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最低な人を好きになりました。
1話 好きを彷徨う だいきside
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最低な人を好きになりました
1話 好きを彷徨う
だいきside
『やっぱりね…』
わかっていた事だった。
きっと、初めからわかっていたんだ。
君の隣は、俺じゃないって…。
でも、【好き】が止められなかった。
初めて大和に会った日、眩しいくらいの笑顔で俺に声をかけてくれた。
不安でいっぱいだった俺の心は一瞬で、その笑顔に癒されたんだ…。
同期で部署も一緒で帰る時間も帰る方向も一緒だから、いつの間にか仲良くなって…一緒に帰ることが多くなった。
それがすごく楽しくて、一緒に過ごす時間が宝物みたいに感じてた。密かに帰りの電車が遅延しないか、途中で止まってしまえばいいのとさえ思ったこともある。
それくらい一緒に居ることが楽しかった。
一緒にいたかったんだ…。
そんな大和を【好き】と認識するのに、時間がかかるはずもなく…
そんな【好き】を自覚し始めた頃、すぐに大和の異変に気が付いた。
先輩の蓮くんと一緒に居る時、すごく嬉しそうで、他の誰にも見せたことのないような笑顔で大和は笑っていた。
俺が最高の笑顔だと思っていた、俺に向けられた笑顔なんか比じゃないくらいの眩しい笑顔が、蓮くんに向けられていた
…あぁ、大和は蓮くんが好きなんだ…。
そもそも、鈍い方じゃない俺は、すぐに気が付いてしまった。
そんなの気付きたく無かったのに。
でも、ふたりが付き合っていないなら、自分にもチャンスはあるんじゃないかなんて、甘い考えの自分が、後々自分を苦しめるなんて、この時の俺は考えるはずもなく…
大和への【好き】は、日に日に強くなっていった。
それでも、一緒にいられるならこの気持ちはそのまましまっておこうと思っていたのに…
【好き】を自覚してから、一年が経った頃
大和と蓮くんの距離が急に近づいたような気がした。
以前にも増して、ふたりは距離が近くなったというか…ふざけたスキンシップが多くなったというか…
ふたりを取り巻く雰囲気が…甘いというか…以前と違っていた。
あぁ…あのふたり付き合ったんだ。
ショックもショックだったけど、やっぱりそう事かと、どこか認めざるを得ない気持ちになった…
そろそろ、大和をあきらめなくちゃいけない…
あのふたりは、距離感すごく近いのに、たぶんふたりは両想いなのに…それに気が付いていないようで、付き合っているのとはまた違った空気感に違和感を感じた
近くで見ているのが、もどかしくじれったい!
なんなんだよっ!
くっつくなら、はやく、くっつけって!!
どうせ、俺なんて振られて終わりなんだから!
それなのに、付き合っているようで付き合っていないあのふたりは微妙な距離感を保ってて
その間にも、俺はどんどん大和を好きになってしまう…
『だいき、今日の帰りごはん食べて帰ろう♡』
って、誘われたらもしかして?俺にもチャンスがあるのかも?なんて、勘違いしそうになる。
『だいきの手、ちっちゃくて可愛いい♡』って、俺の手が大和の大きな手に握られた時は、胸が高鳴り、もしかしたら?俺のこと可愛いって思ってくれているのかも?好きになってくれるのかも?なんて思ってしまった。
そんな事、あるはずないのに…。
生殺し状態の俺…。
大和に優しくされて、勘違いして、浮かれては…あのふたりが微笑み合う特別な雰囲気に敗北感を味わう…
いっそ、『俺たち付き合ってます』って言ってくれたら、どれだけ救われるか…
いつまで経っても、微妙な距離のままのふたり。
なおも、俺と一緒に帰ったりご飯食べたり、お酒呑んだり…休みの日一緒に出掛けたりするんだから、タチが悪い…
それを無意識でやってる大和は罪なヤツだ!
でも、一緒に居るだけで、それだけで、十分幸せだと思う自分と、もっと一緒に居たいって思う欲張りな自分がいて…
心が行ったり来たりと、どこへも行けずに、ずっと彷徨っている
好きでいてもいいの?
諦めなくちゃダメなの?
俺?どうすればいいの?
この気持ち…どうすればいいの!!
1話 好きを彷徨う
だいきside
『やっぱりね…』
わかっていた事だった。
きっと、初めからわかっていたんだ。
君の隣は、俺じゃないって…。
でも、【好き】が止められなかった。
初めて大和に会った日、眩しいくらいの笑顔で俺に声をかけてくれた。
不安でいっぱいだった俺の心は一瞬で、その笑顔に癒されたんだ…。
同期で部署も一緒で帰る時間も帰る方向も一緒だから、いつの間にか仲良くなって…一緒に帰ることが多くなった。
それがすごく楽しくて、一緒に過ごす時間が宝物みたいに感じてた。密かに帰りの電車が遅延しないか、途中で止まってしまえばいいのとさえ思ったこともある。
それくらい一緒に居ることが楽しかった。
一緒にいたかったんだ…。
そんな大和を【好き】と認識するのに、時間がかかるはずもなく…
そんな【好き】を自覚し始めた頃、すぐに大和の異変に気が付いた。
先輩の蓮くんと一緒に居る時、すごく嬉しそうで、他の誰にも見せたことのないような笑顔で大和は笑っていた。
俺が最高の笑顔だと思っていた、俺に向けられた笑顔なんか比じゃないくらいの眩しい笑顔が、蓮くんに向けられていた
…あぁ、大和は蓮くんが好きなんだ…。
そもそも、鈍い方じゃない俺は、すぐに気が付いてしまった。
そんなの気付きたく無かったのに。
でも、ふたりが付き合っていないなら、自分にもチャンスはあるんじゃないかなんて、甘い考えの自分が、後々自分を苦しめるなんて、この時の俺は考えるはずもなく…
大和への【好き】は、日に日に強くなっていった。
それでも、一緒にいられるならこの気持ちはそのまましまっておこうと思っていたのに…
【好き】を自覚してから、一年が経った頃
大和と蓮くんの距離が急に近づいたような気がした。
以前にも増して、ふたりは距離が近くなったというか…ふざけたスキンシップが多くなったというか…
ふたりを取り巻く雰囲気が…甘いというか…以前と違っていた。
あぁ…あのふたり付き合ったんだ。
ショックもショックだったけど、やっぱりそう事かと、どこか認めざるを得ない気持ちになった…
そろそろ、大和をあきらめなくちゃいけない…
あのふたりは、距離感すごく近いのに、たぶんふたりは両想いなのに…それに気が付いていないようで、付き合っているのとはまた違った空気感に違和感を感じた
近くで見ているのが、もどかしくじれったい!
なんなんだよっ!
くっつくなら、はやく、くっつけって!!
どうせ、俺なんて振られて終わりなんだから!
それなのに、付き合っているようで付き合っていないあのふたりは微妙な距離感を保ってて
その間にも、俺はどんどん大和を好きになってしまう…
『だいき、今日の帰りごはん食べて帰ろう♡』
って、誘われたらもしかして?俺にもチャンスがあるのかも?なんて、勘違いしそうになる。
『だいきの手、ちっちゃくて可愛いい♡』って、俺の手が大和の大きな手に握られた時は、胸が高鳴り、もしかしたら?俺のこと可愛いって思ってくれているのかも?好きになってくれるのかも?なんて思ってしまった。
そんな事、あるはずないのに…。
生殺し状態の俺…。
大和に優しくされて、勘違いして、浮かれては…あのふたりが微笑み合う特別な雰囲気に敗北感を味わう…
いっそ、『俺たち付き合ってます』って言ってくれたら、どれだけ救われるか…
いつまで経っても、微妙な距離のままのふたり。
なおも、俺と一緒に帰ったりご飯食べたり、お酒呑んだり…休みの日一緒に出掛けたりするんだから、タチが悪い…
それを無意識でやってる大和は罪なヤツだ!
でも、一緒に居るだけで、それだけで、十分幸せだと思う自分と、もっと一緒に居たいって思う欲張りな自分がいて…
心が行ったり来たりと、どこへも行けずに、ずっと彷徨っている
好きでいてもいいの?
諦めなくちゃダメなの?
俺?どうすればいいの?
この気持ち…どうすればいいの!!
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