婚姻=スキル共有!? ハズレと追放された俺に、美少女女王とイケメン魔王が嫁婿に来て土下座してきたんだが。俺の隠しスキルはガチャ確操作だった

みにぶた🐽

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第1章2話「世界に響く激震」

「世界に響く激震」 ④

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 旅の二日目、夕刻が近づいた頃だった。馬車の隊列が深い森沿いの街道を進んでいると、突然上空から甲高い鳴き声が響いた。

「グギャアァァッ!」

 嫌な予感がして顔を上げた瞬間、黒い影が空を舞った。大きな翼、長い尾――まさか、あれはドラゴン? いや、サイズからして亜竜種のワイバーンか?

「空からの襲撃です!」

 先頭を行くラインハルト団長が叫んだ。

「全員、迎撃態勢を取れ!」

 護衛の騎士たちが馬車を囲むように展開し、弓を構える。しかし上空を高速で飛ぶワイバーンに当てるのは難しそうだった。

「ちょうどいい」

 エドリアン魔王が楽しそうに笑った。

「愛しき契約者よ、お前の力を試す機会だな」

「隼人さん、無理はしないで!」

 フィーナが心配そうに声を上げる。

 俺はごくりと唾を飲み、震える手を握り締めた。ここで俺が戦えなければ、誰かが犠牲になるかもしれない。エリシア女皇やエドリアン魔王はきっと自分でも戦えるだろうが、護衛の騎士やフィーナを危険には晒せない。

「……やってみます!」

 腹をくくって馬車の窓から身を乗り出す。幸い、昨日ラインハルト団長から剣を一振り借り受けて腰に帯びていた。レベルが上がったとはいえ、剣術など素人同然だが持たないよりはマシだ。

 ワイバーンが急降下してくる。鋭い嘴と鉤爪が煌めき、先頭の騎士めがけて襲いかかった。

「くっ……!」

 騎士が盾で受け止めるものの、衝撃で馬から弾き飛ばされてしまった。

 このままではまずい。俺はとっさに右手を掲げた。

「《聖光弾》!」

 頭に浮かんだ聖なる魔法の名を叫ぶと、眩い光の弾丸が飛び出し、ワイバーンの横腹に命中した。獣は悲鳴を上げて空中で身をよじらせる。

「当たった……!」

 俺は驚いた。エリシア女皇から共有された聖技、聖光魔法が使えたんだ。第1章でフィーナとの緊急契約で使ったものとは違う、より強力な光を感じる。

「隼人さん、すごいです!」

 フィーナが目を輝かせる。

 だがワイバーンは怯んだものの、まだ健在だった。逆上したように大きく翼を広げると、今度は馬車そのものに向かって突進してくる。

「来る!」

 俺は剣を抜き放った。震える手をなんとか抑え、迫る巨大な影に立ち向かおうとする。

「はああぁっ!」

 気合と共に渾身の斬撃を放った。刃がワイバーンの前脚にかろうじて当たり、鱗に火花を散らす。しかし厚い鱗に傷は浅い。

 反撃の爪が迫る――その瞬間、黒い閃光が横から飛んだ。

「《黒炎槍》」

 低く呟くような声。エドリアン魔王が指先から放った漆黒の炎が槍のように収束し、ワイバーンの翼を貫いたのだ。翼膜が焼き裂かれ、獣はバランスを崩して地上へと墜落する。

「決めろ、隼人!」

 魔王が俺に呼びかける。

 倒れ込んだワイバーンが苦しげに体を起こそうともがいている。この好機を逃してはならない。俺は喉の奥底から声を絞り出した。

「《聖光斬》っ!」

 剣が眩い光に包まれ、一条の光刃となってワイバーンの首元を薙いだ。今度は手応えがあった。断末魔の悲鳴を上げ、ワイバーンは地面に崩れ落ちた。

「……やった、のか?」

 肩で息をしながら確認すると、ワイバーンはぴくりとも動かない。ついに仕留めたのだ。

 騎士たちが歓声を上げる。

「古代魔法の使い手が魔物を倒したぞ!」

「なんという威力だ……!」

 俺はがくがくと震える膝を抑えつけながら、何とか立ち続けていた。全身に汗が噴き出し、心臓が痛いほど脈打っている。だが、生きている。勝てたんだ。

「隼人さん!」

 フィーナが馬車から飛び降りて駆け寄り、俺の腕を支えてくれた。

「大丈夫ですか?」

「うん……何とかなったよ」

 弱々しく笑ってみせる。フィーナは安堵したように微笑んだ。

「見事でしたわ、隼人さん!」

 エリシア女皇も馬車を降りて優雅に歩み寄ってくる。

「初めてとは思えない戦いぶり。あなたが契約者で心強いです」

「ふん、なかなかやるではないか」

 エドリアン魔王も満足げに頷いた。

「レベルが上がっただけの素人かと思いきや、度胸もあるようだな。我が契約者として申し分ない」

 不意にエリシア女皇とエドリアン魔王が顔を見合わせると、女皇がクスリと笑った。

「ふふ、私たち二人が揃って誰かを褒めるなんて初めてですわね」

「ああ、そうだな」

 魔王も口元に微かな笑みを浮かべた。

「この調子なら、これから先が楽しみだ」

 二人の視線を一身に受けて、俺はたまらず頭をかいた。

「……ありがとうございます。でも正直、必死で無我夢中でした」

「それで十分ですわ」

 女皇は優しく言ってくれた。

「隼人さん、これからもよろしくお願いしますね。我が運命の契約者様」

「私からも頼むぞ、愛しき我が契約者よ」

 魔王も冗談めかして片目を瞑ってみせる。

 俺は苦笑しながらも、改めて二人に向き直り深く頷いた。

「こちらこそ……よろしくお願いします」

 こうして俺たちは小さな危機を乗り越え、絆をほんの少しだけ深めたのだった。馬車は再び走り出す。王都までの道のりはまだ続く。その先に何が待ち受けているのか――今は誰にもわからない。

 しかし、確実に世界は動き出している。聖ルーナ街で交わされた前代未聞の契約は、やがて各地に波紋を広げ、世界中を巻き込む激震となって響き渡ることになるだろう。

 その予兆を胸に感じながら、俺は遠く染まり始めた夕焼けの空を見上げた。
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