告発ゲーム

みにぶた🐽

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第6章 二度目の審判

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「告発時間を開始します」

機械音声が響くと同時に、ロビーの空気が一変した。昨夜とは明らかに違う緊張感が漂っている。参加者たちは既に心理戦の渦中にいた。

蓮は端末の画面を見つめながら、昨夜のことを思い返していた。健太の最後の表情、そして奈々の不自然なまでの冷静さ。雪菜の言葉が頭の中で響く。「疑うことも生存戦略の一つ」

5分が経過した時点で、早くも最初の告発が行われた。

「1票」

昨夜より早い。みんな、もう迷いを捨てているのかもしれない。

10分後。

「雪菜:2票」

雪菜の顔が青ざめた。彼女は小刻みに震えながら、周囲を見回した。

「なぜ私を?私は何もしてない……」

しかし、告発は匿名だ。誰が雪菜を告発したのかは分からない。

蓮の胸がきゅっと締め付けられた。雪菜は昼間、自分に警告をくれた人だ。彼女が脱落することになれば……

15分後。

「雪菜:3票」

審判のボーダーラインに到達した。雪菜の目に涙が浮かんだ。

「お願い……私には妹がいるの。私が死んだら、妹は一人になってしまう……」

その瞬間、蓮の頭の中で何かがはじけた。雪菜の言葉が、記憶の奥底にある感情を呼び起こした。

あの少女——匿名掲示板で告発した結果、行方不明になった先輩も、きっと同じような気持ちだったのかもしれない。恐怖、孤独、そして理不尽な運命への絶望。

蓮の手が端末の上で震えた。

このまま黙っていれば、雪菜は脱落する。しかし、彼女を救うためには、誰か他の人を告発しなければならない。

25分経過。

残り5分。

蓮は奈々の名前をタッチした。

理由欄に指を走らせる。「異常なまでの冷静さ。他者の死に対する適応力の高さ。計算的な行動パターンが疑わしい」

送信ボタンを押した瞬間、制限時間のブザーが鳴った。

「告発時間を終了します」

スクリーンに結果が表示された。

「雪菜:3票」
「奈々:1票」

雪菜の方が票数が多い。蓮の心臓が激しく鼓動した。間に合わなかったのか。

「審判結果:雪菜、有罪。適性度:低レベル。即時脱落」

**被告発者:雪菜(18歳)**
**犯罪内容:父親による妹への虐待をSNSで知りながら通報せず、さらに家族の問題をネット上で拡散。結果として妹を死に至らしめ、家族の名誉も毀損した**

雪菜の顔が絶望に歪んだ。

「違う……私は……私はただ助けを求めただけ……ネットで相談しただけ……」

「脱落処理を開始します」

雪菜の首輪が青く光り始めた。

「妹……ごめん……本当にごめん……」

雪菜の声が途切れ、彼女の身体がぐったりと椅子にもたれかかった。

再び黒い人影が現れ、雪菜の身体を運び去った。

ロビーには十一人が残された。

しばらくの沈黙の後、奈々が手を叩いた。

「お疲れさま。一人また減ったわね」

その態度に、蓮の怒りが爆発した。

「どうしてそんなに平気でいられるんですか!人が死んだんですよ!」

「死んだ?」奈々が首を傾げた。「死んだって誰が言った?眠らされただけかもしれないじゃない」

突然、奈々の表情が一変した。これまでの人懐っこい笑顔は消え、氷のように冷たい目つきになっている。

「私を告発したのは誰?」

奈々の声には、これまで聞いたことのない鋭さがあった。まるで別人のようだった。

「可愛い少女?」奈々が笑った。「それは演技よ。この手の状況では、最初は無害に見える方が有利だから」

その瞬間、蓮は気づいた。奈々は最初から、このゲームの本質を理解していた。そして、生き残るための戦略を立てていた。
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