はみ出し記者 鷹見恭平 オールドメディアは世の不条理、タブーを暴けるか VOI.1 不法滞在者が運ぶ甘い媚薬

奇談エバンジェリスト

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Take12:熱血漢キレる!!

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週が明けた夜――――。
「結局は、追究し切れずか―――」
「ですね」
恭平と李は、他のスタッフに隠れ、実らぬ取材の成果を報告し合っていた。
ファンタジーと呼ばれる鎮痛剤の流通経路についても、例の運送屋の社長経由でアジアのとある大国であることの裏が取れた。
また、それを雇い入れたハラム人を使い、極秘裏に、いずこかへ運んでいることも認めさせたが、その行く先がどうしても知れないのだ。
社長は、北関東市で保険証を持たぬハラム人たちの闇医療に貢献しているのだと言い張るばかりだった。
これではスクープしたとしても、苦境にいる者たちを救う日本人やその関係者という、ある種の美談で終わってしまう。
ハラム人問題の闇を解決したことにはならない。
問題はその先なのだ。
多くのハラム人を手足のように使い、その運び込んだ薬品をどこでどうしているのか、口の堅いハラム人の一人を懐柔し、情報を得ようとした矢先、そのハラム人が突如事故死したのだ。

しかも、『ワールドニュース22』の編集権を持つ嶌津敏久も、待ったをかけてきたのだ。
「恭ちゃん、さすがにまずいな。“天の怒りに触れる”ぞ」
この“天の怒りに触れる”とは局内の隠語で、Don't standともいわれていた。
『この件について深入りしすぎると、無用な犠牲者が出るだけだ』
嶌津は暗に、一人のハラム人が暗殺されたことを示唆した。
「闇医療の貢献…その件だけでもなかなかのスクープじゃないか」
穏健で人権はキャスターとして知られる嶌津は、その“うわべだけの追及”の成果に満足げだった。

「しかし、嶌さん、そういう姿勢だからオールドメディアは信用されないんじゃないですかね!?」
久方ぶりに、恭平は嶌津に食って掛かった。
「今、残念だがメディアはネットに押されています。TVや新聞のことなど、肥大化しすぎて、首が回らずてめぇの尻を自分で拭えない古代恐竜みたいにいう奴ばかりだ。意味が解りますか⁉」
恭平は、未だ古き良き時代の残像に取り憑かれているかのような嶌津を見据える。
「大手企業や巨大組織に金もらって、その会社の批判できるのかっていう事ですよ⁉ おれらの会社だって不祥事起こしている会社と同列で、親族みたいになって、図体ばかりデカくなって、穢ねえ部分が山ほどあるのに、自浄作用も利かなくなって、腐りきった大義名分ばっかりを垂れ流しているわけだ! 再生数欲しさに現場で、プロ市民が金もらってやっているデモ隊にケンカ売ってる馬鹿な“ミーチューバー”の動画の方がよっぽど事実を報道してるって、世間は思い始めているんですよ!」
恭平がまくし立てているさなか、背後に上品な香水の香りが漂う――――。
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