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第六戦:小熟女ヒロインはダンナの奇癖にも理解があるご様子で
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(まさか、ウチの人がこういう趣向をお持ち、だなんて知らなかったわ)
郁子は数日前の夜を思い起こす。
――――越後洋助は、深夜の浴室に向けて足を忍ばせる。
とはいえ、別にそのこと自体、疚しいことではない。
自宅の風呂場に向かっているだけだ。
まあ、何の下心もないかというと、大いに疑問だが…。
脱衣所のカーテンの向こうで蠢く影。
その湿り気を帯びた裸体をバスタオルで拭う艶めかしいシルエットを、思い切り抱きすくめる洋助。
「きゃッ…」
やわらかな感触とともに、微かにびっくりしたという華やいだ声を上げるのは、妻の郁子だ。
「もぉ~~う、洋助! なぁーに考えてるのぉ」
僅かに怒りと呆れを帯びつつも、 亭主の愛情をひしひしと感じることへの悦びを含んだ声音だ。
御年38歳にして艶やかかつたおやかで、まだまだ女を捨てていない反応である。
「美人妻、郁子襲撃さる―――!! なぁんちって」
洋助はカーテンをめくり上げると、再び愛妻を抱きしめる。
「もう、スケベ。いい歳して!」
軽く抗って見せる郁子だが、洋助は嫁への愛情ほだしがたいものがある様子で、むしゃぶりつくようにその肉体の感触を愉しむかのように抱擁を続けた。
「ああん、もう、いい加減になさいって! わかったから! もう…」
と、この後の夜の営みを承諾する。
かかあ転嫁を気取るこの美人な嫁は、なんだかんだで亭主に甘い。
それは、実家の合成樹脂会社に押し込んでしまった、という負い目があるようだが、もともとニート気味だった洋助は渡りに船である。
とはいえ、この格差夫婦、仲は非常に睦まじい。
会社内でもおしどり夫婦全開で、出退勤は一緒。
昼食も一緒で、通路での手繋ぎなどスキンシップも欠かさない。
なので、夜の生活もなかなかお盛んである。
が、今宵の大人のお時間は一味異なるようで…。
「さあ、さあ、奥方様。連行いたしますぞう」
「はいはい、煮るなり焼くなり好きにして頂戴ませ」
と、呆れ顔の嫁だ。
「そういう態度は盛り上がりに欠けるって。じゃあ、こういう小道具を使うとしようか」
「きゃッ」
と、郁子はまたも可愛らしい声を上げた。
「な、何コレ、目隠しとか、妖しすぎるんだけど?」
黒いラメ光沢の入った布で、切れ長の瞳を覆い隠すと恋女房は両手をぱっと広げてびっくりしたようなポーズをとる。
「郁子奥様はパンティ一丁で誘拐されましたとさ」
「やぁだぁ、この変態誘拐魔!」
と、郁子もおちゃらけた態度で応じる。
「さ、参りますよ、奥様。悪ぅ~~い調教主のアジトへとごあんなーい!」
そんな妻が愛おしくてたまらん、というだらしない表情を浮かべた洋助は、なかなか刺激的な黒いショーツ一枚の郁子のナイスバディに手を回し、視界の利かない彼女をエスコートする…。
「ちょッ、ちょっと洋助、何考えてるの?」
と、狼狽する郁子だが、すでに時すでに遅し、だ。
壁にビス止めされたベルト式拘束具に左右の手首をカキッと縛められた郁子奥サマ。
そうこうしている間に、両足首もピシ―ッと旦那に揃えられ、これまたきっちりと一括りに繋ぎ止められてしまったではないか。
目隠しを取られた視界に飛び込んで生きたのは、目尻をこれ以上ないというほどしたたらせニンマリのダメ亭主だ。
「これじゃ、マジで磔じゃない!? ちょっと、よーすけったらぁ、何考えてんの!?」
「そ、これぞ磔の刑、昔は手足を八方に向けて縛りつけるから“はっつけ”とか読んだみたいだよ」
「そんなトリビア聞きたくないしッ! っていうか、自分のお嫁さん磔にして喜ぶ旦那がどこにいるのよ」
「ここにいるよ、郁子奥様は哀れパンチ~ひとつで十文字ィ~~なんてね」
さすがに呆れ顔の郁子だが、亭主をこき下ろしてムードを壊してしまうほど彼女は愚かな妻ではない。
こういう際のコミュニ力が家庭をうまく維持し、亭主をコントロールできるか否か、妻の裁量なのだと郁子は思っているフシがあり、洋助を真っ向から否定することはまずない。
「もう~~、これまさか買ったの?」
「うん、通販大手ジャングルで手足の拘束具セットで1,980円! これで愛妻と刺激的な夜が送れ、夫婦の仲が深まるならば、安いもんでしょ?」
「あんまし、安くないかも…」
と、白い目を向けつつ、ダンナの知られざる“趣向”に耳を傾け始める。
「洋助って……SMの気があったんだ…知らなかった…。っていうか、気づいてあげられなくって…ゴメンね」
と、妙にしおらしい美人妻殿だ。
が、意外にもダメ亭主は真顔で否定する。
郁子は数日前の夜を思い起こす。
――――越後洋助は、深夜の浴室に向けて足を忍ばせる。
とはいえ、別にそのこと自体、疚しいことではない。
自宅の風呂場に向かっているだけだ。
まあ、何の下心もないかというと、大いに疑問だが…。
脱衣所のカーテンの向こうで蠢く影。
その湿り気を帯びた裸体をバスタオルで拭う艶めかしいシルエットを、思い切り抱きすくめる洋助。
「きゃッ…」
やわらかな感触とともに、微かにびっくりしたという華やいだ声を上げるのは、妻の郁子だ。
「もぉ~~う、洋助! なぁーに考えてるのぉ」
僅かに怒りと呆れを帯びつつも、 亭主の愛情をひしひしと感じることへの悦びを含んだ声音だ。
御年38歳にして艶やかかつたおやかで、まだまだ女を捨てていない反応である。
「美人妻、郁子襲撃さる―――!! なぁんちって」
洋助はカーテンをめくり上げると、再び愛妻を抱きしめる。
「もう、スケベ。いい歳して!」
軽く抗って見せる郁子だが、洋助は嫁への愛情ほだしがたいものがある様子で、むしゃぶりつくようにその肉体の感触を愉しむかのように抱擁を続けた。
「ああん、もう、いい加減になさいって! わかったから! もう…」
と、この後の夜の営みを承諾する。
かかあ転嫁を気取るこの美人な嫁は、なんだかんだで亭主に甘い。
それは、実家の合成樹脂会社に押し込んでしまった、という負い目があるようだが、もともとニート気味だった洋助は渡りに船である。
とはいえ、この格差夫婦、仲は非常に睦まじい。
会社内でもおしどり夫婦全開で、出退勤は一緒。
昼食も一緒で、通路での手繋ぎなどスキンシップも欠かさない。
なので、夜の生活もなかなかお盛んである。
が、今宵の大人のお時間は一味異なるようで…。
「さあ、さあ、奥方様。連行いたしますぞう」
「はいはい、煮るなり焼くなり好きにして頂戴ませ」
と、呆れ顔の嫁だ。
「そういう態度は盛り上がりに欠けるって。じゃあ、こういう小道具を使うとしようか」
「きゃッ」
と、郁子はまたも可愛らしい声を上げた。
「な、何コレ、目隠しとか、妖しすぎるんだけど?」
黒いラメ光沢の入った布で、切れ長の瞳を覆い隠すと恋女房は両手をぱっと広げてびっくりしたようなポーズをとる。
「郁子奥様はパンティ一丁で誘拐されましたとさ」
「やぁだぁ、この変態誘拐魔!」
と、郁子もおちゃらけた態度で応じる。
「さ、参りますよ、奥様。悪ぅ~~い調教主のアジトへとごあんなーい!」
そんな妻が愛おしくてたまらん、というだらしない表情を浮かべた洋助は、なかなか刺激的な黒いショーツ一枚の郁子のナイスバディに手を回し、視界の利かない彼女をエスコートする…。
「ちょッ、ちょっと洋助、何考えてるの?」
と、狼狽する郁子だが、すでに時すでに遅し、だ。
壁にビス止めされたベルト式拘束具に左右の手首をカキッと縛められた郁子奥サマ。
そうこうしている間に、両足首もピシ―ッと旦那に揃えられ、これまたきっちりと一括りに繋ぎ止められてしまったではないか。
目隠しを取られた視界に飛び込んで生きたのは、目尻をこれ以上ないというほどしたたらせニンマリのダメ亭主だ。
「これじゃ、マジで磔じゃない!? ちょっと、よーすけったらぁ、何考えてんの!?」
「そ、これぞ磔の刑、昔は手足を八方に向けて縛りつけるから“はっつけ”とか読んだみたいだよ」
「そんなトリビア聞きたくないしッ! っていうか、自分のお嫁さん磔にして喜ぶ旦那がどこにいるのよ」
「ここにいるよ、郁子奥様は哀れパンチ~ひとつで十文字ィ~~なんてね」
さすがに呆れ顔の郁子だが、亭主をこき下ろしてムードを壊してしまうほど彼女は愚かな妻ではない。
こういう際のコミュニ力が家庭をうまく維持し、亭主をコントロールできるか否か、妻の裁量なのだと郁子は思っているフシがあり、洋助を真っ向から否定することはまずない。
「もう~~、これまさか買ったの?」
「うん、通販大手ジャングルで手足の拘束具セットで1,980円! これで愛妻と刺激的な夜が送れ、夫婦の仲が深まるならば、安いもんでしょ?」
「あんまし、安くないかも…」
と、白い目を向けつつ、ダンナの知られざる“趣向”に耳を傾け始める。
「洋助って……SMの気があったんだ…知らなかった…。っていうか、気づいてあげられなくって…ゴメンね」
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