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しおりを挟む現正妃が着ているドレスは、私がオーナーを務める店のワンクール前のドレスです。
オーダーメイドではないのですが、うちのお店は全て一点物ですのでツルシでも他の方とデザインがかぶる事はありません。
そして、自画自賛になりますが、彼女が今まで着てきたドレスの中で一番上品だと思います。多分、一番安いでしょうけど。
「……アンタの店の?」
あら、声が震えていらっしゃいます。
「はい。私への御祝儀で着て来てくださったのではないのですか?」
素直な気持ちを告げただけなのに、凄い目で睨まれました。
「俺の国の金で店なんて出していたのか!」
王太子が叫びます。その声は、披露パーティー会場中に響きました。
あちこちのテーブルから、ヒソヒソと非難の声が聞こえてきます。私にではなく、王太子に対してです。
「王太子様、おっしゃってる意味がわかりませんが……私、16歳から今のブランドを持っております。王国とは何の関係もございません」
キッパリと言い切る。
本日来ている招待客の方々も、ほぼ全員の方がこの事実を知っています。女性の方などは、顧客の方がほとんどです。
だからこその、王太子への非難なのです。
「私に興味がない事は知っておりましたが、ここまで何も知らないとは思っておりませんでした」
呆れた声が出てしまっても、これはしょうがない状況ですよね?
だって、仮にも夫婦だったのですから、他の方が知っている情報を元夫が知らないなど通常ありえません。
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