はみ出し記者 鷹見恭平 オールドメディアは世の不条理、タブーを暴けるか VOI.1 不法滞在者が運ぶ甘い媚薬

奇談エバンジェリスト

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Take10:“配送”業者

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『建王配送』———。
大柄だが、簡素な白地のプレートにゴシック体で書かれた看板の配送業者。
蛇の道は蛇、で恭平は強力なパートナーを引き連れていた。
大江戸TV内でも恭平に負けず劣らずのはみ出し者、李蓮丈だ。
入社5年目で、鷹見門下生を気取る彼は、元関西一の暴走族のリーダーという経歴の持ち主。
関西の不動産業者の社長令息でもあり、権力とアウトロー二つの顔を持つ男で、在日朝鮮人の三世でもある。

暴走族時代は抗争相手のリーダーを拉致したとか、裸にして写真撮影をしたうえ簾巻きにして河原に放置したなど、なかなかエグイエピソードが噂される男だ。
が、不思議と人懐っこく、恭平は可愛がっているし、雅子も出来の悪い弟のように面倒を見ている。
大江戸TV内でも恭平に負けず劣らずのはみ出し者である彼のような男は、通常一流企業から煙たがられるのだが、関西財界の大物の子息であり、また民族系団体のコネクションが利く大江戸TVでは大いに受け入れられてもいる。
仕事ぶりも真面目で不思議と女性にも人気の彼が駆り出された理由。
それは無論、裏社会の人物とも渡り合えるからだ。
こういう男を従えているだけで、威圧感は増大し、どんな相手にもはったりが効く。

「薬物の運搬…知らんねえ」
建王配送、社長建脇勇三は、当然立ち入り調査の事についてシラを切った。
小柄で禿げ頭。
しかし、みなぎるような、それでいて濁ったオーラを発するその姿は、成り上がりの経営者に多く見られる。
「ワシはこの業界でも異端児だからねえ、軽トラ一台のアルバイト配送から、北関東を取り仕切る建王配送を爆誕させた風雲児だ。やっかみでいろーんなことを言いよる輩はゴタマンといるよ。断じてヤクなんぞ運んではおらん‼ サツの立ち入りなんぞなかったッ、断じて、な‼」
自慢めいた言い訳を交え、のらりくらりと質問をかわしたり、恫喝するように声を荒げる建脇に業を煮やしたか、血の気の多い李は応接室のソファから立ち上がると、テーブル越しにずいッと社長に挑みかかる。
そして胸ぐらをつかんで凄んだ。
「ふざけんなよ、確かな筋から証拠は挙がってるんだよ」
刑事さながらの迫力だ。
「な、何をするんだ、このチョン公が! 日本を汚すゴキブリが!」
李の渡した名刺から在日朝鮮人であることを察した様子の建脇は、狼狽しつつも蔑んで見せる。
部下への侮蔑に、恭平も我慢がならない様子だ。
「なーに言ってやがる、てめえこそ、金のため祖国を売り渡す売国野郎だろ、この半チョッパリが!」
別に恭平自身は朝鮮籍でも何でもないが、日本人になりきれてもいない輩の不正を追及する上で、あえて差別用語で相手を罵ってみせる。

恭平のド迫力の威圧に、言葉を詰まらせた建脇社長に、今度は李が迫る。
「実はな、オッサン、俺んとこ関西では結構名の知れたオヤジがいるわけ…政治っつったって万年野党のへぼ議員やってるんだけどさ」
李は鋭い目つきで、その名を口にした。
かつて一度は与党になった民憲党の政治家で、国土交通省の改革に取り組んだ政治家の名を聞いた途端、建脇は恐縮した。
「在日だからって舐めんなよ、冴えねえオッサンが! 違法移民使って配送業やってるこんな鼻くそみてぇな会社なんぞ、容易に潰せるんだからな! ああ? 少なくとも俺らの存在は合法! 税金も納めていれば、正規に大学まで出ているぜ」
(ああ、雅子がいたら、いつものお姉さま口調で窘めるんだろうけどな)
恭平はやっちまったと思いつつも、李の存在を頼もしく思いつつ核心に触れる。
「薬を運んだのは事実、ですよね?」
社長はカクンとうなだれる。
これは“落ちた”なと重い恭平は、傍らの李に囁く。
「雅子に電話を入れておけ。先に帰っていていいと…。どうやら取材は長引きそうだ」
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