花の下にて、春

蒲公英

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エピローグ

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 君が時を超えて戻ったようで、僕はしばらくその姿に見蕩れていた。

「お父さん、早く」
 コハルの声に、君が消えた。わかっているんだ、僕が勝手に君を見ただけだってことは。君がこの制服を着たことはないんだし、僕だって制服じゃない。いくら君によく似ているからって、コハルは君じゃない。玄関前で写真を一枚撮って、並んで中学校への道を歩く。これから先はおそらく、こんな風に近い距離で歩いてくれなくなるんだろうな。

 中学校が近くなり、散りかけの桜並木の中で、友達を見つけたコハルが小走りになる。置いて行かれた僕は、その成長した後姿を見ながら道を歩く。そのとき、不意にコハルが振り向いた。

「ヒロト! 先に行くね! あとからゆっくり来て!」
 屈託のない笑顔の中に、深くて大きな笑窪がある。コハルには、笑窪は出ない。そして、二本の指をこめかみに当てる仕草。あれはコハルの仕草じゃない。

 あれは、マツリの仕草だ。そう思った途端に、夢を見たと言ったマツリの病室が蘇ってきた。

 バカヤロ、会いに来るのがこのタイミングかよ。ほんの瞬間でしかないじゃないか。それでも、会えた。会いたかった姿の君に。そして君が僕に一番会いたかった日は、僕と同じだったのだと知った。

 会いに来てくれて、ありがとう。君のやり残したことを、僕はクリアしているだろうか。いつか僕がそっちに行ったときのために、居心地の良いカフェでも探しておいてくれよ。また向かい合って、果てのないお喋りをしよう。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

すみ2くみ
2019.04.01 すみ2くみ

もう 涙腺ボロボロだよー
ええのか こんなことええのか!!
つらいわぁ

2019.04.01 蒲公英

感想をありがとうございます。
感情移入してくださって、嬉しいです。

解除

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