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20話 ホテルと男と
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20話 ホテルと男と…
鷹司駿side
戸惑う拓人と一緒に焼肉屋へ行った。
もちろん個室だ。
『拓人、今は…たくとでいい!』
『はい?』
意味が分からないとでも言うように、ぽかんとしている。
『執事の拓人じゃなくて…拓人のままでいいって事!』
『…でも…』
戸惑う拓人。
『命令っ!!仕事じゃなくて、友達として食事をしろ!』
『…わかりました』
一緒にお肉を焼いて、一緒に食べた。
結局話なんてほとんどしなくて、
別に羽柴佑一郎が居なくても十分楽しかった。
まぁ、羽柴佑一郎がいればもっと楽しいかもしれないけど。
最近の俺は、少し変わった気がする。
自分でも、その変化を感じている。
食事を終えて、いつも女を抱くためだけに利用するホテルに向かった。
ホテルはいつも最上階のスイートルーム。
もちろん鷹司グループが経営しているホテルなので、使い放題だ!
豪華な内装も豪華なルームサービスも女たちのテンションを上げるのに十分で、そんな光景に飽きてる俺は、もはや何も感じない。
女たちが褒めたたえるのは、豪華なホテルだし豪華な食事、俺の家柄に俺の金。
世の中そんなものだ。
俺を見ているんじゃない、俺のうしろにあるものを見ている。
ホテルに着くと、支配人が
『駿様、いつもありがとうございます。お父様によろしくお伝えください。』
と、俺にゴマをする。
『あぁ。いいホテルだって言っておく』
『ありがとうございます』
いつもの様に拓人が部屋まで付き添ってくれる。
ふたりでエレベーターに乗って、部屋の前に着くと
『お相手はお部屋でお待ちです。もし、気に入らなければ、途中で交代もできるそうです。お申し付け下さい』
『わかった…拓人…』
『はい?』
俺の指示を待つ拓人。
もう、友達じゃなくて、執事に戻っている。
『別に…何でもない…』
『いってらっしゃいませ』
拓人は頭を下げたまま、下がっていった。
拓人は、いつも俺が終わるまでどこかで時間をつぶしている。
電話をすると5分以内に迎えに来るので、下のロビーにいるのかもしれない。
部屋に入ると、中には可愛い顔の男がいた。
中性的で大きな瞳と柔らかな印象を与える眉、薄い唇ではあるが、形が整っている。
儚げな美人と言ってもいいだろう。男にしておくのはもったいない。
さすが拓人だ。
嫌いじゃない顔だ。
『りひとです。よろしくお願いします。』
優しく微笑む顔は穏やかで、とてもカラダを 売って生計を立てているようには思えない。
『お代は頂いております。では…』
俺を見るなり始めようとする。
そんなにガッツいている訳ではない。
『風呂に入って来る!仕事終わってそのまま来たし、焼肉食べて来たから。さっぱりしたい!』
『はい。ベッドでお待ちしています』
よく躾けられている、上質なプロだと思った。
口調も上品で、拓人のチョイスはほんとに素晴らしい。
これなら、いい練習になりそうだ!
…そう思ったのに…。
お風呂を終えて、いざ…
ベッドに横たわる、儚げな美人の男を前にすると…
全然、ヤる気になれない。
可愛い顔だが、カラダは男だ。
どこにムラっとする要素があるのか聞きたいくらいだ。
華奢なカラダだが、女とは違う。
これに欲情するほど、俺は飢えていない。
男は男だ!
『キスしましょうか?』
少し困った顔した、男娼が俺に言った。
『したくない』
元々、キスは好きじゃない。
『では、ご奉仕しましょうか』
男に咥えられて気持ちよくなるとは思えない。
『……しなくていい』
あれこれと提案されるが、何ともヤル気になれない。
『それでは、困ります。自分は何がいけないんでしょうか?』
これで生計を立てている身としては、死活問題だろう。
綺麗な顔で、人気もあるらしい彼だが、やはり、俺には無理そうだ。
『君のせいじゃない。やっぱり、男は無理だってだけだ。』
『そんな…交代って事ですか?』
『いや…君がどうのって事じゃなくて…男が無理だって話だ。男を抱けるか試してみたかっただけだから…すまない。』
『頑張りますから…交代はしないでもらえませんか』
『頑張らなくていい。何もしなくていい。』
なぜそんなに必死なのかを聞いたら、彼はお金に困っていて、家族をこの仕事で養っているそうだ。
『こんな事をしなければ、生活できないなんて…悲惨な世の中なんだな。お代はそのまま払おう。それに、好きなものを注文して食べていくといい。そして、朝までここに居ればいい。俺は、帰る』
やっぱり、男を抱く気にはなれなかった。
これでは、羽柴を抱くことも不可能なのかもしれない。
気に入っているだけで、実際に抱けるかと聞かれればそれは、わからない。
試してみたかったが、それさえも不可能だった。
少し気分が落ち込んで、やるせない気持ちでいっぱいだった。
拓人に電話をかけると、すぐにやって来た。
手持ちの金10万を<男娼>に握らせて、部屋を出た。
拓人はいつもと同じように、エレベーターのボタンを押して、俺に背を向けた。
『男…抱けなかった…』
拓人の背中に話しかける。
『…そうですか。申し訳ありません。自分のミスです。誰か他の方を…』
『…もう、いい。なんだか、疲れた。帰る』
拓人のチョイスは間違っていなかった。たぶん、自分で選んでいてもきっと彼を選んでいたと思う。
でも、無理だった。
体が反応しない。
やっぱり、男じゃ無理なのだろう。
そういう気分にさえならない。
これが普通で当たり前だ。
羽柴を気に入っていたけど、実際にセックスできるかと聞かれたら…どうだろう?
『わかりました』
拓人は静かに言った。
俺は男とセックスできないのだろうか。
鷹司駿side
戸惑う拓人と一緒に焼肉屋へ行った。
もちろん個室だ。
『拓人、今は…たくとでいい!』
『はい?』
意味が分からないとでも言うように、ぽかんとしている。
『執事の拓人じゃなくて…拓人のままでいいって事!』
『…でも…』
戸惑う拓人。
『命令っ!!仕事じゃなくて、友達として食事をしろ!』
『…わかりました』
一緒にお肉を焼いて、一緒に食べた。
結局話なんてほとんどしなくて、
別に羽柴佑一郎が居なくても十分楽しかった。
まぁ、羽柴佑一郎がいればもっと楽しいかもしれないけど。
最近の俺は、少し変わった気がする。
自分でも、その変化を感じている。
食事を終えて、いつも女を抱くためだけに利用するホテルに向かった。
ホテルはいつも最上階のスイートルーム。
もちろん鷹司グループが経営しているホテルなので、使い放題だ!
豪華な内装も豪華なルームサービスも女たちのテンションを上げるのに十分で、そんな光景に飽きてる俺は、もはや何も感じない。
女たちが褒めたたえるのは、豪華なホテルだし豪華な食事、俺の家柄に俺の金。
世の中そんなものだ。
俺を見ているんじゃない、俺のうしろにあるものを見ている。
ホテルに着くと、支配人が
『駿様、いつもありがとうございます。お父様によろしくお伝えください。』
と、俺にゴマをする。
『あぁ。いいホテルだって言っておく』
『ありがとうございます』
いつもの様に拓人が部屋まで付き添ってくれる。
ふたりでエレベーターに乗って、部屋の前に着くと
『お相手はお部屋でお待ちです。もし、気に入らなければ、途中で交代もできるそうです。お申し付け下さい』
『わかった…拓人…』
『はい?』
俺の指示を待つ拓人。
もう、友達じゃなくて、執事に戻っている。
『別に…何でもない…』
『いってらっしゃいませ』
拓人は頭を下げたまま、下がっていった。
拓人は、いつも俺が終わるまでどこかで時間をつぶしている。
電話をすると5分以内に迎えに来るので、下のロビーにいるのかもしれない。
部屋に入ると、中には可愛い顔の男がいた。
中性的で大きな瞳と柔らかな印象を与える眉、薄い唇ではあるが、形が整っている。
儚げな美人と言ってもいいだろう。男にしておくのはもったいない。
さすが拓人だ。
嫌いじゃない顔だ。
『りひとです。よろしくお願いします。』
優しく微笑む顔は穏やかで、とてもカラダを 売って生計を立てているようには思えない。
『お代は頂いております。では…』
俺を見るなり始めようとする。
そんなにガッツいている訳ではない。
『風呂に入って来る!仕事終わってそのまま来たし、焼肉食べて来たから。さっぱりしたい!』
『はい。ベッドでお待ちしています』
よく躾けられている、上質なプロだと思った。
口調も上品で、拓人のチョイスはほんとに素晴らしい。
これなら、いい練習になりそうだ!
…そう思ったのに…。
お風呂を終えて、いざ…
ベッドに横たわる、儚げな美人の男を前にすると…
全然、ヤる気になれない。
可愛い顔だが、カラダは男だ。
どこにムラっとする要素があるのか聞きたいくらいだ。
華奢なカラダだが、女とは違う。
これに欲情するほど、俺は飢えていない。
男は男だ!
『キスしましょうか?』
少し困った顔した、男娼が俺に言った。
『したくない』
元々、キスは好きじゃない。
『では、ご奉仕しましょうか』
男に咥えられて気持ちよくなるとは思えない。
『……しなくていい』
あれこれと提案されるが、何ともヤル気になれない。
『それでは、困ります。自分は何がいけないんでしょうか?』
これで生計を立てている身としては、死活問題だろう。
綺麗な顔で、人気もあるらしい彼だが、やはり、俺には無理そうだ。
『君のせいじゃない。やっぱり、男は無理だってだけだ。』
『そんな…交代って事ですか?』
『いや…君がどうのって事じゃなくて…男が無理だって話だ。男を抱けるか試してみたかっただけだから…すまない。』
『頑張りますから…交代はしないでもらえませんか』
『頑張らなくていい。何もしなくていい。』
なぜそんなに必死なのかを聞いたら、彼はお金に困っていて、家族をこの仕事で養っているそうだ。
『こんな事をしなければ、生活できないなんて…悲惨な世の中なんだな。お代はそのまま払おう。それに、好きなものを注文して食べていくといい。そして、朝までここに居ればいい。俺は、帰る』
やっぱり、男を抱く気にはなれなかった。
これでは、羽柴を抱くことも不可能なのかもしれない。
気に入っているだけで、実際に抱けるかと聞かれればそれは、わからない。
試してみたかったが、それさえも不可能だった。
少し気分が落ち込んで、やるせない気持ちでいっぱいだった。
拓人に電話をかけると、すぐにやって来た。
手持ちの金10万を<男娼>に握らせて、部屋を出た。
拓人はいつもと同じように、エレベーターのボタンを押して、俺に背を向けた。
『男…抱けなかった…』
拓人の背中に話しかける。
『…そうですか。申し訳ありません。自分のミスです。誰か他の方を…』
『…もう、いい。なんだか、疲れた。帰る』
拓人のチョイスは間違っていなかった。たぶん、自分で選んでいてもきっと彼を選んでいたと思う。
でも、無理だった。
体が反応しない。
やっぱり、男じゃ無理なのだろう。
そういう気分にさえならない。
これが普通で当たり前だ。
羽柴を気に入っていたけど、実際にセックスできるかと聞かれたら…どうだろう?
『わかりました』
拓人は静かに言った。
俺は男とセックスできないのだろうか。
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