めたっす。
それが今から、50年くらい前。

『蛇王様。起きて起きて?』
『パーティーなの。起きて起きて?』

そして今日も、命知らずか罪人か、はたまたその両方か。

『ふわぁ…誰か来たっすか……?』
『ウフフ、元気なお客様♪』
『フフフ、楽しいお客様♪』
『『皆でお出迎えしましょ?』』

皆の『餌』兼『新入り』が、屋敷の扉を開ける。

『どんなもんっすかねぇ。』
『1人大変そう。』
『グールじゃダメ。』
『エビルラットもダメ。』
『グレートスケルトンは……勝てるけど、怪我しちゃう。』

おやまぁ。
そこそこの、光属性の使い手が居るんすね。
マッドアイの双子の鑑定は、本当に助かるっす。

『おやっさんなら、蹂躙できそうっすねぇ。』
『蛇王様は?』
『戦わないの?』
『あっしは襲われない限り、あんまり人襲いたくないんす。』
『『優しい。』』

……優しくは、無いっすよ?

───────

※餌視点

「ぎぃいいいいやぁああああああっ?!」
「来るな来るな来るな来るなぁああああっ!!」
「アレは無理っすぅーっ!!」

何なんだこの屋敷はぁああああ?!
グールはまだ良い!
エビルラットに、ヘルハウンドも予想の範疇!
コカトリスはちょいビビったが、たぶん人工飼育だ!足が遅かったからな!
ガーゴイル、シャドウスピリット、マミーもまだ解る!
だが!グレートスケルトンと、スカルバイパーまで居るとは思わねぇだろ?!
しかも、スカルバイパーがしつこいしつこい…!
かれこれ、10分は追われてんぞ?!

「入った奴が、誰も戻って来ねぇ訳だよ!」
「どうするっ?!」
「モンスターの情報だけでも、持ち帰って報告しやせんかぁ?!」
「だな!出口探すぞ!」

とりあえず、一階へ…!
階段は何処だ?!

「兄貴、此処さっき通ってないすか?!」
「はぁ?!廊下1本道だぞ?!」
「あの血の着いた、ビックホーンの頭蓋骨!!血液の付着場所まで、同じに成らんでしょ!」
「見間違えじゃねぇのか?!」

だ、だが確かにおかしい…!
とっくに屋敷の幅よりゃ、長く走ってんぞ……?!

『ガチッガチッ…ギャシャーーーーッ!!』
「はっ?!スカルバイパーが向こうから…?!」
「どうなってやがる…?!」
「と、とととととにかく逃げやしょう!」
『カラカラ…』
『カラカラカラッ』

う、嘘だろ?!
後ろにグレートスケルトン?!

「っ!あ、兄貴…アルマの野郎は?!」
「知るかよ!あの馬鹿、捕まったんじゃねぇのか?!」

『シュルルル……』

っ?!な、なんだ…?!スカルバイパーとは違う、蛇の威嚇音が…!

ゴトンッ!!

上から突然、大きな石像が落ちてきた…!
何なんだよ?!

「ひいっ?!な、なん、だ……?!」
「……あ、兄貴、この…石像……アルマっす…!!」
「なっ?!」

『人を石にする』

そう聞いて、最初に思い付くのはコカトリスだ。
だが、さっき聞こえた威嚇音が、幻聴ではないなら……!
俺の最悪の予想を裏付けるかのように、スカルバイパーとグレートスケルトンが、俺達から3メートル離れた辺りで止まる。
モンスターは、『味方の格上モンスター』の邪魔・・はしない。

「っ……!!お、お前が…屋敷の、主……!」

廊下のど真ん中を飾るシャンデリアに、ゆったり絡み付く大蛇。
詰まらなさそうに、欠伸をする姿さえ、堂々たるものだ。
特徴的な、角のような頭の突起が示すその正体は……

討伐ランクS…『姿を見たら死を受け入れろ』とまで言われる蛇の王、バジリスク…!!

「か、カルロス、お前、お前だけでも、に、ににに逃げろ!!この屋敷はヤベェ!Sランク冒険者じゃねぇと無理だ!!」
「んんんんな事言われてもっ!ど、どどどうやって逃げるんすか?!」
『…シュル……』
「良いから走れ!!グレートスケルトンの方なら、まだ抜けれる!走れぇええええええっ!!」

シュッと近付いてきた、バジリスクの頭。
ああ…俺は……死んだな……

───────

※リグルさん視点

……あーれま、何もしてないのに気絶したっす。

『よう、甥っ子!一番の大物、調度気絶したことだし、食うかい?』
『いや…あっしは、はぐれて襲ってきたこのアホの…半分くらいで充分っす。』
『最後の1匹も捕まえたぞ!皆、今日はご馳走だ!』
『わぁーい!パパすごーい!』

この世は弱肉強食…辛いところっす。
ま、捕まえたからには、美味しくいただくっすよ。

『最後のは、グレートスケルトン一家で分配として…デカいのはラットとマミーで分けりゃ、丁度良さそうっすね。』
『おーい、シャドウスピリット達~。魂は手出さないから、上手く分けろよ~。』

捕まえた餌は、屋敷の全員で山分けっす。
こんな感じで、時々やってくる冒険者やら何やらを仕留めて、楽しく暮らしてたっすよ。

屋敷が潰れちまうのは、この年の冬っすね。
流石に、屋敷の外から潰されちまったら…どうにもならないっす。
あっしは冬眠必要っすから、余計に。

───────

あ、因みにメンバー皆存命…いや、存命はしてないっすけど、無事っす。
シャドウスピリットとグレートスケルトンは、近くの墓場に移ったっす。
エビルラットとヘルハウンドと、伯父と両親とガーゴイルは、少しだけ人里離れた、砂漠の遺跡で元気にやってるっす。
グールとマミーは皆で砂漠に埋まって、夜に活動してるっす。
んで、マッドアイの双子は、なんと人間の街で警備員してるっす。

『フフフ、変な人居たの。』
『ウフフ、悪い人居たの。』
『…いや、それあっしに言われても…』
『『お店の商品、盗んだの。』』
『よっしゃ、絞めるっす。』

何故かあっしになついて、着いて来ちまったもんで…旦那の店の、隠れ警備員っす。
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