2 / 40
第1章 魔法使いの少女
第2回
しおりを挟む
2
「わたし以外に空を飛べる魔女なんて、初めて会いました」
ふたり並んで空を飛びながら、わたしは楸先輩――結局二年生の先輩だった――にそう言った。
楸先輩はくすりと笑んで、
「そうですね。魔法使いだからといって、空を飛べる人なんてあまりいませんから。私も、私の他にあと二人くらいしか空を飛べる魔女を知りません」
そうなんだ、と答えて、私は小さく頷いた。
楸先輩は再び顔を前に戻すと、慣れたようにくるりと空中で一回転。
けれどその動きはどこか荒々しく、見ているわたしからすると落っこちてしまうんじゃないかと冷や冷やしてしまうほどで、
「危ないですよ」
思わずそう口にしていた。
「大丈夫ですよ!」
楸先輩はあははっと笑い、
「落ちない限り死にませんから!」
「落ちたら死んじゃうから危ないって言ってるんじゃないですか!」
すかさずわたしはツッコミを入れる。
なに? なんなの、この人!
楸先輩はそんなわたしの反応が嬉しかったのか、にやにやと笑みを浮かべながら、
「安心してください、慣れてます」
さらに何度も回転したりスピードを上げて蛇行したり――
「や、やめてください! 見てるこっちが怖いんですから!」
楸先輩はそんなわたしにひとしきりアクロバット飛行をして見せると、ようやく私のスピードに合わせるように再び並んで飛び始めて、
「カネツキさんって怖がりなんですね!」
なにが面白いのだろう、ニコニコしながらわたしをからかった。
わたしは頬を膨らませながら、
「もう、信じられません。そんな無茶な飛び方をするだなんて」
はいはい、と楸先輩は明らかに反省する様子なんてなくて、間延びした声でそう返事した。
マイペースって言えばいいんだろうか。
いまいち何を考えているのか解らない。
見た目は可愛らしいし美人なのだけれど、こういう人と付き合っていくのって、結構大変そうだよな、と私は思った。
思っただけで、当然口には出したりしない。
それからしばらくの間わたしたちは黙って飛んでいたのだけれど、
「こうして空から下の世界を眺めるの、私、好きなんですよね」
楸先輩はうっとりしたような表情でそう口にした。
わたしはそんな楸先輩の様子に相槌を打ちながら、
「あ、わかります! なんかいいですよね。活気があって」
「そうですね」
と楸先輩は答えると、くつくつと不敵な笑みを浮かべながら、
「――それに、なんだか私が世界の支配者になったみたいで、すごくいい気分になれますよね」
不穏な言葉を、口にした。
「わたし以外に空を飛べる魔女なんて、初めて会いました」
ふたり並んで空を飛びながら、わたしは楸先輩――結局二年生の先輩だった――にそう言った。
楸先輩はくすりと笑んで、
「そうですね。魔法使いだからといって、空を飛べる人なんてあまりいませんから。私も、私の他にあと二人くらいしか空を飛べる魔女を知りません」
そうなんだ、と答えて、私は小さく頷いた。
楸先輩は再び顔を前に戻すと、慣れたようにくるりと空中で一回転。
けれどその動きはどこか荒々しく、見ているわたしからすると落っこちてしまうんじゃないかと冷や冷やしてしまうほどで、
「危ないですよ」
思わずそう口にしていた。
「大丈夫ですよ!」
楸先輩はあははっと笑い、
「落ちない限り死にませんから!」
「落ちたら死んじゃうから危ないって言ってるんじゃないですか!」
すかさずわたしはツッコミを入れる。
なに? なんなの、この人!
楸先輩はそんなわたしの反応が嬉しかったのか、にやにやと笑みを浮かべながら、
「安心してください、慣れてます」
さらに何度も回転したりスピードを上げて蛇行したり――
「や、やめてください! 見てるこっちが怖いんですから!」
楸先輩はそんなわたしにひとしきりアクロバット飛行をして見せると、ようやく私のスピードに合わせるように再び並んで飛び始めて、
「カネツキさんって怖がりなんですね!」
なにが面白いのだろう、ニコニコしながらわたしをからかった。
わたしは頬を膨らませながら、
「もう、信じられません。そんな無茶な飛び方をするだなんて」
はいはい、と楸先輩は明らかに反省する様子なんてなくて、間延びした声でそう返事した。
マイペースって言えばいいんだろうか。
いまいち何を考えているのか解らない。
見た目は可愛らしいし美人なのだけれど、こういう人と付き合っていくのって、結構大変そうだよな、と私は思った。
思っただけで、当然口には出したりしない。
それからしばらくの間わたしたちは黙って飛んでいたのだけれど、
「こうして空から下の世界を眺めるの、私、好きなんですよね」
楸先輩はうっとりしたような表情でそう口にした。
わたしはそんな楸先輩の様子に相槌を打ちながら、
「あ、わかります! なんかいいですよね。活気があって」
「そうですね」
と楸先輩は答えると、くつくつと不敵な笑みを浮かべながら、
「――それに、なんだか私が世界の支配者になったみたいで、すごくいい気分になれますよね」
不穏な言葉を、口にした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる