25 / 31
25.勇者様、刺激が強い!
しおりを挟む
朝、目が覚めると言葉が話せるようになっていた。一日程度だったら平気だと思っていたが、思いの外不便で大変だった。一日で戻ると知っていたけども安心してほっと一息つく。
服を着替え、部屋を出ると「おはよう」とジェイミー様に声をかけられた。
うっ、朝から刺激の強いイケボが聞けて耳が溶けてしまいそうだ。だらしない顔をしてしまいそうになるのを必死に堪えて挨拶を返すとジェイミー様の手が俺の頭へ伸びた。
「……寝癖がある」
「嘘!?あ、ほんとっぶわあぁぁ!触ってすみません」
無意識に頭を触ると大量に毛が立っていて、更にはジェイミー様の手に触れてしまいおかしな声で叫んでしまった。
さ、最悪だ。顔を洗ってから会いたかった。それに寝起きでいつもよりも頭の回転が遅く変なことばかりしてしまいそう。
ジェイミー様に幻滅されてないか、と恐る恐る見上げると彼は少しだけ微笑んでいるように見えた。しかし一度瞬きをすると元の無表情に戻っていた。気の所為、か?それとも滑稽だと笑っていたのか?
「声は無事元に戻ったようだな」
「あっ、はい!昨日はすみませんでした」
「何も謝る必要は無い。戻って良かった」
優しい言葉をかけられ、胸の奥がきゅんっとした。イケメンはどんなことを言っても格好良く聞こえるんだろうけど、俺にとっては特別に聞こえた。推し最高。
「朝ご飯食べましょう。オリヴァーさんも起こさないと」
オリヴァーさんは一度寝ると起きるのが遅い。というか俺が幾ら言っても夜中本を読む事をやめないのだ。困った人である。
そしてオリヴァーさんの元へ行くと、やはり寝ていた。布団を剥ぐと寒かったのか震えていたが、そんなことで俺は許してあげないぞ。体を揺らしたり名前を呼んだり色々しているうちにやっと起きた。
三人で朝食を食べていると、突然の玄関の扉がノックされた。開くと威嚇するような目付きのクレイが腕を組んで立っていた。
「あれ、クレイ?」
「相変わらず間抜けな顔だね」
そういうクレイこそ相変わらず不機嫌そうな顔だ。
「どうしてここに?」
「魔法薬が切れたか確認しに来ただけ。なんか異変ある?」
「大丈夫だよ。わざわざ遠いのにごめん」
「うん。お前が来なければこんなことならなかったのに、無駄な仕事増やして本当に迷惑。ていうか本当は魔法薬の値段も請求したいくらいなんだけどね。はぁ、久しぶりに会ったら早速昔みたいに振り回されて疲れたよ」
……うん、いやまぁ俺が悪いんだけど。そこまでグチグチ言われると傷付くんですけど。
何か言いたげな視線を送るが、彼は歪んだ笑いを頬に浮かべたまま首を傾げる。これを見てカチンとくるのは俺だけだろうか。つい腹が立ち俺まで嫌味を零した。
「あーあ、ちょっとは「気にしないで」とか、そのお顔に似合う優しい言葉掛けられないのかなー」
「ええ?じゃあ例えばお前の本棚にあった勇者の自作「あーーー!!!」うるさ」
俺の黒歴史を掘り出される前に大声で彼の言葉を掻き消した。すると、その声に驚いたのかジェイミー様が俺達の元までやって来た。
「何かあったか」
「い、いえいえ何も!な、クレイ?何も無いよな?」
クレイに圧をかけるが、彼は全く反応しなかった。彼らしくなく口を小さく開いたまま固まっている。
冷静に考えれば、その反応は当然だ。国の英雄である勇者のジェイミー様がこんな小さな家の中から出てくるとは誰も思いやしないだろう。
俺は察したが、ジェイミー様はその様子に全く気づかずクレイの前に近寄った。
「誰だ?」
「……何で勇者がミルの家に」
クレイは呆然としていたが、我に返ると俺の肩を引き寄せて口を開いた。
「これとは知り合いなんです。勇者はミルとどんな仲で?」
「私は……同じく知り合いだ」
二人はお互いの顔を見つめ合い、無言で火花を散らしていた。暫くして、ジェイミー様がふいっと顔を背けたかと思うと突然俺の腕を掴んだ。
「ど、どうしました?」
「出掛けるぞ」
ええええ!?
服を着替え、部屋を出ると「おはよう」とジェイミー様に声をかけられた。
うっ、朝から刺激の強いイケボが聞けて耳が溶けてしまいそうだ。だらしない顔をしてしまいそうになるのを必死に堪えて挨拶を返すとジェイミー様の手が俺の頭へ伸びた。
「……寝癖がある」
「嘘!?あ、ほんとっぶわあぁぁ!触ってすみません」
無意識に頭を触ると大量に毛が立っていて、更にはジェイミー様の手に触れてしまいおかしな声で叫んでしまった。
さ、最悪だ。顔を洗ってから会いたかった。それに寝起きでいつもよりも頭の回転が遅く変なことばかりしてしまいそう。
ジェイミー様に幻滅されてないか、と恐る恐る見上げると彼は少しだけ微笑んでいるように見えた。しかし一度瞬きをすると元の無表情に戻っていた。気の所為、か?それとも滑稽だと笑っていたのか?
「声は無事元に戻ったようだな」
「あっ、はい!昨日はすみませんでした」
「何も謝る必要は無い。戻って良かった」
優しい言葉をかけられ、胸の奥がきゅんっとした。イケメンはどんなことを言っても格好良く聞こえるんだろうけど、俺にとっては特別に聞こえた。推し最高。
「朝ご飯食べましょう。オリヴァーさんも起こさないと」
オリヴァーさんは一度寝ると起きるのが遅い。というか俺が幾ら言っても夜中本を読む事をやめないのだ。困った人である。
そしてオリヴァーさんの元へ行くと、やはり寝ていた。布団を剥ぐと寒かったのか震えていたが、そんなことで俺は許してあげないぞ。体を揺らしたり名前を呼んだり色々しているうちにやっと起きた。
三人で朝食を食べていると、突然の玄関の扉がノックされた。開くと威嚇するような目付きのクレイが腕を組んで立っていた。
「あれ、クレイ?」
「相変わらず間抜けな顔だね」
そういうクレイこそ相変わらず不機嫌そうな顔だ。
「どうしてここに?」
「魔法薬が切れたか確認しに来ただけ。なんか異変ある?」
「大丈夫だよ。わざわざ遠いのにごめん」
「うん。お前が来なければこんなことならなかったのに、無駄な仕事増やして本当に迷惑。ていうか本当は魔法薬の値段も請求したいくらいなんだけどね。はぁ、久しぶりに会ったら早速昔みたいに振り回されて疲れたよ」
……うん、いやまぁ俺が悪いんだけど。そこまでグチグチ言われると傷付くんですけど。
何か言いたげな視線を送るが、彼は歪んだ笑いを頬に浮かべたまま首を傾げる。これを見てカチンとくるのは俺だけだろうか。つい腹が立ち俺まで嫌味を零した。
「あーあ、ちょっとは「気にしないで」とか、そのお顔に似合う優しい言葉掛けられないのかなー」
「ええ?じゃあ例えばお前の本棚にあった勇者の自作「あーーー!!!」うるさ」
俺の黒歴史を掘り出される前に大声で彼の言葉を掻き消した。すると、その声に驚いたのかジェイミー様が俺達の元までやって来た。
「何かあったか」
「い、いえいえ何も!な、クレイ?何も無いよな?」
クレイに圧をかけるが、彼は全く反応しなかった。彼らしくなく口を小さく開いたまま固まっている。
冷静に考えれば、その反応は当然だ。国の英雄である勇者のジェイミー様がこんな小さな家の中から出てくるとは誰も思いやしないだろう。
俺は察したが、ジェイミー様はその様子に全く気づかずクレイの前に近寄った。
「誰だ?」
「……何で勇者がミルの家に」
クレイは呆然としていたが、我に返ると俺の肩を引き寄せて口を開いた。
「これとは知り合いなんです。勇者はミルとどんな仲で?」
「私は……同じく知り合いだ」
二人はお互いの顔を見つめ合い、無言で火花を散らしていた。暫くして、ジェイミー様がふいっと顔を背けたかと思うと突然俺の腕を掴んだ。
「ど、どうしました?」
「出掛けるぞ」
ええええ!?
16
あなたにおすすめの小説
過労死で異世界転生したら、勇者の魂を持つ僕が魔王の城で目覚めた。なぜか「魂の半身」と呼ばれ異常なまでに溺愛されてる件
水凪しおん
BL
ブラック企業で過労死した俺、雪斗(ユキト)が次に目覚めたのは、なんと異世界の魔王の城だった。
赤ん坊の姿で転生した俺は、自分がこの世界を滅ぼす魔王を討つための「勇者の魂」を持つと知る。
目の前にいるのは、冷酷非情と噂の魔王ゼノン。
「ああ、終わった……食べられるんだ」
絶望する俺を前に、しかし魔王はうっとりと目を細め、こう囁いた。
「ようやく会えた、我が魂の半身よ」
それから始まったのは、地獄のような日々――ではなく、至れり尽くせりの甘やかし生活!?
最高級の食事、ふわふわの寝具、傅役(もりやく)までつけられ、魔王自らが甲斐甲斐しくお菓子を食べさせてくる始末。
この溺愛は、俺を油断させて力を奪うための罠に違いない!
そう信じて疑わない俺の勘違いをよそに、魔王の独占欲と愛情はどんどんエスカレートしていき……。
永い孤独を生きてきた最強魔王と、自己肯定感ゼロの元社畜勇者。
敵対するはずの運命が交わる時、世界を揺るがす壮大な愛の物語が始まる。
オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています
水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。
そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。
アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。
しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった!
リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。
隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか?
これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました
雪
BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」
え?勇者って誰のこと?
突如勇者として召喚された俺。
いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう?
俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~
大波小波
BL
フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。
端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。
鋭い長剣を振るう、引き締まった体。
第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。
彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。
軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。
そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。
王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。
仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。
仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。
瑞々しい、均整の取れた体。
絹のような栗色の髪に、白い肌。
美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。
第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。
そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」
不思議と、勇気が湧いてくる。
「長い、お名前。まるで、呪文みたい」
その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる