藤雲

藤野

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運命とは

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 現在世間を騒がせている“異物混入”問題、実は私も遭遇したことがあります。飲食店ではないのですが。

 ただでさえ寒い冬の、しかも雨の降っている日に何を思ったのかアイスを購入したところ髪の毛が埋まってまして。しかもそれが一本ならまだしも二本という、素晴らしいエンカウント率だったのです。
 まぁ、私こんなんでも花の女子大生()ですから。これはネタだ!とその場にいた友人達と軽く騒いで笑い話にしたのですが、帰りがけにあった某教授……ドルオタ先生とでもしましょうか、そのドルオタ先生にお話しましたところ、その返答とは。

 「それはね、運命だったんだよ!」

 ドルオタ先生曰く、その髪の毛達が私に会いたがっていた、私もその髪の毛達に会いたがっていた、だから起こり得た運命なのだとか。

 んなバカなことがあるわけないじゃないですか。
 その言葉を飲み込むのは本当に大変でした。
 人間が関わることですから、そういうこともあるだろうと今回の件に関しては変な理解を示した私ですが、これは理解できませんでした。
 髪の毛に会いたがるのは減毛を気にして18歳の身空で育毛に手を出した先生くらいです。

 さて、話は逸れてしまいましたが、このドルオタ先生、どうにも運命論者といいますか、ロマンティストなのです。そんなんだから結婚できないんだよ、とは生徒が一度は思うだろうくらいには重度の。
 異物混入から一転、『運命とは』という疑問が私の頭の中で渦巻いたのは言うまでもありません。
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