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第一章 魔女の森。
真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である。
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それからスライムさん達に教えられた場所を目指してしろうさぎさんは一匹森の奥地へと向かいます。普段は誰も寄り付かない、けもの道すらもないその場所は生い茂る草木をかき分けた先にありました。しろうさぎさんは背の丈ほどもある草木の中を進んで行くとやがて開けた場所へと辿り着きます。
「……っぷぁ。やっと、着いた……ここだ……」
森の奥地、岩壁に空いた小さな洞窟。
こんな場所があったのかと辺りを見回していると聞こえて来たのは話し声。
しろうさぎさんはその声のする方へと目を向けます。
すると小さな洞窟から二つの影が並んで出て来ました。
「リ、リリパットちゃん!! それに、スライムさん!!」
「えっ!?」
「あっ!?」
思わず大声で二匹の名前を叫んだしろうさぎさん。そんなしろうさぎさんに気づくとリリパットちゃんとスライムさんは途端に焦り出しその場でオロオロとしてしまいます。そんな二匹の元へと歩み寄りしろうさぎさんは聞きました。
「リリパットちゃん、スライムさん、こんなところで一体何を……?」
その質問に二匹の緊張は最高潮に達します。
「そ、そそそ、それは、えっと、その、だから、ね、スライムくん!!」
──ちょん……ぷるん、ぷるん。
明らかに普段通りではない二匹を見てしろうさぎさんは考えます。そしてその結果、導き出したのは余計な探りはせず単刀直入に自身の考えを伝え二匹から言葉を引き出すでした。
「あの、つい先程ですね。最近何やらピクシーさんがこの森で怪しい行動を取っているという報告が私の元にありまして。それでこの場所を教えて貰って見に来てみたんですが……そしたらそこには小さな洞窟があって、そこからリリパットちゃんとスライムさんが出て来て、それで私びっくりしちゃって……で……何があるんですか? この洞窟の中には一体何が……?」
「……え、えっと、だから、それは……」
「……ボ、ボボ、ボク達、な、何も、わかりません!!」
「たった今、この洞窟から出て来たのに……ですか?」
「……た、たまたまです!! たまたまさっきそこでスライムくんとここで会って、そ、それで、ちょっと暑いねぇってお話になって、そしたらちょうど涼しそうな洞窟があそこに見えて……それで、ほんの入り口だけです。ちょっとだけ中に入って、涼しくなったからすぐに出て来ちゃいました!!」
「う、うん!! そうそう、そうです。だから中には何もないし、ここに居てもつまんないですから、しろうさぎさんもボク達と一緒に帰りましょう!!」
「ふーん……本当に?」
「ほ、本当、です……」
「……です」
「……ほんとの、本当に?」
「……ほんとの、本当……です……」
──ちょん……ぷるんぷるん。
そうして洞窟の入り口で押し問答を続けていた三匹ですが、そこへ洞窟の中からもう一匹モンスターが横に何かを引き連れて出て来たのでした。
「──っとに、なにそこでごちゃごちゃ言ってんのよアンタ達。声、洞窟の中に響くのよ。折角お昼寝したっていうのに、アンタ達がうるさくてこの子起きちゃったじゃないの」
「……ピクシー、さん?」
「え!? あ、う、うさぎ!? な、なんであんたがここに居るのよ!? って、あっ!?」
しろうさぎさんの姿を見て驚くも慌てて我に返りその身を呈して何かを隠そうとするピクシーさん。ですがその小さな体ではそれを隠す事は出来ません。
「……ピ、ピクシーさん……そ、その横に立って居るのって……まさか……嘘……本当に……」
「……はぁ。今更隠してももう遅い……か。うさぎ、あんたがここに来たっていうことは、つまりそういうことよね……大体の事はもう把握してるんでしょ? ……ええ、そうよ。あんたが思っている通り、ここに居るのは人間の、子供よ……」
真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である。
例えばそんな言葉が本のどこかにあったように。
しろうさぎさんはそれならこれから先、誰が何を目の前で言おうとそれは揺らぐ事のない真実。
二つの種族間でのかかわりは決して持ってはいけないという教えがこの世界にあるように。
今、この森の主として。
彼女は曇りなきその目を持ってそれを判断する他に術はなかったのでした。
「……っぷぁ。やっと、着いた……ここだ……」
森の奥地、岩壁に空いた小さな洞窟。
こんな場所があったのかと辺りを見回していると聞こえて来たのは話し声。
しろうさぎさんはその声のする方へと目を向けます。
すると小さな洞窟から二つの影が並んで出て来ました。
「リ、リリパットちゃん!! それに、スライムさん!!」
「えっ!?」
「あっ!?」
思わず大声で二匹の名前を叫んだしろうさぎさん。そんなしろうさぎさんに気づくとリリパットちゃんとスライムさんは途端に焦り出しその場でオロオロとしてしまいます。そんな二匹の元へと歩み寄りしろうさぎさんは聞きました。
「リリパットちゃん、スライムさん、こんなところで一体何を……?」
その質問に二匹の緊張は最高潮に達します。
「そ、そそそ、それは、えっと、その、だから、ね、スライムくん!!」
──ちょん……ぷるん、ぷるん。
明らかに普段通りではない二匹を見てしろうさぎさんは考えます。そしてその結果、導き出したのは余計な探りはせず単刀直入に自身の考えを伝え二匹から言葉を引き出すでした。
「あの、つい先程ですね。最近何やらピクシーさんがこの森で怪しい行動を取っているという報告が私の元にありまして。それでこの場所を教えて貰って見に来てみたんですが……そしたらそこには小さな洞窟があって、そこからリリパットちゃんとスライムさんが出て来て、それで私びっくりしちゃって……で……何があるんですか? この洞窟の中には一体何が……?」
「……え、えっと、だから、それは……」
「……ボ、ボボ、ボク達、な、何も、わかりません!!」
「たった今、この洞窟から出て来たのに……ですか?」
「……た、たまたまです!! たまたまさっきそこでスライムくんとここで会って、そ、それで、ちょっと暑いねぇってお話になって、そしたらちょうど涼しそうな洞窟があそこに見えて……それで、ほんの入り口だけです。ちょっとだけ中に入って、涼しくなったからすぐに出て来ちゃいました!!」
「う、うん!! そうそう、そうです。だから中には何もないし、ここに居てもつまんないですから、しろうさぎさんもボク達と一緒に帰りましょう!!」
「ふーん……本当に?」
「ほ、本当、です……」
「……です」
「……ほんとの、本当に?」
「……ほんとの、本当……です……」
──ちょん……ぷるんぷるん。
そうして洞窟の入り口で押し問答を続けていた三匹ですが、そこへ洞窟の中からもう一匹モンスターが横に何かを引き連れて出て来たのでした。
「──っとに、なにそこでごちゃごちゃ言ってんのよアンタ達。声、洞窟の中に響くのよ。折角お昼寝したっていうのに、アンタ達がうるさくてこの子起きちゃったじゃないの」
「……ピクシー、さん?」
「え!? あ、う、うさぎ!? な、なんであんたがここに居るのよ!? って、あっ!?」
しろうさぎさんの姿を見て驚くも慌てて我に返りその身を呈して何かを隠そうとするピクシーさん。ですがその小さな体ではそれを隠す事は出来ません。
「……ピ、ピクシーさん……そ、その横に立って居るのって……まさか……嘘……本当に……」
「……はぁ。今更隠してももう遅い……か。うさぎ、あんたがここに来たっていうことは、つまりそういうことよね……大体の事はもう把握してるんでしょ? ……ええ、そうよ。あんたが思っている通り、ここに居るのは人間の、子供よ……」
真実には特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である。
例えばそんな言葉が本のどこかにあったように。
しろうさぎさんはそれならこれから先、誰が何を目の前で言おうとそれは揺らぐ事のない真実。
二つの種族間でのかかわりは決して持ってはいけないという教えがこの世界にあるように。
今、この森の主として。
彼女は曇りなきその目を持ってそれを判断する他に術はなかったのでした。
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