過保護な不良に狙われた俺

綿毛ぽぽ

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6.親衛隊を持つ不良

 支度をして、昨日の啓吾の事を考えながら俺は学校へ向かった。
 
 何であんなに顔を近付けてきたんだろ。しかもまだ早いと、まるで次があるような素振りを残して消えてしまった。

 もしやヤンキーの中ではキスをするとかそんな文化があるのかもしれない。
俺のファーストキス、もしかして啓吾に奪われる可能性があるのか……?せめて最初はお淑やかな女の子と花火の下とかお花畑とかロマンチックな場所でするつもりだったのに!これからは口許に気を付けねば!

 警戒心MAXで歩いていたつもりだったが突如俺の前に大柄な男達が立ち塞がった。そして、全員が同時に頭を深々と下げ、大声で放った。

「明さんッ!御荷物お持ち致しますッ!!」
「鞄でも何でも持ちます!!」
「あ、靴拭きましょうか?」

 な、何を言っているんだこの人達……。如何にも屈強で怖そうなのに何でそんな低姿勢で絡んでくるんだ?
 しかも顔だけでなく体全体に凄い数の包帯が巻かれている。中には骨折した人も混じってるようだ。それなのに俺の荷物を持つ?怖すぎる。何がしたいんだ。

 ていうかなんか見覚えあると思ってたけど、よく見たら少し前、俺にコーラをぶっかけてきた奴らじゃん!!
 何でまだ俺に付き纏ってくるのか。啓吾が倒してくれたから俺がこの人達に絡まれるのは二度と無いと思ってたのに!
 
 低姿勢に見せておいて実は裏で殴られるんじゃ……。恐怖で何も言えず立ち止まっていると、そこに元凶が現れた。

「おい、お前ら」
「ひっ、啓吾さん!おはようございます!」
「気安く俺の明の名前を呼ぶんじゃねえ!!」
「すいません!兄貴!」

 あ、兄貴?
 てかやっぱりコイツの仕業だったのかよ!!
 啓吾は眉間の皺を消して此方を見てふわりと笑った。

「おはよう、明」
「お、おはよう」
「昨日のことは気にしないでくれ。あとコイツらは俺が躾けたからもう心配することは無い。また虐められたら俺に言ってくれ」

 どう躾けたのかは気になる所だが余り触れないようにしておこう。

 ていうか気にするなって言うなら何であんなことをしてきたんだ。悩んだ俺が馬鹿みたいだ。
 内心不満を感じていたが、突如大声で俺の名前を呼ばれ考えは吹っ飛ぶ。
 
「佐藤さん!」
「はっはい」
「俺、山野慎一郎やまのしんいちろうって言うッス」
「そ、そうですか」
 
 だから何だ
 というか言われなくても同じクラスだし知ってる。
 
 獄堂啓吾は恐れられているが子分の数は多い。
 山野慎一郎もその一人でいつも獄堂の隠し撮りしたような写真を授業中に見てはデレデレしてるし俺の隣で獄堂がクラスを監視してた時は教壇前の席のくせに一日中後ろを見て微笑んでいた。
 スキンヘッドの強面からは想像出来ない優しい微笑みだ。
 
 俺的に関わりたくないクラスメイトNO.1だが、何故急に話しかけてくるんだ。
 
「山野は忠誠心の高い舎弟だ。お前とはダチって聞いた時は驚いたが、俺がいない時はそいつに助けを求めてくれ」
 
 いやいやいやダチになった覚えはありませんが!?入学式から一度も喋った覚え無いんですけど?
 山野を凝視するが彼の目には獄堂しか映っていない。ダメだこいつ。
 
「じゃあまたな。明」
 
 そして彼は取り巻きを連れて去ってしまった。俺は山野と共に廊下で立ち尽くす。
 気まずい。絶対コイツ獄堂と繋がりたくて俺を利用したに違いないし、俺はどんな顔すればいいんだよ。取り敢えずいつものように空気に溶け込みクラスへ向かおうとするが、話しかけられてしまった。
 
「佐藤さん、今日から俺が守るから安心して下さいッス!」
「え、あ、ありがとう。山野」
「まさか佐藤さんと獄堂さんがそういう関係とは知らなかったッス。親衛隊の集会で見たこと無いと思ってましたけどねー」
「親衛隊?」

 問い掛ける俺に山野は驚愕したが俺に丁寧に説明してくれた。
 なんと、獄堂には子分ならぬ親衛隊が存在したようだ。元々美形な生徒会にファンクラブのような組織がいた事は知っていたが、獄堂にもいたとは知らなかった。しかし、他の親衛隊に比べ恋愛対象として見ている隊員は殆ど存在せず憧れや尊敬の念を抱いている隊員が多いらしい。
 
「まあムキムキの奴はその気あるっぽいッス」

 知りたくなかったッス。
 
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