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ビビりとモフモフ、冒険開始

たぶんブランド牛ってこういうの

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姉ちゃん達が、必要であろう物を、テキパキ用意してくれてる。
流石手慣れてるね。比較するのも失礼かもだけど、昨日の料理教室とは大違いだよ…。
さーて、ミノ肉で何作ろうかなぁ~♪
味見用を一口大に切って、火属性で軽く炙る。

「あむ…‥!脂が、滅茶苦茶甘いっ!!高級肉の味だぁ~!」

じいちゃんがたまに連れてってくれた、良い焼き肉屋さんのコースで、こんな感じの肉あった気がする!

「ミノタウロスのお肉は、王宮のパーティーとかで、メイン料理に成るんだよ♪」
「仮に買うとなると、1キロで2万G以上にはなります。」
「それを、元手タダで食べられるなんて、ツイてるわ~♪」

キロ2万…100グラム2千円の肉とか、前世じゃ扱ったこと無いよ。
コレ、10キロくらいあるけど…はは、お値段怖い。
冒険者さん、何人居たのー?

「全部で、10人だったわよ。アタシとガルヴァリスさんに、闇属性夫婦も含めて。」
「てことは…えーと、10人と両親で12人。長男長女次男次女三女五男で18人。俺詩音小梅若葉時雨で…」
「30人前作れば足りるでしょ。余ったら、おかわりさせれば良いんじゃない?」
「それもそっか。」

1人あたり、300グラムちょいか。
女性陣には多いかも?
あと、陽向には別メニュー考えないとな。

「折角良い肉だから、ステーキ…?いやでも、冒険者さんは皆疲れてるし、お腹空いてるよね。こう…ガッと食えて、かつ成人男性が満足できるボリュームと、腹持ちを実現する料理……丼にすっか!」
「…ドン?」
「良いわね!牛丼!」
「ドンって、ツバキちゃんが、たまに食べたくなるって言っていた…ドンですか?」
「コメが炊けないから、どうしようもないっ!って、嘆いてたやつ?」
「うん、たぶん合ってる。でもって、ただの牛丼じゃなくて、ローストビーフ丼なんてどうよ?」
「未來くん、ローストビーフ作れるの?!」
「オーブンでなら、作ったことあるよ!」

クリスマスの時に、妹にせがまれてな!
陽向には、野菜のかき揚げ丼でどうかな。
あと、味噌汁にゴマドレ温野菜サラダでも、作ろうかね。

「まず、米は……念のため2升炊いとくか。土鍋足りるかな……足りそうだね。よしよし、吸水させといて…そんじゃ、肉の下準備するかな。姉ちゃん達も手伝って。小梅はオーブンの用意お願いね。200℃で焼きたい。量多いから、5個借りよう。」
『解ったです♪』

ローストビーフ、1度に焼いたことあるのは1キロまでなんだ。
てか、それ以上はオーブンに入らない。
なので、10キロくらいの塊肉を解体して、1キロずつにしよう。

「此よりは地獄、私たちは、炎・雨・力…殺戮をここに…………ダメだ、ツッコミ居ないとノらない。」
「あ、やらないの?曲芸切り。」
「それ、ゲームか何かの台詞?」
「ほら、頼みの綱の椿さんさえ、知らないんじゃん!」

やっぱ、詩音が居ないと止めて欲しい系ボケの時に、止める人が居ないっ!
包丁逆手に持ってる時点で、誰かツッコミしてくれないか期待したけど、ダメだったよ!
さて、普通に切り分けよう。
聖●解体マ●ア・ザ・リッパーは無理がある。

「オーブンに入る大きさにしたら、フォークでプスプスッと、全体に軽く穴開けて。塩と粗挽き黒胡椒、タイム・オレガノ・ローズマリーなんかのハーブを刷り込む。分厚い所はたっぷりめに。薄い所は少し少なく。」
「目分量でいいの?」
「お店で出すわけじゃないからねw流石に、店で出すならレシピ構築して、味安定させるよ。」

皆が一緒にやってくれるから、手早くていいね。

「よし。味馴染ませるためにも、余熱できるまで置いておこう。その間に味噌汁でも…」
「未來くん、お味噌汁なら、私もできるわよ。」
「私とツバキちゃんで、やっておきます。」
「いいの?じゃあ…レウィスさん。温野菜サラダお願いしていい?ドレッシングは、小梅が作ってくれたのあるから。」
「猫ちゃん、多才ね…解ったわ。」
「ティナ姉ちゃん、メレンゲクッキーの生地って言われたら、用意できる?」
「できるよ~♪卵黄は何か考えてる?」
「半熟にして、丼に乗せる。」
「了解~潰さないで取っておくね。」

んでもって……肉。
後は油塗って焼いて冷まして、切るだけなんだよな。
……詩音には絶対に任せないけど、小梅になら任せられる気がする。

「小梅、肉に溶かしたバター塗って。オーブンの余熱ができたら、肉1つずつ入れてってほしい。んで、10分経ったらひっくり返して、更に10分焼く。焼き上がったら取り出して…えーと、アルミホイルって解る?」
『コレです?しおちゃんに貰った、『できそうなら作っておく物リスト』にあったです。』
「既に作成済みとか神か。焼けたやつは、それで包んで冷ましといてくれ。」
『解ったです♪』

流石詩音、俺がいずれ欲しがるであろう物を、事前に小梅へ伝えておくとは!
肉は小梅に丸投げ。
味噌汁は日本人の椿さんと、料理上手なルゥナ姉ちゃん。
サラダはレウィスさん。
クッキーの生地までを、Sラン菓子職人のティナ姉ちゃんに作ってもらえる。

よし、陽向用のかき揚げ作るか。
ばあちゃん曰く、野菜のかき揚げは、食感の違う材料を組み合わせるのが良いらしい。
玉ねぎとニンジンに、マタンゴプラントとフワリの葉で作ろうかな。
…陽向だけと言わず、一応皆の分用意しよう。

具の大きさも重要だ。
4~5センチの長さで、ちょっと太めの薄切りが良い。
歯応えとか、野菜同士の絡みやすさが変わるんだよね。

「んー…ちょっと太めって、包丁にスピード出ないし、逆に難しいなぁ。」
「そう?私、むしろ千切り滅茶苦茶下手なんだけど…。」
「そこは、慣れだよ。」
「慣れかぁ~…キャベツ千切りにすると、ガルくんに『百切りにもなってねぇよ』って、爆笑されるんだよねぇ~……。」
「作って貰っといて、笑ったり文句言う奴は、シバいたれ。」
「……ガルくんの千切り、プロかっ!ってくらい細いのよ…盛り付けるとフワッとするレベル。」
「……確かに兄ちゃん、超上手そう。」 

あの剣速を思うと…キャベツ1玉、10秒くらいで切れそうだね。

さて、切った野菜はボウルに入れて混ぜ混ぜ。
そこに、小麦粉を大さじ1杯くらい入れてよくまぶす。
そして衣。
ふるった小麦粉に、冷た~い水を合わせる。
あんまり練ったりしないで、サックリと混ぜるのがコツだ。

「サランの油、こんなに使うの贅沢かな。」
「それ、何するの?」
「コイツを煮る。」
「へぇ…流石大商会の経営者家族は、やることが違うわね。」

俺が特殊なだけだよー。

油は180℃。
衣を少し落としたら、軽く沈んでから浮いてくるくらいの温度だ。
揚げる直前に野菜と衣を合わせる。
一気に沢山揚げると、温度が下がりやすくなるから、少量ずつおたまで掬って、鍋の淵を滑らせるように躊躇せず入れる。

揚げ時間の目安は、30秒放置→ひっくり返して1分~1分半。
途中で1~2箇所穴を空けて、火の通りを良くする。

「……陽向は、天つゆ派かなぁ…?俺は天ぷらもかき揚げも、塩が好きだけど…。」
「両方用意してあげれば、確実だと想いますよ。」
「そうするかな。」

つゆ作るなら、昆布か鰹出汁が欲しい所だけど……鮭の出汁で良いかな?
あー、鮭節の作り方誰か教えて。
…まあいい。フレークで出汁取ろう。
出汁100ミリリットルに、醤油と味醂を小さじ5ずつ。
コレで、なかなか美味しい天つゆになる。

よし…米も炊き始めよう。
残りは米とデザートだ。
もうひと頑張り、やりますかぁ!
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