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他称変態さんと日常
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朝のホームルームが始まる前、俺は厄介なやつに絡まれていた。
「変態さん♪」
「なんだよ……」
朝から絡んでくるこのムカつく女子は花園 桜。
俺と同じく二年生の自称【光来高校一の美少女】だ。
家が旧家のお金持ちらしく、英才教育のおかげか運動神経、勉学、芸術など全てにおいて他の人より頭一つ秀でている。
さらにウザいことにコイツは物凄く可愛い。
自称美少女と言うだけあってとてつもなく可愛い。
黒髪ロングに長い睫毛、華奢な体に仕草、全てが全ての日本男子が理想とするヤマトナデシコを体現したかのようだ。
ただ、こいつは人をおちょくって遊んでくる。
「朝からなんでお前に罵られなければいけないんだよ……」
「あれ? 美少女に朝から声をかけて貰えるなんて、普通の人だったら泣いて神に今までの後悔を懺悔しながら喜ぶわよ? 普通は」
「質問は質問で返さないんだよ!? 普通は!」
クソッ! なんで朝からこんな奴の相手をしなきゃいけないんだ!
「用がないなら俺は急ぐぞ?」
「ちょっと! 何なのよあなた!」
知ったこっちゃない。俺は今日は朝からやらなくちゃいけないことがあるんだよ!
「あなた、戻ってきたら覚えていなさい!」
何が覚えていなさいだ……。
全く、朝からろくでもない奴に絡まれてしまった……。
俺は目的地である図書館へと急いだ。
「おはよう、遅れてごめんね。 本、どのぐらい片付いた?」
「あ、おはようございます先輩。 丁度この本を片付けたら終わりですよ」
しまった。間に合わなかったか……。
「あぁ、本当に遅れてごめんね。このお詫びはいつか必ず……」
「良いですよ、そんな……お詫びだなんて……」
彼女の名前は遠山 詩。
部活の後輩である。
小柄で献身的な行動から密かに男子からの人気が高い。
目が隠れるまで延びている前髪にメガネが似合っている。
彼女は俺と同じく図書部員として働いてくれている。 まぁ、部活と言っても図書部員なので、どちらかと言うと委員会に近い。
「いいよ遠慮しなくて、思い付かなかったら放課後にでも良いからさ?」
「そ、それじゃあ……放課後に……良いですか?」
「もちろん! あっ、でも高い物は勘弁してくれよ」
「ふふっ、わかってます」
詩のツボに入ったのだろうか?
ずっと俺に背中を向けて笑っている。
「って、いい加減笑いすぎだ!」
「ごめん、なさい……ふっ!」
全く……まぁ、図書部員は俺と詩だけなのでこんな会話も最近では多くなり、俺としてはこんな会話は嫌いじゃないからできればずっとしていたい。
「って、もうこんな時間かよ! 詩、早いとこ教室に戻らないとホームルームに間に合わないぞ!」
「そうですね、それじゃあ先輩、放課後に……」
「あぁ、またな!」
俺たちはそれぞれのクラスに戻っていった。
「疲れた…………」
ギリギリ間に合った…………。
図書館から全力ダッシュは流石にきついものがあった。
それが学校以外引き籠りの俺の足と心臓に多大なる被害をもたらし…………
「三澄、何をボケってしてるんだ?」
「あ、すいません」
先生に心配までされる始末…………。
「ちょっと、あなた大丈夫?」
花園にまで心配されているなんて…………、今日は付いてないな…………。
「ちょっと、あなた…………!」
「なんだよ、花園…………、さっき先生に注意されたから目ぇつけられてんぞ?」
「す、すぐ済むから…………、ちょっと聞い────」
「おい、そこうるさいぞ!!」
「「す、すいません!!」」
(クソッ!お前のせいで怒られただろ!)
(いいから聞きなさい!)
なんでこいつはこんな真剣なんだ?
(あぁ、もう! 朝一で言おうと思ったのに…………)
なんだよこいつ、顔をこんなに赤くして…………
(今日の放課後、時間空けといて!)
(時間ない、無理。 明後日にしてくれ!)
「別にいいじゃん! ケチ!」
「そこ! うるさいって言ってんだろ!」
あぁ! 何こいつ大声で叫んでくれてんの!?
また、先生に怒られたじゃん!!
(お前、もう黙っとけよ)
「あなた、絶対来なさいよね!?」
「ば、馬鹿お前!そんな声出したらまた────」
「…………お前らぁ、廊下出とけ」
「「は、はい」」
(お前のせいで…………もういい!)
(あなたねぇ…………)
(また変態と花園さんが怒られてるな!)
(変態マジキモいなぁ)
あぁ、ったく! 変態変態うるさいんだよ!
俺が変態と呼ばれるようになったのは俺が一年生の頃だ。
原因は花園。その周辺の人たちだ。
こいつらがいきなり俺のことを変態呼ばわりしてきてから、ありもしない噂が学校中に広まってしまった。
女子更衣室に潜入しただとか、同じ女子に何回も告白してフラれているだとか…………。
「誰が広めたんだろうか? いやあいつらだろうが…………」
「あなた、さっきから何ぶつぶつ言ってんのよ」
「うるさい、喋りかけてくんな」
「ひ、酷い! あなた、こんな美少女と話せて────」
「もう聞き飽きた! もう俺に話しかけんなよ! 俺に当たる理由があるならその理由を教えろよ! 理由がわかんないと俺も対処法もわかんないし、何もできないだろ!? 教えてくれないならもう俺にかかわらないでくれ! 俺に、俺にもう金輪際、話しかけるな…………」
あぁ、この一年間の鬱憤を全部言ってしまった。
噂が広まったのはこいつ一人のせいじゃないだろう…………。
「あ、いや、ごめん…………言い過ぎた…………」
「もういいよ、わかった…………全部言う。 だから、だから放課後、時間空けて…………」
な、なんだよ、こいつ…………らしくないな。
「調子狂うんだよ…………わかったよ…………。 放課後の予定空けてやる」
「ありがとう…………」
あぁ、もう! 本当になんなんだよ今日のこいつ!
あっ、そういや…………
「ごめん、やっぱ今日は図書────」
「は?」
「いえ、なんでもないです…………」
やっぱ花園は花園である。 超こえー。
まぁ、詩には放課後に図書館にちょこっと行って伝えてくるか。
今日は本の整理をする予定だったけど明日に変更させてもらおう。
まぁ、明日一人でもやろうかな…………。
─────────そして放課後になった。
「変態さん♪」
「なんだよ……」
朝から絡んでくるこのムカつく女子は花園 桜。
俺と同じく二年生の自称【光来高校一の美少女】だ。
家が旧家のお金持ちらしく、英才教育のおかげか運動神経、勉学、芸術など全てにおいて他の人より頭一つ秀でている。
さらにウザいことにコイツは物凄く可愛い。
自称美少女と言うだけあってとてつもなく可愛い。
黒髪ロングに長い睫毛、華奢な体に仕草、全てが全ての日本男子が理想とするヤマトナデシコを体現したかのようだ。
ただ、こいつは人をおちょくって遊んでくる。
「朝からなんでお前に罵られなければいけないんだよ……」
「あれ? 美少女に朝から声をかけて貰えるなんて、普通の人だったら泣いて神に今までの後悔を懺悔しながら喜ぶわよ? 普通は」
「質問は質問で返さないんだよ!? 普通は!」
クソッ! なんで朝からこんな奴の相手をしなきゃいけないんだ!
「用がないなら俺は急ぐぞ?」
「ちょっと! 何なのよあなた!」
知ったこっちゃない。俺は今日は朝からやらなくちゃいけないことがあるんだよ!
「あなた、戻ってきたら覚えていなさい!」
何が覚えていなさいだ……。
全く、朝からろくでもない奴に絡まれてしまった……。
俺は目的地である図書館へと急いだ。
「おはよう、遅れてごめんね。 本、どのぐらい片付いた?」
「あ、おはようございます先輩。 丁度この本を片付けたら終わりですよ」
しまった。間に合わなかったか……。
「あぁ、本当に遅れてごめんね。このお詫びはいつか必ず……」
「良いですよ、そんな……お詫びだなんて……」
彼女の名前は遠山 詩。
部活の後輩である。
小柄で献身的な行動から密かに男子からの人気が高い。
目が隠れるまで延びている前髪にメガネが似合っている。
彼女は俺と同じく図書部員として働いてくれている。 まぁ、部活と言っても図書部員なので、どちらかと言うと委員会に近い。
「いいよ遠慮しなくて、思い付かなかったら放課後にでも良いからさ?」
「そ、それじゃあ……放課後に……良いですか?」
「もちろん! あっ、でも高い物は勘弁してくれよ」
「ふふっ、わかってます」
詩のツボに入ったのだろうか?
ずっと俺に背中を向けて笑っている。
「って、いい加減笑いすぎだ!」
「ごめん、なさい……ふっ!」
全く……まぁ、図書部員は俺と詩だけなのでこんな会話も最近では多くなり、俺としてはこんな会話は嫌いじゃないからできればずっとしていたい。
「って、もうこんな時間かよ! 詩、早いとこ教室に戻らないとホームルームに間に合わないぞ!」
「そうですね、それじゃあ先輩、放課後に……」
「あぁ、またな!」
俺たちはそれぞれのクラスに戻っていった。
「疲れた…………」
ギリギリ間に合った…………。
図書館から全力ダッシュは流石にきついものがあった。
それが学校以外引き籠りの俺の足と心臓に多大なる被害をもたらし…………
「三澄、何をボケってしてるんだ?」
「あ、すいません」
先生に心配までされる始末…………。
「ちょっと、あなた大丈夫?」
花園にまで心配されているなんて…………、今日は付いてないな…………。
「ちょっと、あなた…………!」
「なんだよ、花園…………、さっき先生に注意されたから目ぇつけられてんぞ?」
「す、すぐ済むから…………、ちょっと聞い────」
「おい、そこうるさいぞ!!」
「「す、すいません!!」」
(クソッ!お前のせいで怒られただろ!)
(いいから聞きなさい!)
なんでこいつはこんな真剣なんだ?
(あぁ、もう! 朝一で言おうと思ったのに…………)
なんだよこいつ、顔をこんなに赤くして…………
(今日の放課後、時間空けといて!)
(時間ない、無理。 明後日にしてくれ!)
「別にいいじゃん! ケチ!」
「そこ! うるさいって言ってんだろ!」
あぁ! 何こいつ大声で叫んでくれてんの!?
また、先生に怒られたじゃん!!
(お前、もう黙っとけよ)
「あなた、絶対来なさいよね!?」
「ば、馬鹿お前!そんな声出したらまた────」
「…………お前らぁ、廊下出とけ」
「「は、はい」」
(お前のせいで…………もういい!)
(あなたねぇ…………)
(また変態と花園さんが怒られてるな!)
(変態マジキモいなぁ)
あぁ、ったく! 変態変態うるさいんだよ!
俺が変態と呼ばれるようになったのは俺が一年生の頃だ。
原因は花園。その周辺の人たちだ。
こいつらがいきなり俺のことを変態呼ばわりしてきてから、ありもしない噂が学校中に広まってしまった。
女子更衣室に潜入しただとか、同じ女子に何回も告白してフラれているだとか…………。
「誰が広めたんだろうか? いやあいつらだろうが…………」
「あなた、さっきから何ぶつぶつ言ってんのよ」
「うるさい、喋りかけてくんな」
「ひ、酷い! あなた、こんな美少女と話せて────」
「もう聞き飽きた! もう俺に話しかけんなよ! 俺に当たる理由があるならその理由を教えろよ! 理由がわかんないと俺も対処法もわかんないし、何もできないだろ!? 教えてくれないならもう俺にかかわらないでくれ! 俺に、俺にもう金輪際、話しかけるな…………」
あぁ、この一年間の鬱憤を全部言ってしまった。
噂が広まったのはこいつ一人のせいじゃないだろう…………。
「あ、いや、ごめん…………言い過ぎた…………」
「もういいよ、わかった…………全部言う。 だから、だから放課後、時間空けて…………」
な、なんだよ、こいつ…………らしくないな。
「調子狂うんだよ…………わかったよ…………。 放課後の予定空けてやる」
「ありがとう…………」
あぁ、もう! 本当になんなんだよ今日のこいつ!
あっ、そういや…………
「ごめん、やっぱ今日は図書────」
「は?」
「いえ、なんでもないです…………」
やっぱ花園は花園である。 超こえー。
まぁ、詩には放課後に図書館にちょこっと行って伝えてくるか。
今日は本の整理をする予定だったけど明日に変更させてもらおう。
まぁ、明日一人でもやろうかな…………。
─────────そして放課後になった。
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