11 / 15
第11章 反逆の結束
しおりを挟む
ロビーに集まった参加者たちの空気は、これまでとは明らかに違っていた。
奈々が一人で椅子に座る中、他の十人は微妙に距離を保ちながらも、暗黙の了解で彼女を包囲するような形になっていた。
「告発時間を開始します」
機械音声が響くと同時に、美咲が立ち上がった。
「みなさん、話し合いませんか?昨夜の奈々の告白を受けて」
奈々が冷やかに笑った。
「話し合い?何を話すの?あなたたちの言い訳?」
「言い訳じゃない」大輔が眼鏡を直しながら言った。「確かに私たちは橋本美咲さんに対してデジタル犯罪を犯した。それは認める。でも……」
「でも?」
「でも、あなたのやり方は間違ってる」拓海が立ち上がった。「復讐のために俺たちを騙して、ここに連れてきて、殺し合いをさせる。それが正しいことだと思うのか?」
奈々の目が危険に光った。
「正しい?美咲ちゃんを殺したあなたたちが、正しさを語るの?」
「俺たちが悪いことをしたのは事実だ」拓海が拳を握り締めた。「でも、だからって、お前に俺たちを裁く権利があるのか?」
「権利?」奈々が立ち上がった。「美咲ちゃんの親友として、当然の権利よ」
千尋がスマートフォンから顔を上げた。
「でも、あなたも美咲ちゃんを救えなかったって言ったじゃない。だったら、私たちと同じじゃない?」
奈々の表情が歪んだ。
「同じですって?私は最後まで美咲ちゃんの味方だった!」
「味方?」莉子が立ち上がった。「でも、結果的に救えなかった。だったら、あなたも共犯者よ」
沈黙が流れた。
蓮は参加者たちの変化に驚いていた。昨夜までは互いを疑い合っていたのに、今は奈々という共通の敵に対して結束している。
沙織が震え声で言った。
「私たちは確かに美咲さんを傷つけた。でも、それを贖罪する方法は、死ぬことだけじゃないはず」
「そうよ」翔太が続けた。「生きて、美咲さんのために何かをする方法だってある」
奈々が笑った。しかし、その笑いには狂気が混じっていた。
「生きて贖罪?きれいごとね。あなたたちは結局、自分が生き残りたいだけでしょ?」
亮介が威圧的な口調で言った。
「確かに生き残りたい。だが、それの何が悪い?生きることは罪なのか?」
「美咲ちゃんは生きられなかった」奈々の声が震えた。「あなたたちのせいで」
圭が小さな声で言った。
「でも、僕たちが死んでも、美咲さんは戻ってこない。意味がないよ」
「意味がない?」奈々が叫んだ。「復讐に意味がないって言うの?」
「復讐に意味はない」蓮が立ち上がった。「復讐は、ただ悲しみを増やすだけです」
奈々が蓮を睨みつけた。
「あなたに言われたくない。全ての元凶のくせに」
「僕が元凶だということは認めます」蓮が静かに言った。「でも、だからこそ分かるんです。復讐では何も解決しない」
10分が経過した。
参加者たちの議論は続いていたが、誰も端末に触れようとしなかった。
15分が経過したとき、美咲が提案した。
「みんな、決断の時よ。私たちは奈々の復讐ゲームに従うの?それとも……」
「それとも?」大輔が尋ねた。
「奈々を告発する」美咲がはっきりと言った。「このゲームの黒幕を排除する」
参加者たちがざわめいた。
奈々が冷笑した。
「面白いわね。被害者が加害者になろうとしてる」
「私たちはもう被害者じゃない」拓海が言った。「お前の復讐に巻き込まれた、新たな被害者だ」
「そして、あなたは新たな加害者よ」莉子が付け加えた。「私たちを騙して、死に追いやろうとしてる」
奈々の表情が動揺した。
「私は……私は美咲ちゃんのために……」
「美咲さんのため?」千尋が立ち上がった。「本当に美咲さんがこんなことを望んでると思ってるの?」
「美咲ちゃんは優しい子だった」沙織が涙ながらに言った。「きっと、こんな復讐は望んでない」
「だったら、美咲ちゃんは何を望んでるって言うの?」奈々が叫んだ。
翔太が答えた。
「もう二度と、同じような悲劇が起こらないこと」
亮介が続けた。
「俺たちが生きて、美咲の死を無駄にしないこと」
圭が小さく付け加えた。
「そして、美咲さんのことを忘れないこと」
20分が経過した。
奈々は椅子に座り込み、顔を覆った。
「私は……私はどうすればいいの?美咲ちゃんを救えなかった私は……」
蓮が奈々に近づいた。
「奈々さん。僕たちと一緒に生きませんか?美咲さんの死を背負って、でも前向きに」
「前向きに?」奈々が顔を上げた。その目には涙が浮かんでいた。「美咲ちゃんを殺した人間たちと一緒に?」
「そうです」蓮が頷いた。「僕たちは美咲さんを殺した。でも、だからこそ、その責任を一生背負って生きるべきです」
25分が経過した。
参加者たちは、それぞれ端末に手を伸ばし始めた。
「やめて……」奈々が小さく呟いた。
しかし、もう止まらなかった。
一人、また一人と、奈々の名前をタッチしていく。
「奈々:1票」
「奈々:2票」
「奈々:3票」
審判のボーダーラインに到達した。
奈々は立ち上がり、参加者たちを見回した。
「あなたたち……本当に私を告発するの?」
誰も答えなかった。しかし、告発は続いた。
「奈々:4票」
「奈々:5票」
制限時間まで、あと3分。
奈々は蓮を見つめた。
「蓮……あなたも私を告発するの?」
蓮の手が端末の上で震えていた。奈々を告発すべきなのか。彼女も、美咲の死に苦しんでいる被害者の一人なのに。
しかし、同時に、奈々のやり方は間違っている。復讐では何も生まれない。
蓮は奈々の名前をタッチした。
「奈々:6票」
奈々の目から涙が溢れた。
「みんな……美咲ちゃんを忘れないでね……」
制限時間のブザーが鳴った。
奈々が一人で椅子に座る中、他の十人は微妙に距離を保ちながらも、暗黙の了解で彼女を包囲するような形になっていた。
「告発時間を開始します」
機械音声が響くと同時に、美咲が立ち上がった。
「みなさん、話し合いませんか?昨夜の奈々の告白を受けて」
奈々が冷やかに笑った。
「話し合い?何を話すの?あなたたちの言い訳?」
「言い訳じゃない」大輔が眼鏡を直しながら言った。「確かに私たちは橋本美咲さんに対してデジタル犯罪を犯した。それは認める。でも……」
「でも?」
「でも、あなたのやり方は間違ってる」拓海が立ち上がった。「復讐のために俺たちを騙して、ここに連れてきて、殺し合いをさせる。それが正しいことだと思うのか?」
奈々の目が危険に光った。
「正しい?美咲ちゃんを殺したあなたたちが、正しさを語るの?」
「俺たちが悪いことをしたのは事実だ」拓海が拳を握り締めた。「でも、だからって、お前に俺たちを裁く権利があるのか?」
「権利?」奈々が立ち上がった。「美咲ちゃんの親友として、当然の権利よ」
千尋がスマートフォンから顔を上げた。
「でも、あなたも美咲ちゃんを救えなかったって言ったじゃない。だったら、私たちと同じじゃない?」
奈々の表情が歪んだ。
「同じですって?私は最後まで美咲ちゃんの味方だった!」
「味方?」莉子が立ち上がった。「でも、結果的に救えなかった。だったら、あなたも共犯者よ」
沈黙が流れた。
蓮は参加者たちの変化に驚いていた。昨夜までは互いを疑い合っていたのに、今は奈々という共通の敵に対して結束している。
沙織が震え声で言った。
「私たちは確かに美咲さんを傷つけた。でも、それを贖罪する方法は、死ぬことだけじゃないはず」
「そうよ」翔太が続けた。「生きて、美咲さんのために何かをする方法だってある」
奈々が笑った。しかし、その笑いには狂気が混じっていた。
「生きて贖罪?きれいごとね。あなたたちは結局、自分が生き残りたいだけでしょ?」
亮介が威圧的な口調で言った。
「確かに生き残りたい。だが、それの何が悪い?生きることは罪なのか?」
「美咲ちゃんは生きられなかった」奈々の声が震えた。「あなたたちのせいで」
圭が小さな声で言った。
「でも、僕たちが死んでも、美咲さんは戻ってこない。意味がないよ」
「意味がない?」奈々が叫んだ。「復讐に意味がないって言うの?」
「復讐に意味はない」蓮が立ち上がった。「復讐は、ただ悲しみを増やすだけです」
奈々が蓮を睨みつけた。
「あなたに言われたくない。全ての元凶のくせに」
「僕が元凶だということは認めます」蓮が静かに言った。「でも、だからこそ分かるんです。復讐では何も解決しない」
10分が経過した。
参加者たちの議論は続いていたが、誰も端末に触れようとしなかった。
15分が経過したとき、美咲が提案した。
「みんな、決断の時よ。私たちは奈々の復讐ゲームに従うの?それとも……」
「それとも?」大輔が尋ねた。
「奈々を告発する」美咲がはっきりと言った。「このゲームの黒幕を排除する」
参加者たちがざわめいた。
奈々が冷笑した。
「面白いわね。被害者が加害者になろうとしてる」
「私たちはもう被害者じゃない」拓海が言った。「お前の復讐に巻き込まれた、新たな被害者だ」
「そして、あなたは新たな加害者よ」莉子が付け加えた。「私たちを騙して、死に追いやろうとしてる」
奈々の表情が動揺した。
「私は……私は美咲ちゃんのために……」
「美咲さんのため?」千尋が立ち上がった。「本当に美咲さんがこんなことを望んでると思ってるの?」
「美咲ちゃんは優しい子だった」沙織が涙ながらに言った。「きっと、こんな復讐は望んでない」
「だったら、美咲ちゃんは何を望んでるって言うの?」奈々が叫んだ。
翔太が答えた。
「もう二度と、同じような悲劇が起こらないこと」
亮介が続けた。
「俺たちが生きて、美咲の死を無駄にしないこと」
圭が小さく付け加えた。
「そして、美咲さんのことを忘れないこと」
20分が経過した。
奈々は椅子に座り込み、顔を覆った。
「私は……私はどうすればいいの?美咲ちゃんを救えなかった私は……」
蓮が奈々に近づいた。
「奈々さん。僕たちと一緒に生きませんか?美咲さんの死を背負って、でも前向きに」
「前向きに?」奈々が顔を上げた。その目には涙が浮かんでいた。「美咲ちゃんを殺した人間たちと一緒に?」
「そうです」蓮が頷いた。「僕たちは美咲さんを殺した。でも、だからこそ、その責任を一生背負って生きるべきです」
25分が経過した。
参加者たちは、それぞれ端末に手を伸ばし始めた。
「やめて……」奈々が小さく呟いた。
しかし、もう止まらなかった。
一人、また一人と、奈々の名前をタッチしていく。
「奈々:1票」
「奈々:2票」
「奈々:3票」
審判のボーダーラインに到達した。
奈々は立ち上がり、参加者たちを見回した。
「あなたたち……本当に私を告発するの?」
誰も答えなかった。しかし、告発は続いた。
「奈々:4票」
「奈々:5票」
制限時間まで、あと3分。
奈々は蓮を見つめた。
「蓮……あなたも私を告発するの?」
蓮の手が端末の上で震えていた。奈々を告発すべきなのか。彼女も、美咲の死に苦しんでいる被害者の一人なのに。
しかし、同時に、奈々のやり方は間違っている。復讐では何も生まれない。
蓮は奈々の名前をタッチした。
「奈々:6票」
奈々の目から涙が溢れた。
「みんな……美咲ちゃんを忘れないでね……」
制限時間のブザーが鳴った。
0
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる