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第三章 【王国史】
3-154 ナンブルとナイール8
しおりを挟むナイールとナンブルは一緒になったことを切っ掛けにより一層。村のために尽くしていった。
今までは、生物、気候、精霊、魔法、体制、武術などについて研究や実績を重ねてきた。
それ以降は、ある特定の技能者にその研究結果を村の住民へと広げていった。
ただ、その中には信用できないものが習得してしまうと村の秩序を乱してしまう恐れがあるという理由から、研究結果のフィードバックはゾンデルと三代目村長であるサイロンに確認してからでなければ伝えてはいけないということになっていた。
それでも、村人にとっては教育体制が整ってきたことにより、生活環境が大いに変化した。
気候や地理を把握することで、自然災害による損害が激減した。
武術や魔法を体系化して訓練することで、術者や術自体のレベルアップが図られていった。
そこからレベル分けを行うことで、チームで行う任務や狩の危険度が安定して支持や成果を出すことができた。
精霊は人間のように契約まではできなかったが、地域の情報や気候環境において手助けしてくれるよい協力者となってくれた。
ナンブルはゾンデルと協力し、部隊を構成したり防衛や村内の争いごとを収めたりと、選抜されたエルフたちを訓練し技能の向上における訓練や知識を与えることに従事していた。
一方ナイールは、お腹も大きくなり動くことも億劫になるくらいの体型になっていた。
そのため、今までのような研究や業務はできなくなり一線から外されていた。
ナンブルは大丈夫ではないかと伝えたのだが、祖父になるサイロンが”万が一のことがあってはならん!?”と、ナイールにおとなしくするように命じたのだった。
そのためナイール、は小さな子供に知識を与える仕事をしていた。
全て一人では難しいため、ナルメルに頼んでサポートをしてもらいながら行っていた。
実はこの時も、一悶着起きていた。
サイロンが、教える対象の子供は村長が決めた家の子供だけにするといったのだ。
それを聞いたナイールは顔を真っ赤にして、父親のところへ向かって抗議した。
”どんな子でも知る権利はある、子供に差別をするとは何事かなの!!”
……と。
サイロンの言い分は、やはり村の秩序を守るためというものだった。
変な子が知識を付け、将来的に村の存続に関わるような計画や行動を起こさないためにも対象者は選択しなければならないといった。
だが、ナイールも引き下がらなかった。
どんな家の子供でも、優秀なものが生まれてくる可能性は十分にある。
それは、村の将来のためにもなるのだと、サイロンに対して強く主張しお互い折れることはなかった。
結局この問題は疲れて帰宅したナンブルが仲裁し、村長が指定しない家の子は授業を聞きたいと言った子供だけ対象にし、”教材は渡さない”、”個別の質問は許さない”など制約をつけて自主学習という聴講スタイルで勉強をするならよいのではと提案をした。
不利な立場と選択者の差別化も図られているということで、サイロンはナンブルの案を了承した。
ナイールはナンブルのその提案も不満だったが、二人だけがわかるナンブルの企み顔を見てその場は収めた。
だが、ナイールはそんな約束を守ることはなかった。
ナイールの授業はとても人気があった。
子供に付いてきた親も真剣になって聞くほど、わかりやすく覚えやすい言葉と方法で教えてくれていた。
ナイールは、やる気を出させることにも長けていた。
個人やグループを作り競わせ、飽きさせないようにも工夫していた。
理解した者は、していない者に教え、逆にわからない時はどんな相手でも気軽に聞けるような雰囲気を作る。
そして、できないものを決して見下したりはしない……
この経験がその後の村で協力して何かを行なっていく際に、とても良い成果を生んでいることが後日の調査でわかった。
そして、ある日……
「先生!先生のお腹からいつ出てくるんですか!」
「うーん……もうそろそろだけど、少しなはずなんだけどね」
「ほんと、見てるだけで辛そうなんだけど……ナイール、本当に大丈夫なの?」
椅子から立ち上がろうとしたナイールを、背中から支えて気遣うナルメル。
「よいっ……しょっと。うーん、そうねぇ。身体を見てくれる婆様たちは、そろそろって事しかわからないみたいだし」
そのため、今はナルメルがナイールに殆ど付き添って面倒を見ている。
何かあった時にも、即座に対応できるためでもあった。
その日から更に日付が経過し、そろそろ母子ともに危険な状態だという。
過去にはどうにもならずに、そのまま見送ってしまうことも何度かあった。
このエルフの村では外科的な医学は存在しない、自分やお腹の中の子が頑張ってくれるしか方法はない。
そのため周りができることとすれば、魔法と祈りとお呪いだけが頼りだった。
万が一、それらが通じないとなれば”運がなかった”の一言でで片付けられてしまうだろう。
このような状態になる数日前まで、ナイールは子供たちに教えていた。
そのことがサイロンの耳に入り、サイロンは激怒して再びナイールを部屋の中に閉じ込めてしまった。
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