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しおりを挟むガディウスはまるで騎士の誓いのように片膝をついて跪き、僕の手の甲に額を乗せる。
「ヘズが好きだ。この世の何よりも、愛してる。俺の全人生を捧げても幸せにするって誓う。だから、結婚してくれ」
ガディウスの告白に胸が打たれた。とくんとくんと鼓動が早まり、頬が熱くなる。
告白なんてされたことないし、まさか自分が演劇のワンシーンのような告白をされるとは思いもしなかった。
どうしよう。緊張と興奮、歓喜、様々な感情が溢れ、僕は顔を真っ赤にして俯いた。ガディウスは中々声を出さない僕を真剣な眼差しで見守る。
僕はぎゅっと目を瞑り、震える唇を開いた。
「もう、それを……押し倒す前に言え!」
ガディウスは糸が解けたように笑みを零した。そして僕の手の甲に唇を落とす。
「……じゃあ、改めて結婚の誓いしてくるか?」
「いや僕は教会のこと許してないけど」
「えええ、今許す流れじゃねえの!?」
ガディウスは体勢を崩して後ろへ倒れ込んだ。
当たり前だろう!感動はしたけど、昨日の出来事が胸に引っかかる。それに今は外されたけれど手枷や足枷が嵌められるのも簡単に許せるわけがない。
「あんなこと許すわけないだろ!同意の無い性行為は犯罪!騎士としてあるまじき行為だぞ」
「悪かったって!もうぜってえしないし!」
ガディウスは辺りに響くほど大きな声で宣言するが、僕は眉を顰める。
本当か?ガディウスはよく勝手に僕の予定を断ったり好きな人を奪うし、また僕の意思を無視して暴走しそうだ。
「怪しい。大体ここ何処だよ。こんな鎖やら枷やら危ない道具あるし」
「ヘズと俺の愛の巣じゃん」
「は?」
「怒らないで下さいヘズさん。俺らの新居の端っこの部屋っす」
「ここ家かよ!こんな部屋あったなんて知らなかった。こんな要らない部屋無くしたらもうちょっと新居の予算減らせただろ」
まさかの事実だ。大きな家だとは実感していたが、こんな部屋まであったと思いもしなかった。これからはもっと家の中を調べなければ。ていうか僕とガディウスの言い合いが使用人達にも聞かれていたかもしれないってこと?一生の黒歴史になりそうだ。想像したら血の気が引く。
「怒るとこそこ?でももしヘズがまた他の女に惚れたらって思うと、力尽くでやるしかねえと思ってさ」
「何でだよ!まず告白しなよ」
「へズは女が好きで男は無理だと思ってたんだ。諦めてた俺も悪いけどさ、でも改めて告白したじゃん。今更本物の夫婦ってのは無理か?」
ガディウスが不安げに僕の顔を覗く。
もちろん僕はこの一件でガディウスが完全に無理になった訳では無いし、まだ好きだ。でもまた暴走されたら困るし、何かしらペナルティが必要かもしれない。
顎に手を置き、考え込む。そして僕は結論を出した。
「じゃあ、この部屋は今後使用禁止。あと僕の仕事はできる限り続けて今後は勝手に退職させないこと。最後は、一年間僕に接触禁止。それなら結婚する」
「いっ、一年!?長すぎ!ちょ俺死ぬって」
ガディウスは大袈裟に肩を竦める。
まあ結婚してるのに長いかもしれないが、ガディウスが反省するためには妥当だと思う。
「でも十年間我慢したなら一年くらい良いだろ」
「いや今までと違ってヘズと一緒に暮らしてるんだぜ?何回寝起きのヘズにキスしてやろうか、キッチンの時後ろから細え腰掴みたかったし、行ってきますの時も玄関でヤろうかと何度も思ったことか」
「そんなこと思ってたのか」
ガディウスの発言に思わず顔が引き攣る。そもそも罰は同棲禁止とかにするべきかな。とはいえ、好きな人と一緒に住んでるのに離れるなんてどうかと思うし、ガディウスの顔を見れないのも寂しい。
僕が頭を悩ませている間、ガディウスは様々な提案をしてきた。
「好きな奴と暮らしてんだぞ?色々欲望が溢れるに決まってんだろ。勃起抑えるの大変だったわ。えー、へずぅ、キスはダメ?」
「だめだ」
「ハグは?」
「ダメだ。手を繋ぐのも頭触るのも禁止」
「え、無理無理。死ぬ。ヘズも俺を好きって知ってんのに耐えるとか無理。何か情けを下さいお願いします!もう絶対ヘズの意思を無視しないと誓うので!」
頭を地に打ち付ける勢いで頼み込まれた。人の土下座を初めて見た僕は茫然としてしまう。
うーん。どうしようかな。まあ僕も最近素っ気ない態度をとったり非はあったからな。ぐるぐると頭を悩ませる。一つ、良い案を思い付いたが自分で言うのは恥ずかしい。でもこういう時くらい勢いで言わないと今後言えないだろう。顔に熱が集まるが、僕は勇気を出して口を開いた。
「じゃ、じゃあ、一年分僕に好きって言ってくれたら許してやる」
「え、そんなんでいいのか?余裕。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
「違う!そういうことじゃない!心を込めて、僕に好きって言って欲しいんだ。今までずっとそんな風に思われてるって知らなかったからまだ恋愛対象として見られてるか分からないし、それに今絶対適当に言っただろ」
「適当に言ってねえよ!まあ、分かった。ヘズに信じて貰えるように俺、やってやるぜ!」
ガディウスはサムズアップをして片目を閉じて星を飛ばした。
果たしてガディウスはちゃんと出来るのか。僕を好きになるところなんてそんな無いし、一年間接触我慢する結末になりそうだ。
先行きが不安な僕と一方、ガディウスは生き生きとしていて弾けるような笑みを浮かべ、部屋から出ようとする。
「愛してるよ、ヘズ」
その言葉を聞くと心の中の不安が淡く散り、温かいものに包まれる。
……まあ、ガディウスが楽しそうなら、いっか。僕ははにかんだ笑顔を浮かべながら、ガディウスに目を合わせた。
「僕も、愛してるよ」
目の前のガディウスは鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。そして僕の鼻が触れそうな距離まで近付いてきた。
「っ、やっぱりキスしちゃダメか?めっちゃ今してえ」
「駄目だ」
「えぇ~」
項垂れるガディウスを見てくすくすと笑みを零した。
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めっちゃくちゃ好みでした😊
特に展開がよかったです!
感想ありがとうございます!
ちょっと急展開が多いか不安でしたがそう言っていただけてとても安心しました☺️
最後まで読んでいただきありがとうございます!
すごく面白かったです〜!
展開も文章もめちゃくちゃ好みでした!
ありがとうございました!
感想ありがとうございます!
展開も文章も好みに刺さっていただけるなんて!とっても嬉しいです✨
こちらこそ素敵な感想ありがとうございます!