18 / 18
「博士の想い」です!
しおりを挟む
それから高月博士が話したことは衝撃的な内容だった。というか、俺達一般人に話すような内容ではなかった。
「ここから先の話は出来れば内密にして欲しいのだが、君達に任せるよ。実のところ今回のウイルスに対して完璧に防御することは技術的には可能だったのだよ。しかし敢えて攻撃性に対して抑制するだけに留めた。つまり、わざと攻撃性を残したということだ。アンドロイドの攻撃性に関わる箇所の人格プログラムの改竄は私にも不可能だからね。ウイルスを逆に利用して攻撃性のリミッターを外した訳だ、何故だか解るかね?」
高月博士の表情に決意が宿る。いつもの飄々とした高月博士とは別人みたいだ。
「私はね、止めたいのだよ。また繰り返されようとしている悲劇を、私の手で、何としてでもね」
俺達はさっまでの様子と全く違う高月博士のただならぬ迫力に、ただただ息を飲むばかりだった。
「おかしいとは思わないかね? アミィちゃんはともかく、キッカさんがあんな物騒な代物を持っていることに」
そうだ、高月博士はウイルスが攻撃性を高めるものだと見越していたのだ。見越した上で、メイドアンドロイドに戦う手段を持たせたのだ。
「私は、私の製作したメイドアンドロイドにこの悲劇を止めて欲しいのだよ。君達には全く関係の無い話だ。私の我が儘だということは解っている。それでも、言わせて欲しい。私に協力してくれないかね」
俺達はいきなりの高月博士からの話に混乱している。そんななか、俺はただ頭のなかに浮かんだことを高月博士に聞いてみた。
「ひとついいですか、高月博士」
「何かね? 響君」
「あなたの設計したメイドアンドロイドが、人間や暴走していないアンドロイドを傷付けるとは考えなかったのですか? アミィの行動は別だとしても、十分あり得る話だと思いますけど」
ウイルスの攻撃性が抑えられてるとはいえ、本来は完璧に防御出来るものを敢えて残すということは、そういった事態が起こることを認識しているということに他ならない。
「誰かが止めなければいけないのだから、ある程度は仕方ないと思っている。しかしね、私の娘は正義の無い暴力を振るうことはないと信じている。もし私の娘が過ちを犯したなら相応の報いは受けるさ」
俺の疑問点はまだある、俺は更に高月博士に質問をする。
「それと、なぜ高月博士はメイドアンドロイドに戦う手段を持たせてまで、アンドロイドの暴走を止めようと考えているのですか? どう考えても、わざわざ高月博士がそんなことをする理由が解りません」
俺のこの質問に、高月博士は渋い顔をした。
「すまないが、それについては今は答えることはできない。これはあくまで私個人の都合であって、君達に今話したところで突拍子もない話にしか聞こえないだろうし、なにより証拠がない。本当に、すまない」
高月博士にもなにか事情があるみたいだけど、これでは協力のしようがない。俺としては、今はまだだけどな。
「今すぐには回答はしかねます。なにぶんスケールが大きい話で、まだよく噛み砕けていないので」
俺には、今はそうとしか答えられない。
「無理無理無理! 俺、争い事嫌いだし!」
昌也は目の前で手を振っている。これが普通の反応だろう。しかし俺にはそう言い切れない理由があった。
「解ったよ、変な話をしてすまなかったね。いいんだよ、どのみち、今はまだ表だって動けるような状況でもないから」
高月博士は深く息を吸い込み、ふぅと勢いよく息を吐き、張り詰めた空気を緩めながら皆を見回しながら言った。
「それじゃあ、今日の所はこんなものかな? いい時間だし、そろそろお開きにしようか」
確かに、高月博士の言う通り、何だかんだで30分は話しっぱなしだった。さっきの高月博士の迫力に当てられて俺のシャツの下には大量の汗をかいていた。
「はい、今日は昌也がお世話になりました。また何かあったら宜しくお願いします」
「今日はキッカさんを診てくれてありがとうな! 高月博士」
「それでは、お邪魔しました! 高月博士!」
「それでは」
俺達はそれぞれ高月博士に別れの挨拶をし、応接室から出て、研究所を後にしようとした。すると、高月博士は何か思い出したように俺達を呼び止める。
「あ、ちょっと待って! そういえば渡したいものがあったんだった! 悪いが少し待っていてくれないかな?」
そう言って、高月博士はバタバタと玄関から研究所の中へ戻っていく。俺達は高月博士が戻ってくるまでしばらく待つ事になった。
「ここから先の話は出来れば内密にして欲しいのだが、君達に任せるよ。実のところ今回のウイルスに対して完璧に防御することは技術的には可能だったのだよ。しかし敢えて攻撃性に対して抑制するだけに留めた。つまり、わざと攻撃性を残したということだ。アンドロイドの攻撃性に関わる箇所の人格プログラムの改竄は私にも不可能だからね。ウイルスを逆に利用して攻撃性のリミッターを外した訳だ、何故だか解るかね?」
高月博士の表情に決意が宿る。いつもの飄々とした高月博士とは別人みたいだ。
「私はね、止めたいのだよ。また繰り返されようとしている悲劇を、私の手で、何としてでもね」
俺達はさっまでの様子と全く違う高月博士のただならぬ迫力に、ただただ息を飲むばかりだった。
「おかしいとは思わないかね? アミィちゃんはともかく、キッカさんがあんな物騒な代物を持っていることに」
そうだ、高月博士はウイルスが攻撃性を高めるものだと見越していたのだ。見越した上で、メイドアンドロイドに戦う手段を持たせたのだ。
「私は、私の製作したメイドアンドロイドにこの悲劇を止めて欲しいのだよ。君達には全く関係の無い話だ。私の我が儘だということは解っている。それでも、言わせて欲しい。私に協力してくれないかね」
俺達はいきなりの高月博士からの話に混乱している。そんななか、俺はただ頭のなかに浮かんだことを高月博士に聞いてみた。
「ひとついいですか、高月博士」
「何かね? 響君」
「あなたの設計したメイドアンドロイドが、人間や暴走していないアンドロイドを傷付けるとは考えなかったのですか? アミィの行動は別だとしても、十分あり得る話だと思いますけど」
ウイルスの攻撃性が抑えられてるとはいえ、本来は完璧に防御出来るものを敢えて残すということは、そういった事態が起こることを認識しているということに他ならない。
「誰かが止めなければいけないのだから、ある程度は仕方ないと思っている。しかしね、私の娘は正義の無い暴力を振るうことはないと信じている。もし私の娘が過ちを犯したなら相応の報いは受けるさ」
俺の疑問点はまだある、俺は更に高月博士に質問をする。
「それと、なぜ高月博士はメイドアンドロイドに戦う手段を持たせてまで、アンドロイドの暴走を止めようと考えているのですか? どう考えても、わざわざ高月博士がそんなことをする理由が解りません」
俺のこの質問に、高月博士は渋い顔をした。
「すまないが、それについては今は答えることはできない。これはあくまで私個人の都合であって、君達に今話したところで突拍子もない話にしか聞こえないだろうし、なにより証拠がない。本当に、すまない」
高月博士にもなにか事情があるみたいだけど、これでは協力のしようがない。俺としては、今はまだだけどな。
「今すぐには回答はしかねます。なにぶんスケールが大きい話で、まだよく噛み砕けていないので」
俺には、今はそうとしか答えられない。
「無理無理無理! 俺、争い事嫌いだし!」
昌也は目の前で手を振っている。これが普通の反応だろう。しかし俺にはそう言い切れない理由があった。
「解ったよ、変な話をしてすまなかったね。いいんだよ、どのみち、今はまだ表だって動けるような状況でもないから」
高月博士は深く息を吸い込み、ふぅと勢いよく息を吐き、張り詰めた空気を緩めながら皆を見回しながら言った。
「それじゃあ、今日の所はこんなものかな? いい時間だし、そろそろお開きにしようか」
確かに、高月博士の言う通り、何だかんだで30分は話しっぱなしだった。さっきの高月博士の迫力に当てられて俺のシャツの下には大量の汗をかいていた。
「はい、今日は昌也がお世話になりました。また何かあったら宜しくお願いします」
「今日はキッカさんを診てくれてありがとうな! 高月博士」
「それでは、お邪魔しました! 高月博士!」
「それでは」
俺達はそれぞれ高月博士に別れの挨拶をし、応接室から出て、研究所を後にしようとした。すると、高月博士は何か思い出したように俺達を呼び止める。
「あ、ちょっと待って! そういえば渡したいものがあったんだった! 悪いが少し待っていてくれないかな?」
そう言って、高月博士はバタバタと玄関から研究所の中へ戻っていく。俺達は高月博士が戻ってくるまでしばらく待つ事になった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
メイドが世界を救った話
Masa&G
ファンタジー
世界を救った英雄ブラン=ハーメル。
今では王都で、すっかりぐーたらな生活を送っている。
そんな彼の世話役になったのは、
19歳のメイド、モニカ=ハブレット。
かつて英雄に憧れた少女と、
かつて英雄だった男――
文句を言いながら洗濯をして、
ため息をつきながらも、今日も世話は続いていく。
――やがて再び、ドラゴンの影が現れる。
これは、メイドと元英雄の少し不器用で、少しあたたかい物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる