婚姻=スキル共有!? ハズレと追放された俺に、美少女女王とイケメン魔王が嫁婿に来て土下座してきたんだが。俺の隠しスキルはガチャ確操作だった

みにぶた🐽

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第1章2話「世界に響く激震」

「世界に響く激震」 ③

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 翌日、俺たちは王都へ向けて出発することになった。エリシア女皇とエドリアン魔王、そして俺を含む一行は、王都から急派されたという大型の魔導馬車に乗り込んだ。筆頭評議員のシリル・リーヴァスが先導し、ラインハルト団長と数名の精鋭騎士が護衛として同行する。セバスティアン博士も古代史の専門家として同席し、さらに彼の助手としてフィーナも同行を許された。バルド大司教とエリザヴェータ副司教は聖ルーナ街に残り、帝国と冥界への連絡や教会対応に当たることになった。

 馬車の車内は広く豪華で、対面式の長椅子が備え付けられている。俺は多少落ち着かない気分で座っていた。向かいにはエリシア女皇とエドリアン魔王が並んで座っている。女皇は優雅に窓の外の景色を眺め、魔王は興味深げに馬車の内装を指でなぞっていた。

 やがてエリシア女皇が俺の方へ顔を向け、柔らかな微笑みを浮かべた。

「隼人さん。昨夜からお忙しくてきちんとお話できませんでしたが……あなたには礼を言わねばなりませんわね」

「礼……ですか?」

 俺はきょとんとして問い返した。

「ええ。結果的に、私はあなたによってこちらの世界に召喚されました。帝国のことが心配でないと言えば嘘になりますが……」

 女皇はそっと目を閉じ、小さく息を吐いた。

「不思議と心が軽いのです。長年、帝国の統治で張り詰めていた日々から解放されて……あなたという不思議な縁を得た。それが運命だと思えるくらいには」

「エリシア陛下……」

 思いのほか率直な言葉に、俺は胸が熱くなった。女皇は国で孤高の立場だったのだろう。そんな彼女が俺との縁を前向きに捉えてくれているのは救われる思いだった。

「ふん、随分と前向きだな、女皇殿」

 エドリアン魔王が横目で女皇を見て薄く笑った。

「だが同感だ。私もあの退屈な冥界の玉座から抜け出せて久しい緊張感を味わっている。この契約も悪くない……いや、非常に興味深いものだよ、愛しき我が契約者よ」

 魔王の赤い瞳が鋭く輝き、俺を真っ直ぐに見据えた。ぞくりとするほどの妖しい眼差しだが、不思議と嫌な感じはしない。むしろ言葉通り俺に執着と関心を向けているのが伝わってきて、妙に心拍数が上がってしまう。

「そ、そう言ってもらえると……助かります」

 俺は照れ隠しに視線を逸らした。

「正直、まだ何がどうなってるのか実感なくて……。でも少なくともお二人が敵対的じゃなくて良かったです。契約者が俺で、不満とかありませんか?」

 エリシア女皇はクスクスと上品に笑った。

「うふふ、不満だなんて。確かに最初に隼人さんを見たときは驚きましたけれど……あなた、とても面白い方ですもの。異世界から来たのですよね? 昨夜少し伺いましたわ」

「えっ、異世界からって……」

 俺は一瞬ギクリとした。この世界の人には転生者であることは秘密にしておこうと思っていたのに、女皇にはバレている?

「心配しないで。あなたが自分で明かしていないことを皆に言い触らすつもりはありません」

 女皇は悪戯っぽく微笑んだ。

「でも私にはわかりますわ。あなた、こちらの世界の人とは少し雰囲気が違うもの」

「へえ、面白い」

 エドリアン魔王も関心を示した。

「確かに契約した瞬間、私も感じたな。彼はこの世界の理から少し外れた存在だと。おそらく異界の魂だろうと思っていたところだ」

 二人とも鋭い。俺は観念して頷いた。

「……おっしゃる通りです。俺は元は別の世界の人間で、死んでこの世界に転生しました。婚姻ガチャのスキルも、その時に得たものです」

「やはり。まるで英雄譚ね」

 エリシア女皇の瞳がキラキラと興味に輝く。

「伝説で語られる異世界からの勇者……隼人さんがそうだというのなら、これは神話の再来だわ」

「勇者だなんて、そんな大したものじゃ……」

 俺は肩をすくめた。

「実際、昨日まで何の力もないただの人でしたし」

「昨日”まで”は、だろう?」

 魔王がニヤリと笑った。

「今の貴様は我ら二人のスキルと力を共有している。レベルだって15に跳ね上がっていたではないか。我々の契約者として相応しい力を持ちつつあるのだよ」

 そう、ステータス画面によれば俺はレベル1から一気に15になっていた。エリシア女皇とエドリアン魔王、それぞれの強大な力を一部とはいえ得ているのだ。実感は湧かないが、自分が一夜で強くなったのは事実らしい。

「その力、うまく使いこなせるといいのだけれど」

 エリシア女皇がふと真顔になった。

「隼人さん、契約によるスキル共有は感じていますか? 私もあなたとの契約で何かが伝わってきました……“国家権限アクセス”という、帝国の王宮にある結界を操作できる権限の一部のようですけれど……あと、僅かながら聖技も。帝国の伝統で身に付けた聖なる魔法ですが、それもあなたに共有されているはずです」

 国家権限アクセス……そして聖技。確かステータス画面でそんな表示が出ていた気がする。エリシア女皇の持つ権限と魔法を俺も使えるということか。

「私の方も興味深いな」

 エドリアン魔王が愉快そうに笑みを深める。

「死霊術で死者を操る力だ。隼人、お前も試してみるか? 墓地にでも行けばゾンビの一体や二体、起き上がるかもしれんぞ」

「や、やめてくださいよ!」

 俺は思わず悲鳴のような声を上げた。

「そんなの使いこなせないし、第一ゾンビなんて起こされたら周りがパニックになりますって!」

 エドリアン魔王は楽しげに笑い、エリシア女皇も口元に手を当ててくすくすと笑っている。からかわれていると分かっていても冷や汗ものだ。

「大丈夫、冗談よ」

 女皇が微笑んだ。

「隼人さんが混乱してしまっては元も子もありませんもの。無理に力を使う必要はないわ。必要なときが来たら、自然とその力を発揮できるでしょう」

「そういうことだ」

 魔王も頷いた。

「契約で繋がった絆が導いてくれるさ、我らが契約者よ」

 二人の言葉に少しホッとする。俺は窓の外に目を向けた。馬車は順調に街道を走り、緑豊かな丘陵地帯が広がっている。王都までは数日の旅路だと聞いた。この旅の間に、俺は彼らとの絆を少しでも深めておきたい――などと考えている自分に気づき、苦笑する。

 ほんの二日前まで平凡だった俺の人生は、驚くほど劇的に変化してしまった。でも、不思議と悪い気はしない。隣の席に腰掛けるフィーナが心配そうにこちらを窺っていたので、俺は「大丈夫」と小さく頷いてみせた。

 エリシア女皇とエドリアン魔王。それぞれ強大で、個性も正反対な二人。そんな二人が俺の”婚姻相手”だなんて、未だに信じられない。しかし、彼らの存在がどれほど世界を変えてしまうのか……これから目の当たりにしていくのだろう。

 俺は胸の高鳴りを抑えながら、馬車に揺られて遠ざかる聖ルーナ街を見つめ続けた。
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