メイド・イン・メイド~機械仕掛けの恋人~

ゴサク

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「博士の想い」です!

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 それから高月博士が話したことは衝撃的な内容だった。というか、俺達一般人に話すような内容ではなかった。

「ここから先の話は出来れば内密にして欲しいのだが、君達に任せるよ。実のところ今回のウイルスに対して完璧に防御することは技術的には可能だったのだよ。しかし敢えて攻撃性に対して抑制するだけに留めた。つまり、わざと攻撃性を残したということだ。アンドロイドの攻撃性に関わる箇所の人格プログラムの改竄は私にも不可能だからね。ウイルスを逆に利用して攻撃性のリミッターを外した訳だ、何故だか解るかね?」

 高月博士の表情に決意が宿る。いつもの飄々とした高月博士とは別人みたいだ。

「私はね、止めたいのだよ。また繰り返されようとしている悲劇を、私の手で、何としてでもね」

 俺達はさっまでの様子と全く違う高月博士のただならぬ迫力に、ただただ息を飲むばかりだった。

「おかしいとは思わないかね? アミィちゃんはともかく、キッカさんがあんな物騒な代物を持っていることに」

 そうだ、高月博士はウイルスが攻撃性を高めるものだと見越していたのだ。見越した上で、メイドアンドロイドに戦う手段を持たせたのだ。

「私は、私の製作したメイドアンドロイドにこの悲劇を止めて欲しいのだよ。君達には全く関係の無い話だ。私の我が儘だということは解っている。それでも、言わせて欲しい。私に協力してくれないかね」

 俺達はいきなりの高月博士からの話に混乱している。そんななか、俺はただ頭のなかに浮かんだことを高月博士に聞いてみた。

「ひとついいですか、高月博士」

「何かね? 響君」

「あなたの設計したメイドアンドロイドが、人間や暴走していないアンドロイドを傷付けるとは考えなかったのですか? アミィの行動は別だとしても、十分あり得る話だと思いますけど」

 ウイルスの攻撃性が抑えられてるとはいえ、本来は完璧に防御出来るものを敢えて残すということは、そういった事態が起こることを認識しているということに他ならない。

「誰かが止めなければいけないのだから、ある程度は仕方ないと思っている。しかしね、私の娘は正義の無い暴力を振るうことはないと信じている。もし私の娘が過ちを犯したなら相応の報いは受けるさ」

 俺の疑問点はまだある、俺は更に高月博士に質問をする。

「それと、なぜ高月博士はメイドアンドロイドに戦う手段を持たせてまで、アンドロイドの暴走を止めようと考えているのですか? どう考えても、わざわざ高月博士がそんなことをする理由が解りません」

 俺のこの質問に、高月博士は渋い顔をした。

「すまないが、それについては今は答えることはできない。これはあくまで私個人の都合であって、君達に今話したところで突拍子もない話にしか聞こえないだろうし、なにより。本当に、すまない」

 高月博士にもなにか事情があるみたいだけど、これでは協力のしようがない。俺としては、だけどな。

「今すぐには回答はしかねます。なにぶんスケールが大きい話で、まだよく噛み砕けていないので」

 俺には、今はそうとしか答えられない。

「無理無理無理! 俺、争い事嫌いだし!」

 昌也は目の前で手を振っている。これが普通の反応だろう。しかし俺にはそう言い切れない理由があった。

「解ったよ、変な話をしてすまなかったね。いいんだよ、どのみち、今はまだ表だって動けるような状況でもないから」

 高月博士は深く息を吸い込み、ふぅと勢いよく息を吐き、張り詰めた空気を緩めながら皆を見回しながら言った。

「それじゃあ、今日の所はこんなものかな? いい時間だし、そろそろお開きにしようか」

 確かに、高月博士の言う通り、何だかんだで30分は話しっぱなしだった。さっきの高月博士の迫力に当てられて俺のシャツの下には大量の汗をかいていた。

「はい、今日は昌也がお世話になりました。また何かあったら宜しくお願いします」

「今日はキッカさんを診てくれてありがとうな! 高月博士」

「それでは、お邪魔しました! 高月博士!」

「それでは」

 俺達はそれぞれ高月博士に別れの挨拶をし、応接室から出て、研究所を後にしようとした。すると、高月博士は何か思い出したように俺達を呼び止める。

「あ、ちょっと待って! そういえば渡したいものがあったんだった! 悪いが少し待っていてくれないかな?」

 そう言って、高月博士はバタバタと玄関から研究所の中へ戻っていく。俺達は高月博士が戻ってくるまでしばらく待つ事になった。
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