過保護な不良に狙われた俺

綿毛ぽぽ

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3.槍の不良


 教室へ戻ると、予想通り誰一人俺と目を合わせない。
 はは、終わった。俺のスクールライフ。
 血の涙を流して俺は席に着いた。

「……明、大丈夫か?」
「ひ、光!俺はもうぼっちだ」
「まあアイツに話しかけられたらそうだよな。これから他の奴にも絡まれるかもしれないぜ」

 他の奴!?啓吾以外にもパシられるって事?
 さ、最悪だ……。いや、でも啓吾は特に何もしないし全然悪い人じゃなかったから他の人もそうかもしれない。
 
 しかし、そんな訳が無い。

「なあなあ、お前さ、啓吾の新しいパシリだろ?俺の分もさっさと買ってこいよ」
「コーラ十本な」

 はい、早速柄の悪そうな五人組に囲まれました。

 俺の首を掴み凶悪な笑みを浮かべる彼等に尿が漏れそうになるほど怯えたが、急いで自販機へ向かった。コーラ十本は割と重いが、今は急がなければ。

 そして大量のコーラを持って彼等の元へ戻った。

「は、はい!持ってきました」
「遅せぇよ」
「すみません!!」

 何だこの扱いは。まるでお前らの奴隷じゃないか。もう嫌だよお母さんお父さん。俺は何もしてないのに!!
 そして、不良の元にコーラを置き、足早に去ろうとすると何故か肩を強く掴まれる。

「おい、待てよ」
「へ、は、はい。なんでしょうか」
「一本、お前にやるよ」

 マジで?え、何で?
 拒否するのも怖いし、大人しく彼の差し出した缶を受け取り蓋を開く。
 
 すると、凄まじい勢いで顔にコーラがぶっ掛かった。俺は衝撃でその場に立ち尽くした。

「ヒャハハ!!マジでコイツぶっ掛けた」
「美味しいかー?顔面コーラ」

 地獄だ。自分が惨めで泣きそうだけど、男がこの程度で狼狽えるなんて恥ずかしい。俺は無理やり口角を上げて平気なフリをした。
 二本目にいこうとする不良達に何も抵抗出来ず、俯いていると扉が不良の元へ吹っ飛んできた。

……え、今の何?

「今すぐ明から手を離せクソども!!」

 啓吾の顔はまるで鬼のようで、凄まじい怒りが眉の辺りに這っていた。







「明っ、大丈夫か?怪我は無いか?」
「あ、うん平気……」

 そこに山のように積まれている不良達に比べれば俺なんてかすり傷のようなものだ。
 助けに来てくれた彼は噂通り強く一瞬で五人の不良を倒した。

 大量の槍が降ってきた時は何かと思ったが、噂の「槍の獄堂」は本当だったようだ。不良の喧嘩は俺の想像以上に血腥いものだった。何度も助けを乞う彼等に全く聞く耳を持たず、追い打ちをかけるように啓吾は殴り続けていた。もう既に槍で十分半殺しにされているというのに、その姿は正に地獄の悪魔のようだった。
 マジで死ぬかもしれないと焦った俺は彼を止めると「明はまるで聖母のように優しいな」なんて微笑みながら言ってきた。違う、お前が怖いだけだ。
 
 しかし、助けに来てくれたのは本当に助かった。今も心配してくれて、凄く安心している。まあ元はと言えば彼が根本的な原因だが。

「ありがとう、助けてくれて」
「これ位大丈夫だ」
「でも、血とかも出てるし」
「ああ。これは全部返り血だ」

 そっか、良かった……。
 俺は深く考えることを放棄した。

「それにしても何で明がこんなカツアゲを受けているんだ。まさか……イジメか?こんなに可愛い明を虐めるなんて、全く分かんねえ」

 主にお前のせいだよ。
 それに可愛いだなんてお前の目は節穴か。頭を抱えたが、もうとやかく言うのは面倒だ。

「俺がアイツらに忠告しておくから安心しろ。あとこれはジュース代だ」
「え、啓吾が払わなくても」
「これはアイツらの財布だ。盗られても文句言えないだろ」

 うん。そうだね。

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