βとバレたら婚約破棄

綿毛ぽぽ

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 ずっとずっと隠していた事を遂に伝えてしまった。今までこの瞬間を恐れていたが、意外と口に出してしまえば肩の荷がおりたような気分になった。

「春陽くんはもう気付いてただろうけどさ、言い出しにくかったよね。ごめん、俺のせいで」

 早く婚約解消しよう。春陽くんのご両親に謝罪しないと。謝っても謝りきれないが、誠心誠意伝えよう。他にもすることが山ほどある。

 これから先の事を考えていた時、肩を力強く掴まれた。驚いて顔を上げると春陽くんと目が合った。顔を顰め、彼らしくない如何にも不快だと言わんばかりの顔だ。
 
「何を言ってるんですか」
「え」
「幸人さんはオメガです。ずっと僕と出会った時からオメガです。だから安心してください。僕らは番なんです」

 違う。ベータだ。俺だって小さい頃はオメガだと思った。だが、検査の結果は何年経ってもベータだった。
 
「ごめんなさい。嘘ついてたんだ。春陽くんが小学生の頃はオメガだったんだけど、中学生の頃にはもう俺ベータに変わってたんだ。本当にごめん」
「そんなことないです。幸人さんはずっとオメガですよ。今だって、こんなに良い匂いなのに」
 
 肩を掴んでいた手が背中にまわり、優しく抱き締められる。春陽くんの肩に顔を埋める瞬間は好きだが、今の俺に彼に触れる資格は無い。彼の肩を押して、距離をとる。
 すると、気の所為か彼の顔が強ばる。俺は視線を逸らして、目を伏せて謝罪を繰り返した。
 
「多分良い匂いっていうのは気のせいか、思い込みなんだと思う。俺がずっと嘘ついたせいだよね。ごめん。本当にごめんね。春陽くんは運命の番の人もいるし、俺の事は忘れてその人と幸せになって、っん」
 
 話している途中に、突如唇を塞がれた。今まで口付けされる時は何かしら合図をくれたのに、こんな急にされることは初めてで硬直する。

 強く抱き締められ全く動けない。せめて首を振って離れようとするが、そんな俺を窘めるように片手で頭を抑えて強引に唇を寄せた。彼の舌が更に俺の口腔へ入る為に歯を押すが、必死に歯を食いしばった。
 そんな俺の様子に彼は眉間に皺を寄せ、舌を押すのではなく歯を一つ一つ撫でるように舐め始めた。
 
「ん、はぁ……んむ」

 何分くらい経っただろうか。抵抗も虚しく結局口への侵入を許してしまい、好き勝手に口内を蹂躙されてしまった。舌を何度も絡め、やっと春陽くんが唇を離した時には俺の腰は砕けていた。

「幸人さん、良い匂い……やっぱり、オメガだ」
「ちがうって」
「じゃあなんで!」

 春陽くんは俺をベッドに押し倒すと、その上に跨り俺の服の下から手を入れ胸を鷲掴んだ。最初は何も無い胸を揉んでいるだけだと思いきや、人差し指で円を描くように撫で始め、いつの間にか立ってきた乳首を転がすように弄り、人差し指でピンと弾かれた瞬間、上擦った声が漏れた。
 
「ひあっ」
 
 自分の恥ずかしい嬌声に顔がかあっと熱くなるのを感じる。そんな俺の様子を春陽くんは頬を赤くし獲物を狙うような眼差しで見ていた。
 
「幸人さん、気持ちいいですか?」
「っ……全然」
「嘘です」
 
 胸なんかで気持ち良くなる訳ない。俺は男だしベータだ。歯を食いしばって変な声が漏れないように耐える。その態度が気に食わなかったのか、春陽くんはぎゅっと摘んだ。
 
「やぁっ」

 敏感になっていた突起を刺激され、瞳孔が開く。
 熱い息がかかり視線を向けると、頬を赤く染めて恍惚とした表情をした春陽くんが俺を見下ろしていた。
 
「可愛い……」
「んっ、ぁ、春陽くん、ほんと胸触らないで」
「……分かりました」
 
 そう言うと彼は服の上からお尻をぎゅっと揉んできた。

「ちょ、春陽くん!ほんとだめだから」
 
 俺の言葉を耳にせず、そのまま撫でたり揉んだりを繰り返す。そして黙らせるように唇を塞いだ。
 無理矢理されてるが体は正直でさっきまで弄られていた乳首はツンと立っている。そして、ついに彼はズボンを下げて、俺の欲望が顕になってしまった。
 
 恥ずかしい。感じているのがバレてしまって、消えたくなった。しかし、彼は唾を飲んで俺の穴の方へ指を伸ばしてきた。
 しかし、アルファとオメガの恋愛漫画とは違い、痛みが突き刺さる。

「いっ……と、春陽くん。ほんと、やめて。俺、ベータだからオメガと違って気持ち良くても濡れたりしないし、ほんとに、ベータだから。ね、お願いだから」
  
 俺の痛みだけが原因ではない。
 これ以上したら取り戻せなくなるからだ。彼は番がいるのに、こんな事をしたら駄目だ。止まない雨のように後悔が降り注ぎ、ぽたぽたと冷たい雨が体に落ちる。
 
 ……ってあれ、どうして本当に服が濡れてるんだろう。不思議に思い目を開くと、彼の瞼から水滴が零れていた。



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