ランキングデスゲーム〜辛くて拡散希望、生き残りたいです〜

みにぶた🐽

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第V部:視聴率の地獄

第29章 「最後の命令」

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視聴者の急激な離脱から5分が経過した。

機械音声が緊急事態を告げた後、システムが一時停止していたが、ついに再開された。だが、状況は予想外の方向に向かった。

「視聴者数安定を確認。200万人での配信継続を決定いたします」

俺は処刑台の前に立っていた。機械の腕が俺を拘束しようとしていたが、システムの緊急停止により一時的に動作を停止していた。

五十嵐龍之介が血まみれの手を叩いて喜んだ。

「やはり200万人も残ったじゃないですか!僕の勝利は正しかった!人間をやめて正解でした!」

コメント欄が再び活発になった。

『200万人でも十分すぎる』
『#08の完全勝利』
『#07処刑見たい』
『最後まで見届ける』
『もう止まらない』

機械音声が続いた。

「最終フェーズを開始します。残り参加者8名での『ラストマン・スタンディング』を実施します」

ホール中央に巨大なルーレットが現れた。

『ラストマン・スタンディング』
『看守・囚人の区別を撤廃』
『全員が平等に殺し合いを行う』
『最後の1名まで続行』
『勝者には1億円と自由を提供』

俺は愕然とした。もはや看守も囚人もない。全員が殺し合うゲームに変わったのだ。

五十嵐龍之介が興奮した。

「素晴らしい!これが真のゲームです!人間をやめた僕が最も有利ですね!」

囚人たちは絶望と混乱の中にいた。

宝生朱音が血を流しながら呟いた。「もう…何がなんだか…」

白鷺小夜は高熱で意識朦朧としている。「死ぬ…もう死ぬ…」

安堂圭吾は精神破綻状態で反応がない。

雪村颯汰は震えながら言った。「こんな…こんなことって…」

宍戸昴はPTSDで震えが止まらない。

機械音声が告げた。

「各参加者に武器を配布します」

床から8つの台座が上昇してきた。それぞれに異なる武器が置かれている。ナイフ、鈍器、毒薬、ロープ、電気ショック器。

「武器選択は30秒以内。選択順はランダムです」

ルーレットが回り始めた。

『1番目:五十嵐龍之介』
『2番目:緋村陸翔』
『3番目:雪村颯汰』
『4番目:宝生朱音』
『5番目:白鷺小夜』
『6番目:安堂圭吾』
『7番目:宍戸昴』

五十嵐龍之介が真っ先にナイフを手に取った。

「僕には良心がないので、躊躇なく使えます」彼は刃を見つめながら微笑んだ。

俺は2番目だった。鈍器を手に取る。重い金属の塊。これで人を殺すのか。

雪村颯汰は震えながら電気ショック器を選んだ。

宝生朱音は毒薬を、白鷺小夜は意識朦朧としながらもロープを、安堂圭吾は反応せず何も選ばない、宍戸昴は震えながら小さなハンマーを選んだ。

コメント欄が興奮状態だった。

『武器選択完了』
『#08のナイフやばい』
『全員殺し合いキター』
『最後まで見る』
『1億円かかってるから本気だろ』

機械音声が最後のルールを発表した。

「制限時間は1時間。1時間以内に決着がつかない場合、全員処刑となります。開始と同時に、個別の『最後の命令』システムを発動します」

「最後の命令?」俺は問いかけた。

「各参加者は、他の参加者1名に対して『死ぬまで続ける命令』を1回だけ出すことができます。ただし、命令された側は拒否権があります。拒否した場合、命令者と被命令者の両方が即座に処刑されます」

恐ろしいシステムだった。命令を出せば相手を追い詰められるが、拒否されれば自分も死ぬ。

五十嵐龍之介が笑った。

「完璧です!これで全員の本性が暴かれます!」

そして、ゲーム開始の合図が響いた。

五十嵐龍之介が即座に動いた。

「宝生朱音!僕の命令です!今すぐ毒薬を飲んで死になさい!」

宝生朱音の顔が絶望に歪んだ。毒薬を手に持ちながら震えている。

「私…私は…」

「拒否すれば君も僕も死ぬよ」五十嵐が冷たく言った。「でも君はもうずっと死にたがってたじゃないか」

宝生朱音は泣きながら毒薬を口に運んだ。

「いや…でも…でも…」

その時、俺が立ち上がった。

「待て」

俺は五十嵐龍之介に向かって最後の命令を出した。

「五十嵐龍之介。お前に命令する。今すぐその場で『人間らしい感情』を取り戻せ。良心を取り戻し、他人への共感を取り戻せ。そして死ぬまでその感情と向き合い続けろ」

五十嵐龍之介の顔が凍りついた。

「そんな…僕はもう人間をやめたのに…」

「拒否するか?」俺は問いかけた。「拒否すれば俺もお前も死ぬ。だが、受け入れれば、お前は再び人間の苦しみを味わうことになる」

五十嵐龍之介は震え始めた。人間をやめたはずの彼に、強制的に感情を取り戻させる命令。

「僕は…僕は…」

彼の手からナイフが落ちた。そして、突然泣き始めた。

「うああああああ!僕は何をしてたんだ!みんなに酷いことを…僕は…僕は…」

人間性が強制的に戻ってきた五十嵐龍之介は、自分がしてきたことの重さに完全に打ちのめされた。

宝生朱音は毒薬を手放した。命令者が精神崩壊したため、命令が無効化されたのだ。

コメント欄が混乱した。

『#08が人間に戻った』
『#07の命令やばすぎ』
『感情強制復活とか鬼畜』
『でも面白い』

俺は他の囚人たちに向かって言った。

「もうやめよう。このゲームは誰も幸せにしない。俺たちは人間だ。最後まで人間として死のう」

雪村颯汰が泣きながら電気ショック器を落とした。

「陸翔…ありがとう…」

宍戸昴もハンマーを手放した。

「もう…もういいよ…」

白鷺小夜は意識朦朧としながらもロープを捨てた。

安堂圭吾は最初から反応していない。

五十嵐龍之介は泣き続けていた。

「僕は…僕は人間をやめるべきじゃなかった…みんな…ごめん…ごめんなさい…」

機械音声が響いた。

「参加者全員が武器を放棄。ゲーム進行不可能。強制終了を実行します」

「全員処刑を開始します」

処刑装置が一斉に作動した。

だが、俺たちは最後まで人間だった。

五十嵐龍之介は泣きながら言った。

「みんな…本当にごめん…でも最後に人間に戻れて…良かった…」

雪村颯汰が微笑んだ。

「みんな一緒なら…怖くない」

宍戸昴が震えながらも言った。

「最後まで…仲間だった」

宝生朱音が血を流しながら微笑んだ。

「やっと…楽になれる…」

白鷺小夜は意識朦朧としながらも頷いた。

安堂圭吾は最後に一度だけ、明確な意識を取り戻した。

「翼…みんな…迎えに来てくれたのか…」

そして、処刑装置が全員を包み込んだ。

コメント欄は静まり返った。

200万人の視聴者が、人間の最後の尊厳を目撃していた。

配信は終了した。

だが、その後も長い間、視聴者たちはこの光景を忘れることができなかった。

人間であることの意味を。

そして、娯楽として他人の苦痛を消費することの罪深さを。

『人気投票の檻』は終わった。

だが、この物語は終わらない。

見ていた者たちの心の中で、永遠に続いていく。
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