美熟女ヒロインは鵜の目鷹の目で狙われて…

奇談エバンジェリスト

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第五戦:小熟女ヒロインのダメ亭主はヒロピンマニア

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「いやあ、ビューティ・マダムはやってくれるねえ」
と、嬉々とした様子で食卓に着いたのは、この家の一応、主にして郁子のダンナである洋助だ。
「もう、反社同盟にやられっぱなし、腹パンチを食らうわ、自分の武器でエロ―い身体を巻かれて電流流されてびーりびりで痙攣するわ、いいとこなしだったんだよねぇ。何なら、もうちょっとで拉致られる寸前だったんだから、惜しいよなぁ~~」
と、昨日のビューティ・マダムのやられっぷりを大賞賛している。
断っておくが、洋助は別に反社会同盟的な思想を信奉しているわけでも、この地が悪の手中に堕ちることを望んでいるわけでもない。
単なる超絶なヒロインのピンチシーンマニアなのだ。
地元市、嵐難ジャーナルでは、反社同盟の手先の893たちにいたぶられるマダムの姿がばっちりと写真入り記事で、それも一面に掲載されている。
「ウエブサイトの方には、動画もUPされとるでよ、むひひひーん」
と、目尻をだらしなく下げる洋助だ。

(まあ、ヤダわ、あの新聞社悪趣味なんだから。どうせ、エッチで有名なタコ社長がドローンで隠し撮りしてたんだわ。正義のヒロインのピンチを助けるどころか、面白おかしく報道するなんて、社会の公器たる新聞社として恥ずかしくないのかしら?)
と、心の中で立腹しつつ、ため息交じりに亭主を横目で軽く睨む。
(もう、この人ったら、自分の奥さんのピンチになにを悦んでるのかしら!?)
特殊な性癖を持つダンナが、ローカルマダム戦士の正体を知らぬことを忘れ、ぷんとむくれる郁子。
「はいはい、パパも早く食卓について頂戴ね! 遅刻しちゃうんだから」
「おお、我が奥方様よ、怒った顔も可愛いねぇ~~~」
と、いまだ嫁にはぞっこんの洋助は、郁子の怒り顔の理由にも気が付かず、子供らの呆れる前で唇を奪おうとする。
「んもうッ!」
格差婚と揶揄されたご夫妻の中は、今もって熱々なご様子だ…。

そもそも、幼稚園から高校まで一緒という腐れ縁の幼馴染夫婦だ。
何せ洋助は学業は底辺クラス、スポーツ無縁の万年帰宅部員という、スクールカーストの最下位に位置した筋金入りの落ちこぼれである。
翻って郁子は、小中高と一貫してクラス委員長、高3には生徒会長を務めた生徒・教師、そして教育委員会のオッサン連中からも辛抱の厚い、きってのピカ一優等生だ。
無論の事、暗黒の青春期を送った洋助だが、人の道を脱落せずにこの年齢を迎えられたのはひとえに、郁子のおかげといっても過言ではなかろう。
虐められっ子のカリスマと揶揄された彼を守り続けた女神のような女、郁子。
まあ、その善行は当時そこには恋愛感情などは微塵もなく、彼女が類稀な母性本能の持ち主であることと、たまたま瀟洒な洋館のような越後家の隣の犬小屋のような借家に住まう洋助への同情心の産物だったといって差し支えなかろう。

いくら時の流れは残酷とはいえ、今もって小熟女の美貌を輝かせ、株式会社ハイクオリティの会長令嬢にして役員、地方の経済同友会のマドンナとの呼び声も高い郁子だ。
そんな彼女が、いま洋助の嫁に収まっている理由、まあそれは後述するとしよう――――。
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