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正しい炎の使い方

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炎のイメージを頭に浮かべる。
手を太陽に向け、体にある不思議な何かを手に集める。

「にーに、すごーい!」

俺の手の上には直径一メートル程の大きな玉が出来ている。
フォーラは昔の俺みたいに目をキラキラさせて俺を見ている。

「私、12歳になったらにーにみたいになりたい!」

「頑張ってね」

魔法適正診断から一ヶ月が過ぎた。
俺にとっては魔法を使うことが夢だったので実はそこまでガッカリしていなかった。

「兄さん……火属性だけでもあなたに追い付きます!」

もう少しで学校が始まる。
俺が入るクラスは既に決まっているようなものである。
 最低ランクのZ。終わりのZだろう。

そもそも農民の次男が魔法学校に通うだけでも可笑しいのだ。

普通であれば能力の高い長男だった場合だけ多くないお金を使って通わせるのである。
しかし俺の場合、兄さんが特待生で入学し、それから6年間授業料など全て無料だったのでお金が残っている。
更には今年から兄さんの莫大な仕送りが来る。
だから俺が魔法学校に通えるのである。

だから……単属性の俺でも学校に通えるのである。

単属性……神から嫌われた証。
ほとんどの人は使える属性が2つ以上はあると言われている。

世界中の中でもたった0.0001%それほどの確率。
それが俺だった。
まぁ、兄さんはこれの倍以上珍しいが……。

話を変えよう。
このままではネガティブな考えに飲み込まれてしまう。

「そう言えば実験の途中だった」

俺は今、遠距離での炎の発生練習と熱による空気移動の仕組みを実験をしていた。

「まずは基本的なファイアーウォールをだして……」

俺は2枚のファイアーウォールを近くに出す。

「やっぱり凄い気流が発生している。 これを利用して空を飛べたりしないかな?」

俺がしようとしているのは風属性の人たちが無我夢中で研究しているスカイウォークという技である。
その昔、大賢者が使ったとされる秘技だ。

「熱量を上げれば出来るのか?」

俺は炎の温度を高くしていく。
近くの土や石は溶けて、溶岩になっている。
しかしまだ浮かない。

「なぜだろう? 翼がないからか?それならば────浮力を足せばいい!」

俺は背骨辺りから炎の翼を生やす。
しかし…………

「飛ばないな……」

何が問題なんだ?
浮力でもないし、気流はちゃんと……

あれ? 気流ってどんな風になっているんだ?

俺は葉っぱを一枚気流に乗せるすると葉っぱは不規則な動きをして上に舞い上がった。

ちょっと待てよ?
今まではファイアーウォールを使っていたが普通に超高火力じゃ駄目なのか?

そう思い、俺は直径30センチ超高火力の炎を作った。
それにさっきと同じように葉っぱを落とす。
葉っぱは上に舞い上がったかと思うと、炎の玉を避け、地面に落ちていった。

「これはもしかして……」

俺は同じ物を複数、自分の周りに用意した。

「こ、これは凄い気流だ!」

ファイアーウォールの実験は最初の囲むまではよかったが、全部塞いでしまっていたので空気の通り道が悪かったんだろう。
しかし今回は違う。
ちゃんと新しい空気が入ってくる。

「これに浮力を足してぇぇええ!」

俺が浮力をを足そうと羽を生やした瞬間俺は宙を待っていた。

しかし落ちようとはしない。
更に高度は増していくばかりである。

俺ちゃんと地上に戻れるのか?
なんて考えていると上昇が止まった。

上昇高度は大体10メートル位。
俺はそのまま空中にプカプカと浮いている。

「に、にーに!?」

あ、フォーラに見られた。
いや見られてもいいんだけど……。

「ちょっと危ないから離れてくれるか?」

「わかった! にーに凄い!」

妹はそう言って少しはなれてみている。

俺は徐々に炎の威力を弱めていき、無事地上に足がついた。

「にーに凄ーい!」

「俺の方がビックリしているよ……」

俺は空を飛んでしまった。
今ではできる人がいない飛行魔法を……俺は火属性でできてしまった。
まだまだ改善する場所はあるが出来てしまった。
魔法が使えるようになって一ヶ月……なかなかの上達っぷりだ。

「なぁ、フォーラ。 この事は他の人には内緒な? 俺達二人だけの秘密だ!」

「ん~、わかった!」

別に隠しとく必要はないが世界で自分だけが使えるっと思ってしまうとちょっとだけ優越感を味わいたい。

「それで……フォーラは何でここに?」

「パパが早く来て畑仕事手伝えだってさ」

「すっかり忘れてた!」

俺は慌てて農作業の手伝いに行った。
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