クズには生きづらい世の中だ

まこと

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今日はデート

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この小説はクズがクズなりにがんばる物語である。
俺の名前は水本まこと、クズだ。
どこにでもいる高校三年生。
山梨の県庁所在地である甲府に住み、甲府から見て西の方にある韮崎の工業高校に通っている。
田舎の工業高校に通う俺の、あまり一般的ではない日常の物語。

携帯のアラームで目を覚ました。
今日は日曜日で、学校はない。
部活はハンドボール部に所属しているが、日曜日は基本的にオフなのだ。
よって、部活もない。
今の時間は六時四十五分。
ニワトリの鳴き声のアラームを寝ぼけまなこで止め、夢の続きを見るべく目を閉じた。
と、まるでタイミングを見計らったように携帯が振動した。
俺は年中マナーモードにしているため、音は出ない。
薄目を開けて画面を見てみると、彼女からメッセージが来ていた。
今日のデート楽しみでこんなに早く起きちゃった!らしい。
「あー、今日デートだったー…忘れてたわ…」
正直言うと、既に彼女のことは好きではなかった。
ハンドボール部のマネージャーで、2つ年下の後輩であるその子は付き合い始めてまだ2、3週間ほどか。
最初からあまり好きではなかったが、さらに好きではなくなってしまった。
ちなみに告白したのは俺から。
なんとなく、売り言葉に買い言葉で好きだよと言ってしまい、付き合うことになった。
「う~…、めんどくさいな~」
仕方なく重だるい体を起こし布団から出た。
リビングに向かう。
と、言っても俺の部屋から引き戸を隔てた向こう側がリビングなので、5歩もあれば事足りる。
もっと言えば、この引き戸は年中開けっ放しなので繋がっているようなものだ。
リビングには父がいた。
朝からモクモクとタバコをふかしている。
大嫌いなタバコの臭いに包まれながら俺はリビングと繋がるキッチンへ。
父が声をかけてきたが、俺はあぁとか、うんとか言って流した。
リビングにあった菓子パンをひとつ掴み俺の部屋に戻る。
まともな朝食なんか何年も食べていない。
朝食を作ってくれる母はこの家にはいないから。
両親が離婚し、父に引き取られてから朝食はずっとコンビニの菓子パン。
ないよりはましだか毎日だと流石に飽きる。
だが文句を言うのもめんどくさいので、少しだけ高級感のある包装紙を破きパンを胃に押し込む。
リビングからタバコの煙が漂ってきて、朝から最悪な気分だ。

さっきチラッと話に出たが、俺の家は父子家庭だ。
俺が保育園のとき両親が離婚し、小学校一年生までは母と暮らしていたのだが、とある理由で父に引き取られた。
母は夜ご飯を食べ終えると家を出ていく。
そして夜中にベロベロに酔っ払って帰ってくる。
後々父に聞かされた話によると、水商売のようなことをやっていたようだ。
その当時はまだ幼かったので理解出来なかったが、たまに家に来ていた知らないおじさんはそういう事だったのか、と今更ながらわかった。
あれやこれやがあって俺の性格が形成されていると思うと、俺も被害者なんじゃないかと思えてくる。
その後、母は苗字が変わり再婚相手との間に子供ができた。
子供が産まれたのが、俺が14歳のときらしいのだが、弟ができたと知ったのは17歳になってからだった。
どうして早く教えてくれなかったのか、問いただしたかったが、それをしたところで何もならないとわかり、やめた。

ジーンズにパーカーを合わせて、通学にも使っているスニーカーに足を入れる。
髪型は寝癖を直す程度。
背が高いので適当でもそれっぽく見える。
顔もブスではないので、頑張らなくてもそこそこに見られるから楽だ。
行ってきますの代わりにため息を残し、俺は家を出た。
空はそこそこに晴れていた。
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