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第2章11話「守るための力」
EP.78
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エレナが測定器を運んできた。金属製の小さな台に、水晶のような球体が載っている。
「魔力は誰にでも宿っています」
アルバートが杖の先で空中に円を描く。光の輪が一瞬現れて消えた。
「重要なのは、自分の特性を理解することです」
最初に台に立ったのは、太い腕の青年だった。手のひらに汗をかいている。
「お名前は?」
エレナが測定器のダイヤルを回しながら尋ねた。
「トーマス・ハンマーフォードです」
声が裏返っている。
「深呼吸をして」
サラフィナの声が、部屋に響く。トーマスの肩が上下した。
測定器に手を置くと、装置が青く光った。数値が中ほどを指している。
「素晴らしい」
エレナの口元が上がった。
「安定した防御型です」
トーマスの顔がぱっと明るくなった。
「本当ですか?俺でも?」
「鍛冶の仕事が活かされるでしょう」
次は女性商人の番だった。鋭い目つきで測定器を見つめている。
「リディア・シルバーコインです」
声に迷いがない。商取引で鍛えた度胸が、ここでも発揮されている。
測定器が緑色に光ると、ミレイア博士が身を乗り出した。
「これは稀有な才能です」
書類にペンを走らせる音がした。
「感知系魔法に極めて高い適性があります」
「感知系?」
「遠距離の魔力反応を察知する能力です」
レオナルド中尉が地図を取り出し、村の周辺に点を打った。
「早期警戒の要となれます」
リディアが興味深そうに地図を覗き込む。
「面白そうですね」
測定が続く。年配の農婦マーサは治癒系、若い猟師ダニエルは攻撃魔法に適性を示した。
「皆さん、それぞれ違う特性をお持ちです」
俺が測定結果を見回した。
「これが村の防衛にとって最大の強みです」
ジョアンナが一瞬、瞳孔が縦に細くなった。古い記憶を辿っているようだ。
「古代でも、最強の要塞は多様な守備隊によって守られていました」
村人たちの背筋が、また一段と伸びた。
「それでは、基本から始めましょう」
サラフィナが手を胸に当てた。
「まずは呼吸法です」
村人たちが円形に座る。俺は《円卓の結束》を発動した。
魔法の輪が広がると、村人たちがはっとした表情になった。
「温かい……」
「みんなの気持ちが分かる」
「心が軽くなります」
これが魔法の入り口だった。技術ではなく、心と心の繋がり。フローラが信じていた、人間の絆そのものだった。
「魔力は誰にでも宿っています」
アルバートが杖の先で空中に円を描く。光の輪が一瞬現れて消えた。
「重要なのは、自分の特性を理解することです」
最初に台に立ったのは、太い腕の青年だった。手のひらに汗をかいている。
「お名前は?」
エレナが測定器のダイヤルを回しながら尋ねた。
「トーマス・ハンマーフォードです」
声が裏返っている。
「深呼吸をして」
サラフィナの声が、部屋に響く。トーマスの肩が上下した。
測定器に手を置くと、装置が青く光った。数値が中ほどを指している。
「素晴らしい」
エレナの口元が上がった。
「安定した防御型です」
トーマスの顔がぱっと明るくなった。
「本当ですか?俺でも?」
「鍛冶の仕事が活かされるでしょう」
次は女性商人の番だった。鋭い目つきで測定器を見つめている。
「リディア・シルバーコインです」
声に迷いがない。商取引で鍛えた度胸が、ここでも発揮されている。
測定器が緑色に光ると、ミレイア博士が身を乗り出した。
「これは稀有な才能です」
書類にペンを走らせる音がした。
「感知系魔法に極めて高い適性があります」
「感知系?」
「遠距離の魔力反応を察知する能力です」
レオナルド中尉が地図を取り出し、村の周辺に点を打った。
「早期警戒の要となれます」
リディアが興味深そうに地図を覗き込む。
「面白そうですね」
測定が続く。年配の農婦マーサは治癒系、若い猟師ダニエルは攻撃魔法に適性を示した。
「皆さん、それぞれ違う特性をお持ちです」
俺が測定結果を見回した。
「これが村の防衛にとって最大の強みです」
ジョアンナが一瞬、瞳孔が縦に細くなった。古い記憶を辿っているようだ。
「古代でも、最強の要塞は多様な守備隊によって守られていました」
村人たちの背筋が、また一段と伸びた。
「それでは、基本から始めましょう」
サラフィナが手を胸に当てた。
「まずは呼吸法です」
村人たちが円形に座る。俺は《円卓の結束》を発動した。
魔法の輪が広がると、村人たちがはっとした表情になった。
「温かい……」
「みんなの気持ちが分かる」
「心が軽くなります」
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