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7話 顔
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7話 顔
駿side
【ゆうくん】って呼ばれてた、彼の事を考えていた。
車窓から流れる景色を見つめながら、無性にアイツが気になった。
【ゆうくん】
ボロボロ公園のただ広がった芝生の上で、キャッチボールを子供と遊んでただけなのに。それがすごく楽しそうで、鬼ごっこをしてるだけなのに、そこには最高の時間が流れているかのように彼は笑っていた。
その笑顔が忘れられない。
そして、彼は俺に何の躊躇もなく触れ、至近距離で笑いかけた。
そんな奴今までいなかった。
みんな俺を腫れ物でも触るかのように、壊れてしまいそうなガラスでも扱うかのように、俺の顔色を窺い、俺の言いなりになる。
それなのに…彼は…ゆうくんは、違った。
俺にまるで友達のように話しかけてきて、昔からの友達かのように接して、俺の命令なんて聞き入れずに、自分の思った事を言った。
どれくらいぶりだろう…?
俺に意見を言うヤツは。
ムカつくはずなのに、なぜかクスクスと笑いが込み上げてきた。
俺に忖度しない奴!
ゆうくんの周りにいた子供たちを罵倒したのに、まるで自分が罵倒されたかのように激怒した彼。
『でゅふふっ。…へんなやつ。でゅふふっ。』
ニヤつく自分の顔が車窓に映し出されていた。
『駿様。ご機嫌ですね。その笑いもお久しぶりです。でも…もう、あの人たちに関わるのを止めて下さい。』
『は?なんで?やだよ!!せっかく見つけたのに!』
…俺に意見するヤツ…ここにいた!!
いつもまるで俺の親みたいに口うるさい!!
『いいからちゃんと調べておけよ!頼んでるんじゃねーよ!命令なんだよ!!め・い・れ・い!!』
強い口調で言うと
『…わかりました…。』
渋々返事をした拓人は、それから何も話さなくなった。
運転中の拓人をミラー越しに見ると、今にも泣きだしそうなくらい悲し気な顔をしていた。
なんだよっ!!
また、その顔かよっ!
何だっていうんだっ!!
……俺、拓人のその顔嫌いなんだよ!
苦しそうな顔すんなよっ!
なんでもわかったような顔して、俺の事心配してるみたいな顔すんなってっ!!
『おい!その顔やめろって!』
『…この顔は…やめられません。生まれつきなので。それとも、顔を変えた方がいいですか?』
『そういう事言ってんじゃねーよ!!』
そんな、悲しそうな顔すんなって言ってんだよっ!
俺の執事なら、それくらいわかるだろ!
俺と何年一緒に居るんだよ!
それに…俺、別に…拓人の顔好きだし。
小さい頃から見てるから気が付かなかったけど、世の中ではかなり好きな顔だ。中等部に一緒に通うようになってから気が付いた。
拓人の瞳は真っ黒で、大きくてまん丸で少し目尻が下がっていて、誰が見ても守ってあげたくなるようなつぶらな瞳。もちもちのほっぺはまだ幼さを残していて、可愛らしい。そこら辺の女よりよっぽど美しい。拓人は美少年という言葉が良く似合っていた。それに華奢な体にぴったりとした鷹司グループの執事が着るまるでタキシードみたいなスーツを着ている。
それが、また、拓人の可愛らしさを引き立てている。
中等部は金持ちが集まる学校だったが、不細工ばかりで、そこそこの顔のヤツが数名いたけど、執事の拓人の方が可愛い!
いや、美しい!
俺がイケメンなのは周知の事実だけど、俺の隣にいても引けを取らない…拓人もなかなかのイケメンだって事を俺は中等部で学んだ!
高等部に上がると、俺と五分五分の人気があると、どこかの馬鹿な女が言ったのを聞いた。
そんな訳ねーだろ!
俺の方がイケてるに決まってんだよ!
まぁ可愛い顔してるのは、認めてやる!が、俺と五分五分の人気は認めることはできない!
断然俺の方が人気だろっ!
《優しくてなんでもできる美しい拓人様》なんて、言われていたっけ…
『…そのままの顔でいい』
『わかりました』
機嫌が直ったのか、ミラー越しに見た拓人は、いつもの顔に戻っていた。
ふぅと息を吐いて、また、ゆうくんの顔を想い浮かべた。
彼もまたイケメンと呼ばれる人種だと思った。
長い睫毛に、きらりと光る瞳は眩しいくらいに光を放っていた。
大きな口は、笑顔の真ん中で印象的だった。
サラサラの髪は薄く透ける様な茶色で、黙っていれば拓人とはまた別の美少年だっただろう
年齢はわからないが、俺より少し年上というところだろう。
意志の強い綺麗な大きな瞳をしていた彼を思い出す。
彼もまた、俺の好きな顔をしていた。
俺はきっと、美しい顔が好きなのだろう。
駿side
【ゆうくん】って呼ばれてた、彼の事を考えていた。
車窓から流れる景色を見つめながら、無性にアイツが気になった。
【ゆうくん】
ボロボロ公園のただ広がった芝生の上で、キャッチボールを子供と遊んでただけなのに。それがすごく楽しそうで、鬼ごっこをしてるだけなのに、そこには最高の時間が流れているかのように彼は笑っていた。
その笑顔が忘れられない。
そして、彼は俺に何の躊躇もなく触れ、至近距離で笑いかけた。
そんな奴今までいなかった。
みんな俺を腫れ物でも触るかのように、壊れてしまいそうなガラスでも扱うかのように、俺の顔色を窺い、俺の言いなりになる。
それなのに…彼は…ゆうくんは、違った。
俺にまるで友達のように話しかけてきて、昔からの友達かのように接して、俺の命令なんて聞き入れずに、自分の思った事を言った。
どれくらいぶりだろう…?
俺に意見を言うヤツは。
ムカつくはずなのに、なぜかクスクスと笑いが込み上げてきた。
俺に忖度しない奴!
ゆうくんの周りにいた子供たちを罵倒したのに、まるで自分が罵倒されたかのように激怒した彼。
『でゅふふっ。…へんなやつ。でゅふふっ。』
ニヤつく自分の顔が車窓に映し出されていた。
『駿様。ご機嫌ですね。その笑いもお久しぶりです。でも…もう、あの人たちに関わるのを止めて下さい。』
『は?なんで?やだよ!!せっかく見つけたのに!』
…俺に意見するヤツ…ここにいた!!
いつもまるで俺の親みたいに口うるさい!!
『いいからちゃんと調べておけよ!頼んでるんじゃねーよ!命令なんだよ!!め・い・れ・い!!』
強い口調で言うと
『…わかりました…。』
渋々返事をした拓人は、それから何も話さなくなった。
運転中の拓人をミラー越しに見ると、今にも泣きだしそうなくらい悲し気な顔をしていた。
なんだよっ!!
また、その顔かよっ!
何だっていうんだっ!!
……俺、拓人のその顔嫌いなんだよ!
苦しそうな顔すんなよっ!
なんでもわかったような顔して、俺の事心配してるみたいな顔すんなってっ!!
『おい!その顔やめろって!』
『…この顔は…やめられません。生まれつきなので。それとも、顔を変えた方がいいですか?』
『そういう事言ってんじゃねーよ!!』
そんな、悲しそうな顔すんなって言ってんだよっ!
俺の執事なら、それくらいわかるだろ!
俺と何年一緒に居るんだよ!
それに…俺、別に…拓人の顔好きだし。
小さい頃から見てるから気が付かなかったけど、世の中ではかなり好きな顔だ。中等部に一緒に通うようになってから気が付いた。
拓人の瞳は真っ黒で、大きくてまん丸で少し目尻が下がっていて、誰が見ても守ってあげたくなるようなつぶらな瞳。もちもちのほっぺはまだ幼さを残していて、可愛らしい。そこら辺の女よりよっぽど美しい。拓人は美少年という言葉が良く似合っていた。それに華奢な体にぴったりとした鷹司グループの執事が着るまるでタキシードみたいなスーツを着ている。
それが、また、拓人の可愛らしさを引き立てている。
中等部は金持ちが集まる学校だったが、不細工ばかりで、そこそこの顔のヤツが数名いたけど、執事の拓人の方が可愛い!
いや、美しい!
俺がイケメンなのは周知の事実だけど、俺の隣にいても引けを取らない…拓人もなかなかのイケメンだって事を俺は中等部で学んだ!
高等部に上がると、俺と五分五分の人気があると、どこかの馬鹿な女が言ったのを聞いた。
そんな訳ねーだろ!
俺の方がイケてるに決まってんだよ!
まぁ可愛い顔してるのは、認めてやる!が、俺と五分五分の人気は認めることはできない!
断然俺の方が人気だろっ!
《優しくてなんでもできる美しい拓人様》なんて、言われていたっけ…
『…そのままの顔でいい』
『わかりました』
機嫌が直ったのか、ミラー越しに見た拓人は、いつもの顔に戻っていた。
ふぅと息を吐いて、また、ゆうくんの顔を想い浮かべた。
彼もまたイケメンと呼ばれる人種だと思った。
長い睫毛に、きらりと光る瞳は眩しいくらいに光を放っていた。
大きな口は、笑顔の真ん中で印象的だった。
サラサラの髪は薄く透ける様な茶色で、黙っていれば拓人とはまた別の美少年だっただろう
年齢はわからないが、俺より少し年上というところだろう。
意志の強い綺麗な大きな瞳をしていた彼を思い出す。
彼もまた、俺の好きな顔をしていた。
俺はきっと、美しい顔が好きなのだろう。
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