告発ゲーム

みにぶた🐽

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第12章 復讐者の最期

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「告発時間を終了します。審判を開始します」

スクリーンに奈々の情報が表示された。

**被告発者:奈々(19歳)**
**告発票数:6票**
**犯罪内容:復讐のために他者を欺き、殺人ゲームを企画・扇動した。精神的拷問により複数名を死に追いやった**

奈々は静かに立ち上がった。

「犯罪内容は正しいわね。私は確かに、復讐のためにあなたたちを利用した」

参加者たちは黙って見つめていた。誰も、奈々の処刑を喜んでいるようには見えなかった。

「でも、後悔はしてない」奈々が続けた。「美咲ちゃんのために戦えたから」

蓮が立ち上がった。

「奈々さん、最後に聞かせてください。美咲さんは本当はどんな人だったんですか?」

奈々の表情が和らいだ。

「美咲ちゃんは……誰よりも優しくて、誰よりも強い子だった」

奈々は窓の方を向いた。

「小学生の時、いじめられてる子を助けて、自分がいじめられるようになったことがあった。でも、美咲ちゃんは『正しいことをしたから後悔はない』って言ってた」

参加者たちが息を呑んだ。

「中学に入ってからも、困ってる人がいると必ず助けてた。成績の悪い子に勉強を教えたり、保健室で泣いてる子の話を聞いたり……」

奈々の声が震えた。

「そんな美咲ちゃんが、なぜあんな目に遭わなければならなかったの?なぜ、優しい子が死んで、美咲ちゃんを傷つけた人たちが生きてるの?」

沈黙が流れた。

大輔が口を開いた。

「私は……美咲さんに相談を受けた時、忙しくて真剣に話を聞かなかった。もし、あの時ちゃんと向き合っていれば……」

千尋が泣きながら言った。

「私は面白半分でSNSに投稿した。美咲さんがどんなに苦しんでいるかなんて、考えもしなかった」

一人、また一人と、参加者たちが自分の犯罪を告白し始めた。

拓海は美咲を「いじめっ子」だと決めつけて暴言を吐いたこと。

莉子は週刊誌に美咲の母親の私生活を売ったこと。

翔太は美咲の写真を無断でネットに上げて炎上させたこと。

沙織は守秘義務を破って美咲の最期の様子をマスコミに漏らしたこと。

亮介は世間体を気にして美咲の父親の異動を提案したこと。

圭は美咲がいじめられているのを見て見ぬふりをしたこと。

美咲(従姉妹)は真実を知りながら、正義面して週刊誌のインタビューに答えたこと。

そして蓮は、根拠不十分な告発で美咲を地獄に突き落としたこと。

全員の告白が終わったとき、奈々は振り返った。

「ありがとう。やっと、みんなが美咲ちゃんに向き合ってくれた」

「審判結果:有罪。適性度:危険レベル。即時脱落」

機械音声が告げた。

奈々の首輪が青く光り始めた。

「奈々さん!」蓮が叫んだ。

しかし、奈々は笑顔だった。

「大丈夫よ。これで私も美咲ちゃんに会えるかもしれない」

奈々の身体がぐったりと椅子にもたれかかった。

しばらくして、黒い人影が現れて奈々を運び去った。

ロビーには十人が残された。

長い沈黙の後、美咲が口を開いた。

「私たち……これからどうするの?」

大輔が答えた。

「生きるしかない。美咲さんの分まで」

「でも、ゲームは続くのよ」莉子が言った。「まだ私たちは島にいる」

その時、スピーカーから機械音声が流れた。

「重要な発表があります。プログラム主催者より特別メッセージをお送りします」

スクリーンに、初めて人間の映像が映し出された。白髪の老人が、実験室らしき場所に立っていた。

「参加者の皆さん、お疲れ様でした。私はデジタル倫理研究機関の創設者で主任研究者、Dr.橋本です」

参加者たちがざわめいた。橋本——美咲と同じ姓だった。

「橋本美咲は、私の孫娘でした」

全員が凍りついた。

「この『デジタル倫理研究機関』は、孫娘の死をきっかけに私が設立した実在の研究機関です。元々はデジタル犯罪者の心理分析を目的としていました」

「しかし、2年前に奈々さんが私のもとを訪れ、孫娘の件について詳細を話してくれました。その時、特別なプログラムとして今回の実験を企画することを決めたのです」

蓮の頭が整理された。奈々は復讐を計画し、Dr.橋本の研究機関と協力して今回のプログラムを実現させたのだ。

「奈々さんには、皆さんを特定し、参加への誘導を協力してもらいました。彼女の復讐心と、私の研究への関心、そして孫娘への贖罪の気持ちが一致したのです」

「私自身、孫娘を救えなかった祖父として、皆さんと同じ加害者の一人です。だからこそ、この実験に意味があると考えました」

「しかし、皆さんの今夜の行動を見て、考えが変わりました」Dr.橋本が続けた。「皆さんは真摯に自分のデジタル犯罪と向き合い、償いの意志を示された」

「実験を終了します。皆さんは明朝、島から解放されます」

参加者たちが安堵の息を漏らした。

「ただし、条件があります」Dr.橋本の表情が厳しくなった。「皆さんには、美咲の死を社会に正しく伝える義務があります。ネットリンチの恐ろしさ、匿名での告発の危険性、傍観者の罪——それらを世に知らしめてください」

「なお、奈々さんは生きています」Dr.橋本が付け加えた。「脱落処理は睡眠薬による気絶でした。彼女は現在、専門施設で心理治療を受けています」

蓮は安堵した。奈々は生きている。

「このプログラムで得られたデータは、将来のデジタル社会の健全化に活用されます。皆さんも、その一翼を担っていただくことになります」

スクリーンが消えた。

参加者たちは、それぞれの想いを胸に、最後の夜を迎えた。
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