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プロローグ。
汝自らを知れ。
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「な、汝自らを知れって……しろうさぎさん、急にどうしたんですか?」
「え、えぇと、それはですね……」
咄嗟に口をついて出た言葉。だけどそれは彼女の中で確かに繋がっていて、一呼吸置くと彼女はスライムさんに説明します。
「汝自らを知れ。それは自分の事をもっと知ろうみたいなことで……自分の事をもっとよく知って、ちゃんと理解した上で出来る事をやるしかないよねっていうそんな感じの言葉です。スライムさんに今必要なのはそれかなって」
「自分のことをよく、知る?」
「はい。この場合、スライムさんはやっぱりスライムさんでしかないですよねっていうお話です」
「……う、うーん。ちょっと難しくて何言ってるかわからないよ、ボク」
「えぇと、ですからですね。スライムさんは、そういう意味では自分の事をよく知っているなって。ほら、いつも冒険者さん達に最初に狙われちゃうとか、頑張っても勝てないとか、割とすぐに相手にされなくなっちゃうとかです」
「な、何それ。しろうさぎさん、ボクの事馬鹿にしてるの?」
「違います違います、その逆です。弱いって事をちゃんと自覚しているスライムさんだからこそ少し視点を変えればそこに見えて来るものがあるんじゃないのかなぁって、そう思ったんです」
「そんな……ボクが弱いことを自分で知っているからって別に何がどう変わる訳でも……って、あ……」
「な、何か思いつきましたか!?」
「う、うん。ほら、やっぱりボクって一人じゃ弱いスライムでしかないから、それなら一人じゃなければ、もしかしてって……」
「なるほど、確かに。一人でダメなら……」
「群れて行け……」
しろうさぎさんとスライムさんはお互いに見つめ合うとみるみる笑顔になり同時に歓喜の雄叫びを上げます。
「そ、それだぁーー!!」「それですーー!!」
そうして活路を得たスライムさんはその顔に再び生気を宿すと、ぴょんぴょんと跳ねながら颯爽と森の奥へと消えて行ったのでした。
「え、えぇと、それはですね……」
咄嗟に口をついて出た言葉。だけどそれは彼女の中で確かに繋がっていて、一呼吸置くと彼女はスライムさんに説明します。
「汝自らを知れ。それは自分の事をもっと知ろうみたいなことで……自分の事をもっとよく知って、ちゃんと理解した上で出来る事をやるしかないよねっていうそんな感じの言葉です。スライムさんに今必要なのはそれかなって」
「自分のことをよく、知る?」
「はい。この場合、スライムさんはやっぱりスライムさんでしかないですよねっていうお話です」
「……う、うーん。ちょっと難しくて何言ってるかわからないよ、ボク」
「えぇと、ですからですね。スライムさんは、そういう意味では自分の事をよく知っているなって。ほら、いつも冒険者さん達に最初に狙われちゃうとか、頑張っても勝てないとか、割とすぐに相手にされなくなっちゃうとかです」
「な、何それ。しろうさぎさん、ボクの事馬鹿にしてるの?」
「違います違います、その逆です。弱いって事をちゃんと自覚しているスライムさんだからこそ少し視点を変えればそこに見えて来るものがあるんじゃないのかなぁって、そう思ったんです」
「そんな……ボクが弱いことを自分で知っているからって別に何がどう変わる訳でも……って、あ……」
「な、何か思いつきましたか!?」
「う、うん。ほら、やっぱりボクって一人じゃ弱いスライムでしかないから、それなら一人じゃなければ、もしかしてって……」
「なるほど、確かに。一人でダメなら……」
「群れて行け……」
しろうさぎさんとスライムさんはお互いに見つめ合うとみるみる笑顔になり同時に歓喜の雄叫びを上げます。
「そ、それだぁーー!!」「それですーー!!」
そうして活路を得たスライムさんはその顔に再び生気を宿すと、ぴょんぴょんと跳ねながら颯爽と森の奥へと消えて行ったのでした。
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