婚姻=スキル共有!? ハズレと追放された俺に、美少女女王とイケメン魔王が嫁婿に来て土下座してきたんだが。俺の隠しスキルはガチャ確操作だった

みにぶた🐽

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第1章1話「異世界転生と謎の婚姻ガチャ」

「異世界転生と謎の婚姻ガチャ」 ①

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俺は死んだ。

 バイクで通勤中、居眠り運転のトラックに正面から突っ込まれて、あっけなく。二十三歳、彼女なし、貯金なし、夢なし。まさに絵に描いたような底辺サラリーマンの最期だった。

 前世で橘隼人として生きた俺の人生は、本当にみじめなものだった。毎日同じ時間に起きて、同じ電車に乗って、同じオフィスで数字とにらめっこ。休日はアニメを見てゲームをして、現実逃避ばかり。まともに女性と付き合ったこともなければ、将来の夢も特になかった。

 そして気がつくと──

「おめでとうございます! あなたは異世界転生の権利を獲得されました!」

 目の前に浮かぶ光る文字。これ、完全にゲームのUIじゃないか。俺が前世で散々見てきたMMORPGのウィンドウそのものだ。

「なにこれ……まさか本当に異世界転生って……」

 周囲を見回すと、そこは真っ白な空間だった。床も壁も天井も、すべてが純白で境界が曖昧。まるでゲームのキャラクター作成画面みたいだ。

『転生者:隼人 適性:婚姻特化型 ランク:未知数』

「婚姻特化型って何だよ……前世のゲーム知識にもそんなクラスはなかったぞ」

 俺──隼人は画面を見つめながら呟いた。元の世界では橘隼人という名前だったが、どうやらこの世界では苗字が消えて名前だけになるらしい。

『特典スキル抽選を開始します』

 突然、画面が切り替わった。そこには巨大なルーレットが表示されている。これも前世でやったソシャゲのガチャにそっくりだ。

「え、ちょっと待て。説明を──」

『抽選開始!』

 勝手にルーレットが回り始めた。針がくるくると回転し、様々なスキル名が流れていく。

『【炎魔法】【剣聖】【賢者】【神速】【千里眼】……』

 どれも強そうなスキルばかりだ。前世のゲーム知識から考えても、これは当たりスキルばかりのはず。

 しかし針は徐々に減速し、最終的に止まったのは──

『【婚姻ガチャ】』

「……は?」

 何だそれ。前世のゲームでも聞いたことないぞ。

『おめでとうございます! 超激レア スキル【婚姻ガチャ】を獲得されました!』

「超激レアって言うけど、どう見ても微妙なスキルなんだが……」

『【婚姻ガチャ】:異世界の住民との婚姻契約を結ぶことができる特殊スキル。通常は運命の配偶者1名と契約可能。契約相手のスキルを共有し、ステータスを大幅に向上させる。ガチャの確率は……エラー……情報が読み取れません』

「エラーって何だよ! 一番大事な部分だろ!」

 しかも婚姻契約って、要するに結婚ってことじゃないか。俺は前世で童貞だったのに、いきなり結婚システムとか無理ゲーすぎる。

『転生を開始します。健闘を祈ります』

「おい、まだ説明が──」

 光に包まれ、意識が遠のいた。

 ◇

 次に目を覚ました時、俺は草原の真ん中に寝転がっていた。

「うわあああ!」

 いきなり空が見えて、本当に異世界に転生したのだと実感した。青い空、白い雲、見たことのない双月。確実に前世の地球ではなかった。これは前世のファンタジーゲームでよく見た光景だった。

 身体を起こして自分を確認してみた。服装は茶色のシンプルな上着とズボン。中世ヨーロッパ風の農民服という感じだった。体型は前世とほぼ同じ。顔は……鏡がないから分からなかったが、手を見る限り若返ってはいないようだった。

「とりあえず、ステータスでも確認してみるか」

 前世のゲーム感覚でそう思った瞬間、また例のウィンドウが表示された。

『【隼人】
レベル:1
HP:100/100
MP:50/50
筋力:8 魔力:6 俊敏:7 知力:12
スキル:【婚姻ガチャ】』

「やっぱり微妙なステータスだな……前世のゲームで言えば、完全に初期キャラのスペックだった」

 知力だけは平均より高めのようだったが、筋力と魔力が酷かった。これじゃ戦闘は期待できなかった。

「ん? あれは……」

 遠くに建物が見えた。街らしき場所があるようだった。とりあえず人がいる場所に向かうしかなかった。

 草原を歩いていると、途中で奇妙な光景に出くわした。

「きゃああああ!」

 女性の悲鳴が聞こえた。見ると、三匹の狼に似たモンスターが一人の少女を襲っていた。

 少女は栗色の髪で、白いローブを着ていた。どう見ても一般人だった。

「やばい……でも俺に何ができる?」

 ステータスを見る限り、俺が戦っても勝てるわけがなかった。前世のゲーム知識から考えても、レベル1で複数の敵と戦うなんて無謀だった。

 その時、突然頭の中に声が響いた。

『緊急婚姻ガチャが発動可能です。窮地の相手との一時的婚姻契約により、戦闘能力を共有できます』

「一時的? それなら……」

 俺は意を決して走り出した。

「おい、そこから離れろ!」

 狼たちが俺を振り返る。その隙に少女に叫んだ。

「君! 俺と結婚する気はあるか!?」

「へ?」

 少女が目を丸くする。「狼も困惑しているようだった。確かに戦闘中にプロポーズは意味不明だろう。

「説明は後だ! 今すぐ『はい』って言ってくれ!」

「は、はい!?」

 少女が反射的に答えた瞬間、俺たちの間に光る魔法陣が現れた。円形の紋章が宙に浮かび、俺たちを包み込んだ。

『【緊急婚姻契約】成立。契約者:神官見習いフィーナ・カトリーヌ。スキル【神聖魔法Lv3】【治癒Lv2】を一時共有します』

 突然、俺の体に力が漲った。右手に暖かい光が宿り、魔法の使い方が頭に流れ込んでくる。これは前世のゲームで体験したことのない、リアルな魔法の感覚だった。

「これが……魔法……!」

 俺は右手を狼たちに向けた。

「【聖光弾】!」

 光の球体が放たれ、狼の一匹に直撃する。狼は悲鳴を上げて消滅した。

「す、すごい……」

 残りの二匹も慌てて逃げていく。

『【緊急婚姻契約】終了。スキル共有を解除します』

 急に脱力感に襲われ、俺はその場にへたり込んだ。
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