私が君と過ごした数分間

第二章

過呼吸

あれから、ことあることに過呼吸を連発していた。

想像するだけでそうなってしまうのだ。

自分の意思ではどうにもならなかった。


夫は
”話し合いもしたし慰謝料も貰ったんだからこれで全部済んだ“

とスッキリしていた。


冗談じゃない。


こっちはまだ地獄にいるのに…


私に隠れて連絡を取っているんじゃないか…
会っているんじゃないか…
セックスしているんじゃないか…


そんなことばかり考えていた。



誰か…

誰か助けて…


苦しい…


私どうしたらいいの…


離婚するしかない…？

でも私の一時的な思いで子供たちを傷つけていいのか…


私は次第に酒に溺れ、何も食べる事が出来なくなっていた。



夫が仕事から帰ってくると泣きながら責める。

それが良くないことは自分でも重々分かっていた。

でも何食わぬ顔で帰ってきて私の料理を食べて…
とにかく”普通“でいる夫が許せなかった。



辛い…

辛い…

苦しい…

助けて…


どんなに願っても泣いても助けてくれる人なんていない。

昔からそうだったじゃないか。


神さまに何度お願いした…？


助けなんてこない。


私が決断しなきゃいけないんだ。




離婚…？

私に3人の子供たちを育てられる…？

父親を私自身が奪う…？



でも……

でも…

でも…


が、頭から離れない。




そして私が出した決断は

「しばらくの別居」


お互い離れれば冷静になれるかもしれない。


子供たちはいつでも会えるし…



私が今できる最低譲歩はこれしかなかったのだ。



思春期真っ只中の海斗は辛いだろう…


あの子は一部始終見ていたのだ。。



ごめん…海斗。


私頑張るから。

家族再生のために…


私はまた子供を傷つけてる…



そして夫は承諾し家を出て行く日。

大きな荷物を持っている父親に風花と空美が
「パパどこ行くの…？すぐに帰ってくる？」
と、まとわりついていた。


その姿が何とも痛ましく…

見ていられなかった。

そこに海斗はいなかった。
寝室から出ても来なかった…


夫はしばらく実家で暮らすことになる。



私は空を見た。





あー…大地…


何でだろうね…


こんな日も…

空は青いよ…


青空を嫌いになりたくないのに…

青空を見ながら涙した。