ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

それでは、行ってきます!

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朝御飯を食べ終えて、少し早いけど領主邸の前に馬車を移動させた。
アルファルファは、客室に泊まっている。
ウサ化してることは、ミンナニハナイショだからね。
直接迎えに行くよ。

門を通る時、会釈してくれた門番さんは、どさくさ紛れに、詩音の頭にくっついてる陽向を撫でていた。
お仕事中に、そんな緩んだ顔して良いんだろうか。

「皆様、お待ちしておりました。」
「おはよーございまーす!」
「おはようございます。」
「爺、彼女に1度挨拶しておく。」
「畏まりました。此方でございます。」

執事さんの案内で、アルファルファが泊まっている部屋へ。
元気なのを確認したら、ラルフの部屋で時間を潰す予定だ。

「お嬢様~、新鮮で美味しいですよ?食べてくださーい。」
『いやよ、そんなものっ!』

狼イヤーにより、生存を確認。
叫べるなら元気ってことだよね。
朝御飯は、食べた方がいいよ?

執事さんがドアをノックして、声をかける。

「おはようございます。ラルフ様と、ご友人の皆様をご案内致しました。」
「は、はい!」

少し緊張気味なケイトさんの声がして、そっとドアが開いた。

「おはよう。セーラ嬢の御様子は?」
「お、おはようございます、皆様。お嬢様は…お元気ではいらっしゃるのですが、朝食をなかなか召し上がってくださらなくて…」
「え、大丈夫なんですか?」
「あらまあ。」
「何か気に入らないんだろうね。」
「私はここで待つ。」
「では、私も。ご挨拶は、後程致しますね。」

おとーさんとおかーさんは、廊下で待ってるらしい。
とりあえず、お邪魔しまーす。

「ウサちゃん、元気ー?」
『あっ、ミライくん!ねぇ、何かマトモな食べ物持ってない?!』
「おはよー。マトモな食べ物って…朝食何出されたのさ。」
『ふざけてんのよ、この駄メイド!!私の朝食がニンジンとレタスとリンゴって、酷くない?!』
『?!』
『え、それって酷いの?』
『別に酷くないと思うよ~?』
『仔ウサギには、充分な量なのです。』
「ニンジンとレタスとリンゴ……あ、コレか。」
「新鮮で、美味しそうな野菜じゃない。」
「…ニンジンとリンゴ、丸ごとですね……」
「ウサギの餌としては妥当…寧ろ豪華じゃね?」
『私は人間よぉーーーーっ!!』

確かに……俺が狼だからって生肉渡されたら、自分で焼いて行動による抗議するか。
でも、モフモフ達からすると、『何言ってんだコイツ』って感じらしい。
特に陽向が、信じられないモノ見たような顔をしてる。

『うさぎのおねーちゃん。』
『何よ?』
『にんじん、おいしーよ?』
『は?』
『レタスも、おいしーよ?』
『…そりゃ貴方羊だし…』
『リンゴも、おいしーよ?』
『……』
『たべないの?』
『…………なんか、この子の目線が心に痛いわ……』
「家で1番純粋なのが、陽向だからな。」

爛れた性活送ってきたらしい悪女に、陽向の視線は猛毒だろうね。

さて、と。
両手を天使の水薬で軽く拭いて…お料理セットを出そう。

『?!え、ちょ、ミライくん…?な、なななんで包丁とまな板を…?!』
「いや、食材は豪華だけど、ウサギの口に丸ごとはデカイっしょ?」
『あ、成る程……ビックリした…』
「切るのか。」
「序でに、ちょっと味付けする。小梅、レタス千切ってー。」
『お任せなのです♪』

ニンジンは細切り、リンゴは一口サイズに。
レタスは、小梅にトングで千切ってもらう。
全部ボウルに入れて混ぜ、オリーブオイルに塩を入れて、上からかければ…超簡単リンゴサラダのできあがり。

「はい。」
『……はい、って……』
「リンゴサラダ、旨いよ。あ、ボウル後で返してね。」
『…………』
「んじゃ、元気なのは確認できたし、俺ら時間までラルフの部屋で待機してっから!」
『時間になったら、お迎えに来るです。』

『マトモな食べ物』だろ?後は知らん。

「え、あ、お邪魔しました!」
『おねーちゃんまたねー!』
「…物足りないかもしれないが、食べた方がいい。馬車旅は、思うより疲れるぞ。」
『後でも良いけど、兄ちゃんに、ありがとう言いなよー?』
『またお昼にね~。』
「あんまり、侍女さん困らせちゃダメよ?」
『……わ、解ったわよ…食べるわよ。味付けゼロよりマシだし……。』

よしよし。モシャモシャ食べ始めた。

「もう良いのか?」
「うん。」
「無事は確認できたので。」
「ミライ様、ありがとうございます!」
「ん、お世話頑張ってね。おとーさん、待ってる間にドラ●エやる?」
「そうだな、少し進めよう。」
『おにーちゃん、りんごさらだー♪』
「食べたい?お昼に作ろっか。」

お昼には、少しお肉も出してあげようかな。
食べれるのか知らんけど。

───────

ラルフの部屋にて。
おとーさんが、ゲームでオバケの親玉とバトルしてるのを眺めつつ、スマホの起動に挑戦なう。
3●Sできたんだし、イケると思うんだけど…

「お♪起動できた!」
「良かったではないか。」
「やりましたね、未來くん!」

充電器刺す所に集中して魔力流したら、動いたよ。
とりあえずは…カメラアプリ起動して…

「小梅~。」
『何です?』

カシャッ

「待ち受けいただき♪」
『にゃ…?!小梅、変な顔してないです?』
「バッチリ可愛いよ~♪」

ディスプレイに設定して、と♪
他のアプリどーなってっかな……

お、やってたソシャゲ全部入ってる!!
あとは、LI●Eとブラウザも一応あるな。
ネットどっかで繋がんのかね?

「おとーさん、今日行く村って教会ある?」
「あるぞ。」
「教会は、世界中殆ど全ての集落に、ありますよ。」

なら、シェープ様に聞いてみよ♪

「詩音、LI●Eできるようになったら、今まで撮ったモフモフ画像くれ。 」
「勿論です♪動画も要りますよね。」
「めっちゃ要る。」

んー、やっぱネット環境ないと、ゲームログインできないな。
仕方ない、今はモフモフ達を撮りまくるとするか。

───────
──────
─────

スマホ弄ったり、おとーさんにアドバイスしたり、まったりとした待機時間を終えて。
とうとう出発の時刻になった。
お世話になった皆が、続々とお見送りに出て来てくれる。

「ま、気楽に世界見て回って来い。面白いモンが、数えきれねぇくらいあるぞ。」
「うん、ありがとパパ!」
「いつでも帰って来ていいからね!ディアドルフさん、ロゥミアさん、娘をよろしくお願いします。」
「うむ。」
「しっかり、お守りしますね。」
「大丈夫よ、ママ。お土産持って、ちょくちょく帰って来るからね♪」

レオンさんとナタリアさんだけじゃなく、冒険者の人もちらほら来てる。
所々から「俺達の癒しが…!」とか「1回撫でたかった」という野郎共の声が聞こえる。
女性の声は「レナちゃん、元気でね!」「絶対戻って来るのよ~!」「ラルフ様、レナちゃん泣かせたら許しませんからね!!」等々。
レナさんは、同性から愛されるタイプらしい。

「お兄様、どうかお気を付けて…。」
『きをちゅけて!』
「心配するなアンジュ、エデン。元々15になったら、俺だけで旅に出る予定だった…それに比べれば遥かに安全だ。」
「修行のついでで良いから、各地の民衆の暮らしぶりを、できるだけ詳しく纏めて来てくれないかな。表情や栄養状態等も、しっかり見てほしい。あ、お土産はその土地の名産品がいいな。頼めるかい?」
「…それは、次期領主としての勉強のため、ですね。兄上。」
「それもあるけど、こういうお願いをしておけば、定期的に家へ帰って来ざるを得ないだろう?あまり帰らないと、母上やアンジュが寂しい思いをしてしまう。」
「さ、寂しくなんてありませんわっ!エデンも居ますもの!」
『あーちゃ、きのう、さみしって いっちゃよ?』
「解りました。母上とアンジュと、兄上が寂しいようなので、依頼をお受けします。」
「そこ、ハッキリ言わないでくれるかな。」

仲の良い兄弟も、暫くお別れだ。
行く先々で、お土産用意しないとね。

「シオンくん、この薬をどうぞ。レナさんにも2瓶お渡ししました。」
「ありがとうございます。コレは…目薬ですか?」
「昨日の目玉から、もう作ったの?!」
「工程は、それほど大変ではありません。巨人の目玉が、なかなか手に入らないので、珍しい薬になっていますが。」
「へぇ……」
「祖国へお立ち寄りの際は、是非お声がけください。ご案内させていただきます。」
「うん、ありがと!」

魔族の国、どんな場所かな?
とりあえず、姫様に超逢いたいw

「道中も、しっかり食べるんだよ。色々と、ありがとうね。」
「ファルさん、こちらこそお世話になりました。」
『総長さん、ファルさんにレシピあげるのです。』
「そうだった、あぶねぇ!ファルさん、コレ感謝の記し!」
「おや…コレ、レシピじゃないか!良いのかい?」
「勿論!」

危ない危ない。
昨日の夜に印刷しておいたレシピを、ファルさんに渡す。
もう公開済みのレシピだけど、手元にあるのと無いのとでは、違うだろう。

「お2人共、ラルフをお願い致します。」
「お任せください、イシュタリア様。」
「念のため、通行許可書を書いておいた。グリンス国内であれば、どの関所でも通れる。国境を越える時は、外務大臣の許可書を忘れず申請するように。…貴殿には必要無いかもしれないが。」
「領境の関所か…あったなそんな物も。」
「ありがとうございます、ルーファス様。」
「皆さん、道中お気を付けて。」

通行許可書とか要るんだね!
ありがとう領主様!

「出発の準備が整いました。」
「そろそろ、行けるか?」
「うん!」
「大丈夫です。」
「なら、乗り込もう。」
「ワカバくん、シグレちゃん、お願いね♪」
『任せて!』
『頑張って引くよ~♪』
『がんばれ!がんばれ!』

皆、馬車に入っていく。
先にアルファルファの家の馬車が、ゆっくりと門へ向かう。
俺も席に着こうかね。

「小梅、おいで!」
『はいです♪』
「よっ…!いいぞ若葉、時雨!」
『はいよー!』
『しゅっぱーつ♪』
「え、ちょっと未來くんっ?!屋根の上は危ないですって!!」

大丈夫大丈夫w
どっちかってーと、お前が窓から顔出してる方が、危ねぇわw

いざ、ダンディル村にレッツゴー!!
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